未知への探求

未知への探求



ローは男だ。

26年男として生きてきた筈だ。

それなのに。

いくらなんでも理解が追いつかない。

自分だけ股関だけが女のままだなんて信じたくなかった。でも、何度見てもそこにあるのは女性器で、26年間見慣れたモノは存在しなかった。

「あり得ねェだろ…!?」

目の前が真っ暗になりそうだ。

これは夢だと何度も思った。

眠って目が覚めればいつも通りの身体に戻るかもしれないと、そう思い込もうとした。

だが、目覚めても秘部はやはり女性器のままで。

一晩経ってもそのままだったということは、股間だけ女になってしまったのだと認めるしかなかった。


ローに医者としての知識や技術がある以上、自分の身体を治す為に知識が必要だった。

そこで思いついたのが、自ら触診してみるという事だった。自分で自分の身体を調べる事で何か分かるのではないかと思ったのだ。


ベッドの上に膝立ちになると、まずは指先で恐る恐る触れてみる。すると今まで感じたことのない感覚が全身を襲った。それはくすぐったさと少し似ていて、それでいてもっと強い刺激だった。

未知の感覚に恐怖を感じながらもそのまま割れ目をなぞってみる。なんとも言えない異物感が異物感が下半身を襲う。そして同時に不思議な高揚感もあった。

「あァっ…!?」

指先が陰核に触れた瞬間、今まで感じたことのない快楽に襲われた。

性行為をしているわけでも、快楽を伴うような触り方をしたわけではないのに感じてしまった。

「これが、女としての快感なのか…?」

また恐る恐る陰核に触れてみると、先程よりも強烈な刺激に襲われる。思わず心臓が跳ねるのを感じる。


もう一度試したい衝動を抑えて深呼吸を繰り返す。

落ち着かせるように何度か繰り返しているうちにようやく鼓動が落ちついてくる。

今度はゆっくりと人差し指だけで撫でるように動かしてみた。先程よりも刺激は少ないものの、それでも充分過ぎる程の快楽があった。

女は男よりも感じやすいとは聞いていたが、ここまでの刺激だなんて想定外だ。

「でもっこれは、触診だから……」

決して快楽のためにやっているわけではない。ローはまるで言い訳のように口に出して、指を動かし続ける。

そのまま暫く弄り続けていると、徐々に蜜壷から愛液が流れ出してくる。

それを掬うようにして擦り付けるとぬちゃっと粘着質な音が響いた。


知らない。

こんな感覚は知らない

ただ触っているだけでこんなに濡れるなんて、知らない。

戸惑いながらもローは行為を続ける。溢れ出る愛液のせいで滑りが良くなり、どんどん指の動きは大胆になっていった。

気がつくと中指まで入っていて、二本の指を出し入れしていた。クチュクチュとした水音が大きくなるにつれ気持ち良さが増していく。

「あァっ……ひぅ、んんっ」

無意識のうちに腰を動かしていて、それが更なる快楽を生む。声を抑えられない。こんな淫らに快楽を追い求めるなんて、普段の自分からは考えられなかった。

頭の片隅では冷静になろうとしている部分もあったのだが、身体が言うことを聞かない。本能に従うまま自慰を続けてしまう。最初は本当に触診のつもりだった。しかし、いつの間にかそれを上回る程の興奮を覚えていた。手が止まらない。気持ちいい。止めたくない。

「ふぁっ、あ……ああん!」

ビクビクッと痙攣しながら絶頂を迎える。足が震えて、ローの身体はベッドの上へと倒れ込んだ。頭が真っ白になり何も考えられない。脱力感に襲われながらも余韻に浸る。

やがて落ち着いてきた頃、自分が何をしてしまったのか思いだし一気に青ざめる。

「おれ……何やって……」

我に帰ったローは自分の行いを振り返り愕然とする。

自分は今一体何をしていた? 

信じられないような事をした気がする。触診なんてものじゃない。ただ快楽だけを追い求めて、女のようにナカだけで達してしまった。

相変わらず、ローの股間には女性器が存在している。濡れて、受け入れる準備は万全とでもいうように痙攣している。

元々性的なことには関心が薄い方だと思っていた。健康に害がない程度で発散して満足していた。



それなのに、先程の感覚が忘れられない。

はしたない行為だとわかっているのに、指がそこへ伸びていくを止められない。

そしてローは、その長い指を濡れた秘部へと恐る恐る入れていった。


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