果たすべき事 後編

果たすべき事 後編


『ドレスローザ 王宮内』

ウタがシュガーを助ける為覚悟を決め   オモチャの濁流に飛び込もうとした瞬間






(ウタ!!)






「えっ!?」


ウタが突然聞こえてきた聞き覚えの    ある声に驚きその方向に振り向く


(今の・・・ウソップ?)


ウタが振り向いた方向から何かがこちらに 飛んできた

それはシュガーを気絶させたあの変顔をしたウソップの人形だった


「あれって・・・            あの時のウソップの顔の人形!?」


あの顔をシュガーが一目見れば泣き叫び再び気絶するだろう

しかし今のシュガーは正気ではない

あれではウソップの人形を見ても意味は  無いだろう

現にウソップの人形はオモチャの波の   隙間を通りシュガーに気付かれもせず    王宮の壁にぶつかりただの絵に戻った




だがそれが完全に無駄になった訳では   無かった




「絵・・・」


『けっこう おれは芸術に長けてるんだぜ』


「写真・・・」


『狙撃の王様 そげキング        懸賞金 3000万B』


「映像・・・!」


『こいつの首を取った奴には!!      5億Bだ!!!』


「・・・そうだ!これならシュガーを   正気に戻せる!!」


シュガーを助ける方法を閃いた笑顔のウタは壁に描かれたウソップの絵に礼を言う


「ありがとうウソップ!!やっぱりあなたは私の救世主ゴッド・ウソップだよ!!!」


礼を言ったウタはさっそくその方法を行う為集中する

ウタワールドはウタの思い通りの想像を実現できる

しかしウタは人形から人間に戻って    少ししか時間が経っておらず       まだ能力の使用に慣れて無い為ウタの想像が上手く実現出来るかどうか確証がなかった

更にウタワールドの維持に既に       かなりのエネルギーを消耗しており    最早体力は尽きかけている状態だ


(だから何だ!!

『上手く出来るか自信が無い?』

『体力が限界?』

そんなの麦わらの一味は・・・       私の仲間達は全てぶっ飛ばしてきた!!! だったらその一人である         自分が出来ない道理は無い筈だ!!!!)


体の中から不思議と力が沸いてくる

離れている仲間達が自分に力をくれる

ウタは幼き頃に使っていた時の感覚を   思い出し

まるで息をするように能力を使い

ついにシュガーを助ける方法を実現する


(後は・・・)


シュガーの周りにいるオモチャ達     それを掃除しなければならない


「あなたの力も借りるよ!『サニー』!!」


後の海賊王を乗せサウザントオーシャンを 進みいずれ世界に名を残す        頼もしい仲間である海賊船

彼の代名詞となるその技をウタは口から放つ


「ガオン砲!!!!」


その一撃によってオモチャ達は吹き飛び  シュガーの周りに大きな空間が出来る


「スゥ~~~~~~~~シュガァ~~~~~~~~~~~!!!!!」


ウタの渾身の叫びにより         今まで反応が無かったシュガーが顔を向ける


「よく見なさいシュガー!!あなたの記憶を!!大切な思い出を!!!」


シュガーの周りに複数の人が現れる    その人物達は劇のように動き出す      それを見たシュガーは目を見開き     その人物達が描く物語を見るのだった






『奴隷か・・・お前達名前は?      無いのならお前はモネ・・・       そしてお前はシュガーだ・・・         歓迎しよう我がファミリーに・・・』




『文字が書けねぇのか?』


『・・・!』


『そう怯えるな・・・書けねぇのなら覚えればいい・・・そんな事でお前を捨てたりしねぇよ・・・』


『・・・・・』




『べへへへ!ねぇねぇ!          お前達っていつ死ぬの~?』


『『・・・・・!?』』


『トレーボル』


『べへへへ!冗談だ~ドフィ!』


『ピッキャラララ!            トレーボルの冗談は質が悪いからな』


『だがドフィ?コイツらに悪魔の実を    やるってのは正気か?』


『フッフッフ 別にいいだろう?     能力者は多ければ多いほどいいからな』


『まぁ・・・ドフィがそう言うのなら俺は 問題無いがな・・・』




『眠れねぇのか?』


『わかさま・・・うん・・・』


『たくっ・・・~~~♪』


『!その歌・・・』


『・・・シュガーが眠れなかったらこれを 歌ってやってくれってモネにな・・・   音痴だったか?』


『ううん・・・もっと歌って・・・』


『しょうがねぇな・・・~~~♪』




『お手柄だシュガー            7000万の賞金首を仕留めたようだな  褒美をやろう 何がいい?』


『じゃあこんや わかさまといっしょに  ねたい!』


『そんなのでいいのか?』


『うん!』




『若様~今大丈『許してください!!』!』


『何故お前がここに呼ばれたのかわからないのか?』


『な・・・何か粗相でもしましたでしょうか?』


『この写真に写っているこいつをお前は  何て言った?』


『えっ?その・・生意気なクソガキって   言いましたが・・・』


『こいつはシュガーと言ってな・・・   俺の妹だ・・・!!!』


『!!許してください!!お願いします!!助けて!!アアァァァァァァァァ!!!!』


『若様・・・』




『若様!ベビー5の奴がボッタクリに   騙されてまた借金を!!』


『そいつを町ごと吹き出しておけ』


『・・・ねぇ若様?           私が結婚したら悲しい?』


『!!・・・フッフッフお前が結婚?   フッフッフ!!』


『むう~』


『フッフッフ・・・           笑って済まなかったなシュガー        だがお前が結婚か・・・         お前は賢いから悪い男に         騙される事も無いだろう         俺は反対しないぞ?           そいつが俺のファミリーに入るのならな』


『そう・・・』


『・・・・まぁお前が結婚するのは    少し寂しいし悲しむかもな』


『!!・・・そっか・・・エヘヘ・・・』


『ドフィ!!ベビー5の奴が        今度は結婚詐欺師に騙されて借金を!!』


『そいつを拷問にかけて職業安定所にでも 売り飛ばしとけ』






思い出されるのは大切な記憶

ファミリーで過ごした日々

あの人に拾われて救われたシュガーという 少女の人生

それを全て思い出したシュガーの目は   光を取り戻し

ホビホビの実を食べた時に止まった年齢と 同じように泣き叫ぶのだった


「うう・・う゛わ゛ァァァァァ!!!     あ゛あ゛あ゛ァァァァァァァァァ!!!!」


ああそうだ思い出した






『シュガー・・・』


『どうしたの若様?』


『・・・・・・モネが死んだ』


『・・・・・・・・・・・・・・・えっ?』




血が繋がった唯一の肉親を失ったショックで若様の懐で泣いていた時




『・・・・・・・・・・・』


『・・・・・・?・・・・・・若様?』






あの時若様・・・泣いてたんだった






(シュガー・・・貴方も同じだったんだね)


『お前音楽が好きなのか?         だったらお前の名前はウタだ!!』



ウタもシュガーも自分を救ってくれた人から


『名前』を与えられ


『居場所』を与えられ


『仲間』を与えられた


だからこそその人の為に頑張れる

その人の為に命も賭けれるのだ

ウタはまるで自分の事のように嬉しくなっていた


しかし・・・何故こんなに色々似ているの だろうか?

やっぱり友達だからだろうか?

それとも何か謎の波長が同じなのだろうか?

ウタは今が戦闘中だというのに緊張感の無い考え事をしていた


「どういうつもり・・・?」


その声に考え事を中断し声がした方向に   振り向くとウタを睨んでいる泣き腫らした シュガーがいた


「敵に塩でも送ったつもり?        貴方の力を使えば正気じゃない私を殺す事 なんて簡単だった筈よ!」


「殺すって・・・そんなつもりは最初から 無いよ?」


「何でよ!私は貴方を人形にしたのよ!   しかも12年間!貴方は親からも友人からも忘れられ!大好きな歌も歌えず!なのに  何で・・・」


「う~ん・・・わかんない!!」


「はぁ!?」


「確かに人形にされた時はどうしてって  思ったし・・・シャンクス達やルフィに  忘れられて悲しかったし苦しかった・・・ もしルフィが名前を言ってくれなかったら 身も心も人形になってたと思う」


「・・・・・」


「だけどね!ルフィと一緒に海に出て   仲間がどんどん増えて色んな場所に行ったらそんな暗い事が全部どうでも良くなっちゃった!むしろ皆の役に立つにはどうすれば  いいかず~と考えてたよ!」


ウタは楽しそうにルフィ達との冒険を自分がどんなことをしてきたのかシュガーに話した

それはまるで離れていた瞬間にあった楽しい出来事を友達に話す子どもみたいだった


「それでこのドレスローザで人間に戻れて 12年振りにシュガーに会ったらすっごく 嬉しくて! だけどルフィ達の所には    行かせられない!って思ったから止めようとしただけなので殺そうとは思ってません!」


「すごくはっきり言い切ったし話が長いし めっちゃ表情がイキイキしてるわね!?」


言いたい事を言ってスッキリしたウタに  突っ込みを入れたシュガーは表情を呆れさせ最早怒鳴るのも馬鹿馬鹿しいと思った


「はぁ・・・もういいわ・・・       一体誰の影響を受けたのかしら・・・」


「じゃあ口喧嘩勝負は私の勝ちだね!」


「はぁ!?そんなの聞いてないわよ!?  無効!無効よそんなの!」


「や~い 負け惜しみ~!」


「・・・・・クスッ」


「・・・・・フフッ」


「「アハハハハハハハハハハハ!!!」」


二人の少女は笑った

お互いに心の底から思う存分笑っていた


「ハハハ・・・ハァ・・・じゃあ始めま  しょうか?」


「アハハ・・・うん・・・始めよっか   私達の・・・」


「「どっちの海賊団が凄いか勝負!!!」」


ウタとシュガーはお互いに距離を取る

この戦いは殺し合いなどではない

自分の所属している海賊団のどっちが強いか格好いいか優れているか

負けず嫌いな二人の意地のぶつけ合いである


「誰が何を言おうと何と思われていようと 関係ない!!私にとっての若様は・・・  救世主は・・・ドンキホーテ・ドフラミンゴただ一人!!!」


「負けないよシュガー!!ルフィは私に  とっての光であり・・・太陽であり・・・ 夢でもあるんだ!!」


先手はシュガーだった

先程覚醒したホビホビの能力によって   オモチャの軍団を生み出す


「無限の玩具兵団!!!」

『アンリミテッド・トイ・アーミー』


それを見たウタも負けじと自身の幼馴染みの力を借りる

拳を地面に置き体から蒸気を発する


「ギア2!!!」


そのままウタは向かってくるオモチャ達に 技を放つ


「ゴムゴムの~JET銃乱打!!!」


オモチャを蹴散らしたウタは瞬時にシュガーに近づき


「ゴムゴムの~JETバズーカ!!!」


強烈な技を打つが無数に集まったオモチャの壁に阻まれシュガーまで届かなかった


「ゴムゴムの~JET戦斧!!!」


ならばと強力な踵落としをお見舞いする   オモチャの壁は壊れたがシュガーは躱す

すると空から槍を持ったオモチャ達が降ってくる ウタはそれを迎撃するため足元から 竜巻を出し回転しながら飛んでいく


「ゴムゴムの~JET暴風雨!!!」


オモチャを迎撃したウタは手を前に出し  シュガーに狙いを定める


「!ぜんた~い!!狙え!!」


シュガーもまた迎え撃つ為オモチャに指示を出す


「ゴムゴムの~JET銃!!!」


ウタの拳はシュガーに直撃するがすぐに  シュガーも反撃する


「ぜんた~い!!撃てぇ!!!」


オモチャ達の砲撃がウタに直撃する

吹き飛ばされたウタは着地するが待ち伏せ していたオモチャ達に拘束されてしまう


「あら?もう終わりかしら?」


「何の!まだまだ!」


ウタはそう言うと自分の親指を噛む


(そういえば・・・)


『よ~し出来たァ!』


『ルフィ?何が出来たんだ?』


『ウソップ見てくれ!名付けて      ウタ ギア3バージョンだ!!      ウタが巨人の腕に憧れてたみたいだから  片方の腕に綿を詰め込んだんだ!』


『キィ~♪』


『おいおい・・・そんな事したらナミの雷が落ちるぞ・・・』


『私が何だって~~~?』


『やべ!?逃げるぞウタ!!』


『キィ!!』


『俺は関係ないぞー!?』


『待ちなさいあんた達!!』


(あの後ルフィしこたま怒られたっけ懐かしいな~)

「ギア3!!!」


そんなやり取りを思い出しながらウタは手を巨大化させオモチャ達の拘束を破壊していく


『いいか!ウタ!巨人の銃のコツは大きく振りかぶって~こうだー!!』


『キィ~~~キィィィ!』


『ちがーう!こうだー!!』


『キィ~~~キィィィ!!』


『よーしいいぞー!こうだー!!』


『キィ~~~キィィィ!!』


(まさか本当に役に立つなんてね!)


巨大な腕を振りかぶったウタを見たシュガーも周りに大量の糸人形を出しそれらの糸を 全て束ねる


「これなるは神に捧げる乙女の祈り!!」


そして二人の少女の技が同時に繰り出される


「ゴムゴムの~巨人の銃!!!」


「乙女の祈願!!!」

『メイデン・プレイアー』


ウタの巨大な拳は糸の束にぶつかり拮抗する


「ウタ・・・!何故貴方は私と戦っているの!?何故私に勝ちたいの!?」


「えっ!?」


技のぶつけ合いの最中にシュガーが突然ウタに質問してきたのだ


「私は貴方に勝って先に進み麦わらのルフィを倒して若様を勝利させたい!!貴方は!?貴方は何故この戦いに挑んだの!?この戦いに勝って何がしたいの!?答えてみなさい!!麦わらの一味のウタ!!!」


「私は・・・うわぁぁぁぁぁ!!!」


更なる力を込めた拳は糸を吹き飛ばし    そのまま拳がシュガーに直撃するが四方八方に飛んだ糸がウタに直撃する


「「ハァ・・・ハァ・・・次で・・・    最後!!!」」


恐らく次の攻撃で最後

次は無い事が理解できた二人は最後の攻撃に移る


(私のしたい事・・・)


すると突然 ある『約束』を思い出した


『はい!また私の勝ち!』


『くっそ~ずるいぞ!!』


『出た!負け惜しみ~私に勝てないようじゃシャンクスの船には乗れないね~』


『う~・・・よし決めた!』


『何を?』


『いつかおれは絶対ウタにかつ!だから  ウタ!お前もおれが勝つまで誰にも負けるな!』


『はぁ?何を勝手に・・・』


『にししし!もう決めた!』


『はぁ・・・しょうがない・・・いいわ! 海賊同士の約束よ!』


『おう!約束だ!』


『だけどな~これじゃ私おばあちゃんに  なっても負けられないじゃん~』


『なにをー!?すぐに勝ってやるー!!』


(そうか・・・『約束』・・・)


『行っちゃったな・・・シャンクス・・・』


『キィ・・・』


『そんな顔すんなウタ!いつかおれはこの 麦わら帽子が似合う立派な海賊になって  シャンクスに会いに行く!その時はウタも 一緒だ!』


『・・・!キィ!!』


「そうだね・・・約束は守らなくちゃ!!」


そう言ったウタは先程と同じように腕を  膨らます しかしその腕は先程よりも更に 大きくなっていく


『レイリーは驚いていたけどよ!      ウタはどう思う?』


『キィ!キィ~!!』


『なっ?いいアイデアだろ?にししし!!』


ルフィのアイデアを元にどんどん腕を   膨らませ更にウタウタの力を使い金色の籠手を纏わせる


シュガーもまた自身の腕にオモチャ達を合体させていく オモチャ達をどんどん取り込み巨大な機械の腕のようになった


「無邪気なる子どもの手!!!」

『イノセンス・チャイルド・ハンド』


そして今二人の最大の攻撃が繰り出される


「ゴムウタの~~~~~~~!!!」


金色の籠手を纏った巨大な腕を      振りかぶり拳を繰り出すウタ


オモチャが合体した巨大な機械の腕を   振りかぶり拳を繰り出すシュガー


巨大な拳が空気を引き裂きながら激突する






「新世界交響曲銃!!!!」

『ドヴォルザーク・シンフォニー・ガン』


「玩具破壊遊戯!!!!」

『ピュアハート・トイ・カタストロフィ』






巨大な拳同士の激突は辺り一帯を吹き飛ばし周りに強力な衝撃波を放つ

ウタとシュガーの二人は最早体が限界を迎えているが残った気力と意地によって全力の力を出していた

故に勝負を決めるのは自分自身の何かが相手を上回る事だ


(私がやりたい事・・・果たしたい事は!!)


『ウタ・・・いつかルフィと一緒に俺に   会いに来い・・・俺は必ず待っている!!』


『ウタといったか・・・お主はルフィの傍に居てくれんか・・・わしは一緒に居て   やれん・・・どうかルフィを見守ってくれ』


『ウタ!ルフィを任せたぞ!お前が傍に  いないと兄としちゃ心配なんだ!』


『・・・いつかお前が酒を呑めるように  なったら俺のお気に入りの酒を奢ってやるよ』


『ウタ!今度服をいっぱい縫うから沢山  おしゃれしましょ!』


『よーし!ウタ!このウソップ様が    スペシャルな楽器を作ってやるからな!  楽しみにしとけよ~?』


『いつかきっとウタちゃんが食べられる  最高の料理を作ってあげるからな!』


『おれは医者だから人形は縫えねぇけど  もしウタが病気になったら絶対に治して  やるから!』


『いつかまた会えたら!!!もう一度仲間と呼んでくれますか!!!?』


『ウタ!この前面白い本を見つけたの今度 また一緒に読みましょ?』


『アウ!!もうすぐス~パ~なマシンが  出来るからよ!試運転頼むぜウタ!』


『ウタさん・・・もし貴方のその呪いが  解けた時は私とデュエットをしてくれませんか?』


『ウタ!ルフィの事頼んだぜ!お前が一緒 なら兄としても安心だ!』


「みんなとの約束を守る事・・・     そして!!」


ウタの拳の勢いが増し           シュガーの拳を押し返す


「・・・!?何処にこんな力が!?」


『・・・・・これがおれの夢の果てだ!  話したのはシャンクスとウタだけだぞ?  いつかウタの夢も叶うといいな!』


「私は・・・私は・・・・・!!」


『おれは海賊王になる男だ!!!!』


「私は新時代の歌姫になる女だ!!!!」


その宣言と同時にウタの拳がオモチャの拳を砕きシュガーに直撃し吹き飛ばす


(そう・・・それが貴方の果たしたい事なのね・・・敵わないや・・・)


シュガーは薄れゆく意識の中とある記憶を 思い出す


(そういえば・・・確かあれは若様がパンク ハザードから帰ってきた時だっけ・・・)




『若様お帰りなさい!・・・?どうしたの?』


『・・・・・シュガーお前は俺に縛られるな』


『えっ?』


『いつか俺から離れる時お前は自由に生きろ過去なんかに縛られる事も無く鳥籠の中から飛び立て』


『若様・・・?何を言っているの?』


『・・・!フッフッフッ!すまないシュガー少しナイーブな気持ちになっていたようだ 今言った事は忘れてくれ』


『・・・・・・・』




(自由になったら・・・見つかるのかな?   私の果たしたい事が・・・若様・・・)


床に倒れたシュガーはそのまま意識を手放すのだった











「・・・・・・」


「あっ!おきたしゅがー?」


シュガーが気が付くとそこはウタワールド ではなくボロボロの王宮内の通路

シュガーはウタに膝枕されていた


「・・・・・言っとくけど負けたのは私が 弱いからじゃ無いから」


「でた!まけおしみ~!」


先程のウタワールドでのやり取りと比べたら何処か少し拙い喋り方だった

12年もの間喋る事が出来なかったのだ  考えてみれば当然である


「・・・・・強いわねウタは」


「?」


しかし彼女は負けなかった 自分の足でここに来て 自分の意志でシュガーを止めた  そして自分の船長を信じている

しかし自分は一度若様を疑ってしまった  その挙げ句にあの暴走 負けて当然だ


「・・・しゅがーもつよいよ」


「私が?」


「だってしゅがーはわかさまのもとで   がんばってきた ずっとかんぶのざをだれ にもわたさなかった それってきっとすごいことだよ」


「・・・わかった認めてあげる 私の負け 完敗よ」

(この子には色んな意味で敵わないわね)


「じゃあそろそろわたしいくね・・・   ねぇひとつきいていい?」


「なに?」


「どうしてわたしをおもちゃにしたの?」


「・・・・・・」


シュガーは思い出していた

あの日エレジアで人が入ってはいけないと 言われていた場所の近くでウタの歌を聴いていた時

あの楽譜が突然ウタの前に現れた瞬間を

若様から聞きエレジア調査の目的でもあった歌の魔王『Tot Musica』

ウタウタの能力者が歌えば世界が滅びると いう楽譜

あれがその魔王だったのかはわからない

だがあの時ウタが楽譜を見ていると猛烈に 嫌な予感がして

それを歌おうとするウタを止めようと・・・


『歌っちゃダメ!!!』


「・・・・・さぁ?何でだと思う?」


「・・・・・そっか・・・ありがとう   しゅがー!!」


満面の笑みを見せたウタはぎこちない足取りで走っていった


「・・・・・本当に誰の影響を受けたの  かしら・・・」


そう漏らすシュガーの顔は嬉しそうに   微笑んでいた


(若様・・・私いつか夢の果てを見つけて  そこに羽ばたいてみせるね・・・・)




ドレスローザ王宮内 幹部戦


ウタVSシュガー


『シュガー』脱落




後に玩具の姫は騒がしいが誰にも負けない 夢を持つ人物に出会う事になるのだが   それはまだ少し先のお話・・・


そして後の新時代の歌姫が自身の幼馴染みに再会し勝負の負けを認めるのは       あともう少し先のお話・・・

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