【来館前】
Part10 - 131.137「こっちの方が彼女に似合うと思うんだが」
「いや、確かに似合うが、アレの好みではないな」
「……相変わらずファッションというものは分からないね」
「流石の“緋色の研究”もファッションにはお手上げか」
「そういう“灰の傷跡”は最近“パパ”が板についてきたじゃないかね?」
「謝るからよせ、最近“白”と“茜”の見る目が白くなってきている」
「私の服もついでに見てくれたら考えないでもないが」
「……そう言って、適当に服買わせたいだけだろ」
「────パパと呼んであげようか?」
「仰せのままに、クソッタレな我が娘よ」
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「……で、この後の予定は?」
「買った服を光羽か茜に預けてから“コイツ”だ」
(招待状を出す音)
「───あぁ図書館だったか、確かL社とR社の特異点狙いだったね」
「そうだ、後ついでにねじれ関連の本も欲しいとのこと」
「優先度は?」
「今日も“命大事に”だ」
「たまには死んでこいと言われてみたいもんだ」
「……アレはそういうこと言わんだろ」
「わかってるさ、アレとは君より付き合い長いんだぜ?」
「だったら服の好みくらい覚えてやれ」
「無理な話だ、光羽が入ってからようやくファッションという文化が来たのだから」
「………茜と橙が頭抱えるわけだ」
「何か言ったかい“パパ”?」
「……滅相も、クソ娘よ」
(招待状にサインする音)
「では行こうか、前は任せたよ“灰の傷跡”」
「後ろにいてくれるだけでいいさ“緋色の研究”」