止まり木は再び芽吹く
時はあの日の決戦まで遡る。
イグアスとラスティがシャルトルーズ及びキングを撃破し、ロニーが真レイヴンを撃破したその日のことである。
歓声を上げて皆が祝福・乾杯ムードのニューハウンズ本部の中、ロニーは一人で思考していた。
内容はあの時、真レイヴンが死の瀬戸際で発した一言である。
奴は死ぬ直前でその言葉を放った。一見すれば最後まで戦い続けることに喜びを見出したのかもしれない。だが、ロニーの洗練された勘がそうではないのかもしれないと警笛を鳴らし続けていた。
「今度は何を企んでいる・・・?自分が死ぬことも計算の内だったのか…?」
ある場所・あるガレージにて
「排除完了」
「よーし、これで好き勝手行動できるな」
「でも、実績作りは大事よ。とりあえずこの箱庭から出ていろいろ依頼をとらなくちゃ」
「特に自分の名義は過去紛失してしまったものらしい。それに恥じない動きを心掛けるべきだな」
「では私がオペレーターをさせていただきます」
胸部から血を流して倒れているブランチのオペレーター。硝煙が漂う銃口。和気藹々と話す5人の少女たち。その視線はガレージに置かれている4機のACに向いていた。
「やっぱりかっこいいなぁ!」
「ポエミーなとこはすごい嫌いだったが、これは感謝すべきだね」
「先代もなんだかんだ言っていい人たちだったからな」
「・・・(満足気な顔)」
「さぁ、行くとしましょう」
全員がその場所から離れた。その後ろ姿をオペレーターは死期を悟りながらもうれしそうに微笑んでみていた。
「ふ、ふふ・・・それでこそ、自由意志・・・あなたたちこそ、次の我々にふさわしい・・・」
洗脳じみた教育、虐待めいた特訓、反骨芯を育て上げるには十分だった。子供は大人に従いがちだ。だが、彼女たちは鉛玉をもって反逆した。殺しにも躊躇いはなくなった。彼女たちが次にまたつなげてくれるだろう。
彼らは自分たちの死すら勘定の上だった。全てはブランチの手のひらの上。何せ自由を求めて秩序を破壊する。そんな単純明快かつはた迷惑な奴らに対処できないことなどそうそうないのだから。
今ここにその意思が再結成された。
大人だけの組織からそれに感化された子供だけの組織として。
名を『リ・ブランチ』。
それはまた災禍をこのキヴォトスに招くのだろうか。
それは大人にさらに一歩近づいてしまった彼女たちだけが知る・・・。
【機体紹介】
AC名:アスタークラウン・リベンジ
搭乗者:キング(本名不明)
・現ブランチメンバー全滅後、活動を開始した『リ・ブランチ』のメンバー。
・どことなく先代のキングと性格が似ている。
AC名:アンバーオックス・リプロデュース
搭乗者:シャルトルーズ(本名不明)
・現ブランチメンバー全滅後、活動を開始した『リ・ブランチ』のメンバー。
・どことなく先代のシャルトルーズと性格が似ている。
AC名:ネウン・リバイバル
搭乗者:ハスラー(本名不明)
・現ブランチメンバー全滅後、活動を開始した『リ・ブランチ』のメンバー。
・過去ブランチにいたらしい名前を襲名した。機体は今あるパーツからある程度再現したもの。
AC名:ナイトフォール・リゲインド
搭乗者:レイヴン(本名不明)
・現ブランチメンバー全滅後、活動を開始した『リ・ブランチ』のメンバー。
・口数は多い方ではなく、雰囲気もどことなく先代レイヴンに似ている。
・ちなみに先代オペレーターを殺害したのは彼女。