欺きと幸福

 欺きと幸福


 蟲惑魔

 少女のような疑似餌で、獲物を誘引し昆虫や食虫植物を思わせる本体が捕食する

 犠牲者はみな身体を喰い千切られるかあるいは消化されるなどして恐怖のなかで息絶えることが一般的であるがシトリスと呼ばれる個体の性質は少し違った

 「起きて朝よ」

 シトリスの声によって男は目覚める

 少女のような容姿をしたシトリスは病的なまでに白い肌とそれとは対象的に豊かに膨らんだ乳房はある種退廃的な魅力を放っていた

 「今日も可愛いわね」

 そう言ってシトリスは微笑むと男の頬を撫でた

 勿論この姿のシトリスは疑似餌でありその本体は男の足場となっている巨大な粘着性のある葉でありそこからじわじわと養分を吸収していた 

 そのような状況下にも拘わらず男は一切の怯えや恐怖を見せることはない

 それはシトリスが他の蟲惑魔と違い獲物に対して直接的危害を加えることはせず、むしろ積極的に甘やかし可愛がることで依存させ最終的には自分の意思では離れられなくした上で捕食するという手法を取っているためである 

 「好きなだけ飲んでいいのよ」

 男はコクリと頷きシトリスの乳首を口に含むと母乳のような蜜が口の中に溢れてきた 「あらあらすっかり夢中になって……そんなに美味しい?」

 コクリコクリと無言のまま男は何度も首を縦に振る

 「ふふっ良い子ね。いっぱいお飲みなさいな」

 それからしばらくの間男は無心でシトリスの母乳を飲んでいた

 本来捕食者であるシトリスが獲物に栄養を与えるこの行為は非生産的なものだがその表情には慈愛のようなものすら感じられた

 「すっかりおっぱいが好きになったみたいね嬉しいわ」

 シトリスに捕らえられたばかりのころはじわじわと養分が奪われていく感覚に怯えていたが今ではすっかり彼女の甘やかしの虜となり彼女に従順に従う愛玩動物のような存在に成り果てた 

 「次は玩具で遊びましょう。どの子がいい?」

 シトリスが指を指すとそこにはシトリスによって捕らえられた女性たちがいた

 シトリスは獲物である男の好みに合わせて様々なタイプの女性を集めているのだ

 捕らえられた女性たちは男の足場以上の粘度をもつ葉によって身動きが取れず、シトリスや男の不興を買ったものは消化の速度を早められやがて蜜が滴る骸となり果てる

 そのため捕らえられた女性たちは少しでもシトリスや男に気に入られようと媚びいるように身体をくねらせたりしていた 

 当初はこのようなシトリスの残酷な行動に心を痛めていた男であったが次第に快楽に溺れむしろこの行為を楽しむようになっていた

 「フルルドリスがいいのね?やっぱりおっぱいが大きい子が好きなのかしら」

 どちらかといえばスレンダーな女性が好みだった男だが豊満な肢体をもつシトリスに甘やかされた結果なのか最近では肉感的な女性を好む傾向にあった

 「選んでいただきありがとうございますご主人様」

 そう言うとフルルドリスは妖艶な笑みを浮かべた

 誇り高き聖女であり騎士であったフルルドリスだが今ではすっかりシトリスの罠にかかり堕ちてしまった哀れな犠牲者だ

 鍛えられた均整のとれた肉体も長く捕らえられていたためかうっすらと脂肪に覆われてしまい乳房も以前に比べて一回り以上大きくなっていた

 「いっぱい遊んでいいのよ」

 シトリスの言葉に頷くと男はフルルドリスのたっぷりと実った乳房に手を伸ばし揉みしだいた

 「あんっ……いきなりなんて……いけない人ですね」

 フルルドリスは甘い吐息を漏らす、その表情に騎士としての面影はなくただ快感を求めるだけの牝の顔をしていた

 フルルドリスの乳房は母性的で沈み込むようなシトリスのものとは対象的に弾力があり柔らかかった 男はしばらくその手触りと大きさを楽しんだあと今度は乳首を口に含ませてもらった

 「んっ……」

 フルルドリスは一瞬ぴくりと反応したがすぐに力を抜いた 男は舌先で乳首を転がしながら時折軽く歯を立てるなどして刺激を与えるとそこからシトリスと同じように母乳のような蜜が溢れ出た

 フルルドリスの肉体はシトリスによって男を甘やかすための都合のいいものに作り変えられてしまっていた

 「あん、はああぁ……気持ちいいです…」

 男が蜜に吸い付けばフルルドリスはそのたびに淫らな声を上げる、度重なる調教により彼女の体はもうすっかり男から与えられる快楽無しでは生きられないものになっていた

 「ふふっ上手よ」

 シトリスは満足げに笑うと男の頭を優しく撫でた

 シトリスにとって男は食料であるが、愛玩動物でもあり嬉しそうにフルルドリスを愛撫する姿を慈愛の眼差しで見つめている

 やがて男は満足したのかフルルドリスの乳首から口を離すと溢れ出た母乳のような蜜をフルルドリスの乳房に入念に塗り込んでいく

 「ああっ……そんなに激しくしないでくださいぃ」

 敏感になった乳房を執拗に責められフルルドリスは切なげに身を捩らせる 

 男はそれに興奮して肉棒を取り出すと蜜で塗りたくられた乳房にそれを挟み込むこんでいく

 「すごい……ご主人様の……熱くて固くなってます」

 男の肉棒はフルルドリスの乳房に挟まれてビクビクと脈打っていた 男は腰を動かすと乳房を蹂躙するように犯していく

 「んっ……おっぱい壊れちゃいます」

 フルルドリスは乱暴に扱われながらもそれを喜んでいるようだった

 やがて限界を迎えた男は精液を放出すると 彼女の顔に白濁液が降り注ぐ

 「いっぱい出ましたね」

 フルルドリスはうっとりとした表情で顔にかかったものを指で掬い取り口に運ぶ

 「あらあら美味しい?」

 シトリスが尋ねるとフルルドリスはコクリと小さくうなずく

 「はい、とっても甘くて美味しいです」

 「ふふっ、良かったわね。」

 シトリスは従順に振る舞うフルルドリスを一瞥すると男に目線を移す

 「どうかしら、フルルドリスのおっぱいは気持ちよかった?また使いたい?」

 シトリスの問いに男は何度も首を縦に振る

 「喜んでくれて嬉しいわ。じゃあフルルドリスはキープしておかないとね」

 シトリスはクスリと笑う

 「いっぱい出して疲れたでしょう。お昼寝にしましょうか」

 シトリスは男を自身の膝の上で横たえると子供をあやすように背中をさする そして耳元で囁くように語りかける

 「ゆっくりお休みなさい。良い夢が見られるといいわね」

 男の意識は心地よい微睡みのなかへと落ちていった

 シトリスは葉っぱのベッドに男を寝かしつける

 そこは男のお気に入りの場所で、そこにいるとまるで母親に抱かれているかのような安心感があった

 「可愛い……寝顔ね」

 シトリスは男の頬を愛おしそうに撫でる

 「ずっとここにいて良いのよ。永遠にね」

 数刻経つと男は目を覚まし、シトリスに甘えるようにすり寄ってきた

 「よく眠れたみたいね」

 シトリスは男を抱きしめると優しくキスをした

 「ねえ、新しい子を連れてきたの。紹介するわね」

 「ひっ…」

 シトリスによって新たに捕らえられた女性は目の前に広がる光景に恐怖していた

 「ほら怖がらないで、あなたも仲間になるのよ」

 彼女は聖殿の水遣い

 エルフのような尖った耳と水色の髪をもち、ややあどけない顔立ちとそれとは相反する肉付きのいい体つきをしている

 シトリスは水遣いにゆっくりと近づき手を伸ばす

 「いや……やめてください!」

 しかし水遣いはそれを拒絶し逃げようとする

 「困った子ねぇ」

 シトリスはため息をつくと、水遣いの耳元で囁やく

 「そんなこと言ってると、あなたもこうなるわよ」

 シトリスはぞっとするような冷たい声で蜜が滴る骸に指をさす

 「え……ひぃっ」

 水遣いはそれを見て悲鳴をあげる

 「わかったなら大人しくしなさい」

 水遣いは怯えながらシトリスの言葉にコクコクと頷いた

 「いい子ね、これからよろしく頼むわ」

 シトリスは微笑むが水遣いの表情はぎこちないものだった

 「じゃあ水遣いちゃんといっぱい遊んであげて」

 シトリスは水遣いの服を脱がしていく、胸に取り付けられたベルトのようなものは外すとそこに窮屈そうに収まっていた乳房が解放される

 「すごいわね。ここまで大きいとは思わなかったわ」

 「あんまり見ないでください……」

 水遣いは恥ずかしそうに顔を背ける、着ているものをすべて脱がされると庇うように胸を隠すがその大きさのせいで隠しきれずむしろ強調しているような形になっている

 「だめじゃない。ちゃんとあの子に見せてあげないと」

 シトリスは水遣いの手を掴むと高く上げてバンザイの格好をさせる

 「やだぁ……」

 男は白日の下に晒された乳房を食い入るように見つめていた

 「よかったわ気に入ってくれたのね。好きにしていいわよ」

 シトリスがそう言うと男は興奮した様子で胸にしゃぶりつく

 「んっ……吸わないでください」

 男は乳首を舌先で転がしながら強く吸い上げる

 「あっ……そんなに強くされたらぁ……んっ」

 水遣いは男が夢中でしゃぶりつく姿に思わず顔をしかめそうになるがシトリスの機嫌を損ねることを恐れ必死に耐えた

 「ふふっ美味しいかしら?」

 シトリスはその様子を愉しげに見つめながら問いかけると男は答える代わりにさらに激しく吸い付いた

 「そんなおっぱいばっか…やめ…」

 「そこばかり気にしていいの?こっちが隙だらけよ」

 シトリスは不意をつくように水遣いの腋に舌を這わせる

 「ひゃあっ!?」

 突然のことに水遣いは驚きの声を上げる

 「ふふっ、驚いた顔もいいわね」

 シトリスは水遣いの反応を楽しむようチロチロと腋を舐め続ける

 「くすぐったい……やめてくださ……ひゃうん」

男も負けじと水遣いの乳首を責め立てる

 「ああ……おっぱい熱いですぅ」

 「ちろっ、随分と上達したね。その調子よ」

 2人は競い合うように水遣いの体を貪り続けた

 「んんっ……はあん…」

 2人の執拗な責めに水遣いの声は次第に甘いものになっていく

 「ふふっ、すっかり出来上がってるわね」

 シトリスは満足げに笑うと男が自身に物欲しそうな目線を向けていることに気づく

 「こっちのおっぱいが恋しくなったの?いっぱいちゅぱちゅぱしていいのよ」

 シトリスは誘うように乳房を差し出すと男はそれに勢いよく飛びついた

 「ほら、あなたも一緒に」

 「えっ…」

 水遣いは戸惑いながらもシトリスの乳首に舌を伸ばす

 「ん……れろ」

 「そうそう上手よ」

 シトリスは2人が一生懸命奉仕する姿を慈愛の眼差しで見守っていた

 「水遣いちゃんごめんなさいね。無理矢理こんなところに連れてきて、こんなことでしかお詫びできないけど許して」

 そういうとシトリスから母乳のような蜜が吹き出しそれを水遣いは嫌々ながら舌を伸ばし舐め取っていく

 「れろっ……!!」

 舌に蜜が触れた瞬間水遣いの脳内で衝撃が走る

 シトリスの母乳蜜はこれまでに感じたことのないほど甘味で脳髄まで痺れるような感覚だった

 「どう?美味しいでしょう」

 「あむっ……」

 水遣いは我を忘れたように乳房にむしゃぶりつくとシトリスはそれを労るように優しく頭を撫でる

 水遣いは身構えるが包み込むような手触りは警戒心を解きほぐし心地よい安心感を与える

 「よしよしいい子ね」

 「ふぁ……」

 水遣いにとっては恐怖の対象であったはずのシトリスはいつの間にか安らぎを与えてくれる存在となり、男と同じようにただシトリスに甘やかされたいという気持ちに支配され共に一心不乱に蜜を味わい続けていた

 しばらくして疲れてしまったのか水遣いはうとうとし始める

 「あら眠たいの?いいわよ寝ちゃっても」

 シトリスは優しく囁きかけると乳房から口を離しすうすうと寝息をたてて眠りについた

 男はそんなシトリスに頬を膨らませる、どうやら自身も同じように甘えていたのに水遣いばかりに構うことが面白くないようだ

 これはシトリスが男の劣情を煽るためにわざとしたことではあるがシトリスに甘やかされることに思考のリソースを捧げる男にそれがわかるはずもなかった

 「自分は他の女の子ともいっぱいエッチなことしてるのに嫉妬しちゃうなんてかわいい」

 そういってシトリスは男の肉棒を指で軽く小突きながらクスリと笑った

 「じゃあお口でいっぱい可愛がってあげる。はい、あーん」

 シトリスが口を開くと男は肉棒を突き入れ腰を振る

 「んっ、じゅぷっ、ちゅっ、はむっ」

 シトリスは小さな口に肉棒を頬張り健気に奉仕を続ける

 本来人を糧とする蟲惑魔はこのような技能は持ち得ないが捕らえた長年人間を何度も交配させた経験をもつシトリスの性技は並大抵のものではなく男はすぐに限界を迎えシトリスの喉奥目がけて大量の精液を流し込み、それを飲み干したシトリスは妖艶な表情を浮かべていた

 「んっ、すごい量ね。全部飲んじゃった」

 シトリスはそう言うと男をねがせて上に跨がり、自身の秘部を男に見せつける

 シトリスの秘部はこれまで捕らえてきた女性たちのものをモデルに精巧に再現されたものであり愛液を模した蜜が溢れていた

 「いっぱい気持よくなってね」

 肉棒を挿入させると膣内は熱くぬかるんでおり無数のヒダが絡みついてくる

 子を産むことを目的とせずただ獲物に快楽を与えるだけに作られた疑似秘部は人間の女性のものとは比べ物にならず男は瞬く間に果ててしまう

 「こんなに早く出して偉いわね」

 人間の女性にとって早漏はあまり好ましいものではないが、シトリスの場合は違う

 彼女の母乳蜜を摂取した人間の精力は格段に向上し射精をしてもすぐさま回復するようになっているためむしろ早漏はシトリスにとって美徳であった

 ただし効果はほんの一時的であるため膣内に母乳蜜と同等の成分をもつ愛液で満たされたシトリス以外との性交ではこのようにはいかないが

 「まだまだいけるよね?」

 シトリスはそう言って今度は激しく腰を振り始めた

 その動きに合わせて豊満な乳房が激しく揺れ動き男を魅了する

 「本当におっぱいが好きなのね。いいわよ、もっと吸わせてあげる」

 シトリスは男の顔に胸を押し当てるとそのまま搾り取るように強く吸い付かせた

 「んっ、ちゅぱっ、んんっ!」

 男はただなすがままシトリスから与えられる快楽を受け取りただ甘えるだけの存在になり果てる

 傍から見れば人としての尊厳を捨て去った情けないものではあるが男は強い幸福を感じていた

 「もうなにも考えなくていいの。それが一番の幸せなんだから」

 その後も男が疲れ果て挿入したまま眠りにつくまで行為は続いた

 「本当にかわいい、食べちゃいたい」

 シトリスは無防備に眠る男に優しく微笑みかける

 だが忘れてはいけない彼女は捕食者であり、今この瞬間も少しずつ養分を吸い取られ逃れられない死へと近づいていることを

 数日後に男はシトリスから与えられる幸福に包まれながら静かにその短い生涯を終えるのだった


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