未来島への経路
※デボオガ要素あり
※本誌の勢いのままに書いてる
※捏造だらけ
※夢しか見てない
「すまないデボン、練習に付き合ってくれないか?」
「あら、能力を使いこなせるようになってきたの?」
男の口元が少し歪む。どうやら完璧主義者の彼としては満足いくものではないようだ。だが職人気質な彼が努力していることは周知の事実。どうも視力が良いぶん遠くまで行きたくなるようだが、あまり離れ過ぎると精度が落ちるようで、ピサロが溜め息を吐きながら、海から引き上げるのを何度も見たものだ。自分の限界値を知ることと能力の発動範囲を拡げること、それを並行して修業していたことをこの海賊団の者なら誰でも理解していた。
「揶揄ってごめんなさいね、でも随分と上手になったんじゃないかしら」
「まだまだ改善の余地はある」
移動手段として期待されていたこともあり、彼は能力を手に入れたその日にバージェスと一緒にワープを試みた。直ぐに大きな水音が2つしたのは今や懐かしい思い出。苦い経験を生かして、それ以降はラフィットやクザンが練習相手になっていた。大きな羽音が響いたり海が凍ったりするのも慣れた光景であった。
「次の任務はお前とだろう。慣れておきたくてな」
「ムルンフッフ、御気遣いどうも。そんなにやわな女じゃないから気にしなくて良かったのに」
「デボンの服を些末なことで汚したくなかったのだ」
一瞬目を丸くする。船長たちの中でも特に若い彼がそんなことを考えていたなんて。寡黙な彼が珍しく饒舌に話す。
「着飾っているお前に無粋な泥は似合わんだろう?」
「あら口説き文句?」
「そう捉えてもらって構わない」
「口が上手になったわねぇ」
一緒にワープする条件はシンプルだ。彼に触れていれば良い。大抵は彼が対象の肩に触れて能力を発動させていた。歩み寄って見下ろすと声を掛ける。
「心積もりはできてるわ。いつでも始めて頂戴」
「では、お手をどうぞ」
あまりにも自然体に差し出された手に驚きつつも微笑む。手を重ねると思ったより温かかった。
「貴方、いつから紳士だったの?」
「さぁ覚えてないのである」
急にぶっきらぼうになる彼に目を細める。まだまだ幼さは残っているようだ。
「では、始めるぞ」
無事にワープが終わる。初めての感覚に高揚感を得た。手には温もりが残っている。
「問題無かったわ。ありがとう」
「ああ、良かった。では次は任務で」
「ええ、次はエッグヘッドで」
そう答えると私たちは2人して嗤い合った。