朝会話

朝会話

センシティブ漫才


泊り客の金船と旅亭オーナーの早朝会話

・金船には自分よりでかい年下攻にぐいぐい迫られて欲しい(願望)

・デリカシーの無いセンシティブな単語が飛び交うだけでエロくはない



スタッフ用の業務エレベーターのドアが開く音に振り返る

客室数と規模を考えれば過剰設備と言えるが元から設置されていたのを

一部の常連客と同じ箱で階移動なんぞしたくないからそのまま使っている


スタッフオンリーを気にせず入り込む迷惑客の正体は

デカい図体に白化の進んだ芦毛、母方9割方由来、残りは俺の母親から隔世遺伝したっぽいデカ流星と白化前の元栗毛の毛色。

総合的に見た目は俺にはどこも似てないが息子の金船である

昨晩檜風呂の付いた和室の鍵を渡したので浴衣なのはまあ判る、どう見てもサイズが合わずつんつるてんなのと皺のついたチノパンとの組み合わせは珍妙だが

ウチのホテルは基本的にバスローブだが和室は情緒を優先して浴衣を備えている

「…なんで小さい浴衣羽織ってるんだお前」

訊きながら今日のツレはデカいコイツよりも更に長身だったのを思い出す

「半裸で部屋から出るよりマシと思って」

スタッフ用のエレベーターを使ったのも他の客の目を避ける為か

「それより親父。洗濯機貸して、洗わないと服が無い」



「しっかしお前にしちゃ珍しい失敗だな」

乾燥機能もある業務用洗濯機に衣類を任せると休憩室に入る前に

一応、ホールに客が居ないか一瞥する

「シャワー前の開戦は想定外だったんだよ」

予備の浴衣を着直した金船は特に断りもなくスタッフ用の冷蔵庫を開ける

元厨房を休憩室にしてるので調理道具は一式揃っている冷蔵庫と電子レンジ、電気ケトル以外俺は使ってないが

「俺が抱えあげられて寝床に連れ込まれるとは思ってなかった」

「貴重な初体験じゃねえか」

揶揄いながら煙草に火をつける。

「服脱ぐ隙もなくて1Rは着衣プレイになるし」

「焦らし過ぎたんだろ」


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