次の課題
電伝虫の受話器を置き、デスクから立ち上がる
少し強張った体をほぐし、窓辺から外を眺める、今日も快晴だ
さて、ゼフのおかげでメニュー面の憂いはなくなった
そうなると次に気になるのは、その下の部分
要は皿などの食器類だ
今現在グラン・セーニョのレストラン艦で使用している物もあるにはあるが、ドッキングが完了し規模が拡大すれば、使用する数は数千・数万という単位で跳ね上がる
可能な限り、数は揃えておきたい
問題は質だ
と言っても庶民エリアの店で使用するものは問題ない、ほどほどのグレードと耐久性の大量生産品で構わないだろう
というのも、同エリアに出店するのは買い食い等の軽食や比較的安価な単品料理、大皿のパーティー料理が主
そんな中で使われている皿が名工の一品では、皿だけが異彩を放ち場の雰囲気を崩しかねない
まぁそれと知らず使う者も多いだろうが、何枚も積み重なっている皿が異様に凝ったデザインをしていては、違和感に感じる者も多いだろう
物はなんでもかんでも高級なものを使えばいいというわけではない
作りたい雰囲気に合ったランクのものを選ぶというのも、客商売では重要だ
私が気にしているのは、高級エリアで使用する物品
庶民エリアと違い、こちらは当然相応にハイグレードなものを使わねばならない
いいや、グレードだけではなく、柄や形、大きさにも幅を持たせたい
ゼフのおかげで料理に幅が出来たが、それを全て同じ皿で出しては元も子もない、どのような料理であっても対応できるようにしておかねば
まぁ早い話、質が良くて柄や種類が豊富な皿が大量に欲しいという事だ
ついでにそこそこ質の皿も相当数
普通であればどれほど時間的・資金的に余裕があっても物理的に難しい案件だが、あの島であれば可能だろう
あの新世界にその名を轟かす、職人たちの島であれば
そうなれば善は急げ、さっそく見積もりをして連絡しなければならない
そう考え、私は見積もりに必要な書類をかき集め、デスクへと戻った