月の城、愛する人の腕の中で
時刻は深夜。月明かりに照らされた広いベッドルームに、色とりどりの嬌声が響き渡る。
「はっ、はぁ…♥ …んっ…♥ ぁん、そこ、そこイイわ…♥」
「「式」さんってほんとここ好きだよね。ここいじめると貪欲に絡みついてくる…!」
「あ、はぁっ…♥ っ♥ なんて、はしたない…♥」
「オレははしたないアースも好きだよ……くぅっ……ヤバ…!」
「リツカ、リツカぁ♥」
「…フーッ……フーッ…」
両手の指でも数え切れない程に分身した、全裸の藤丸立香。その逞しい身体に、同じく全裸の女達がザーメン塗れの身体を擦り付けている。
その女達は、立香を分身させた張本人である「両儀式」、そしてアーキタイプ:アースとアルトリア・アヴァロン。
ここは一等地とは言えないものの、それなりに良い土地に立つ新築一軒家……ではない。
彼らがいるのは、かつて朱い月の居城だった千年城ブリュンスタッド。アルトリアの伝手で妖精郷・アヴァロンの一角を借り、アーキタイプ:アースの手で具現化されたそれは、どこぞの夢魔対策で「式」による一種の幻術までかけられている。
ご近所には「旅行」と言っていた今回の件だが、実際はとんでもない乱痴気騒ぎをするための方便だった訳だ。
「「「んぶッ♥ ぢゅぼッ♥♥ じゅぞぞぞぞッ♥♥♥」」」
人智の及ばぬ力を持つ超越者達が、ただの人間でしかない立香に跪き、彼のチンポを美味しそうにしゃぶっている。
亀頭に舌を這わせ、裏筋を舐め上げ、玉袋にキスを落とす。
(いつもは三人で交代しながらしてくれるけど、これも良いな……っ…!)
アルトリアにフェラチオをしてもらっている無数の立香の一人が、そう思いながら満足げに射精する。勢い良く放たれた熱い白濁はアルトリアの口を穢し、喉を通って胃の中すら穢していった。
「ちゅぷ♥ ちゅっ♥ ぷは、ぁっ…♥」
アルトリアの口からペニスが引き抜かれる。太く、長く、硬い。端的に言って魅惑のチンポだ。いつもならその一本を上下の口でじっくり堪能するが、今日は違う。
「…♥ おかわり、いただきます♥」
アルトリアの……否、三人の眼前にチンポが突きつけられる。「式」の力を受け、大量に分裂した立香が大挙して押し寄せ、扱いても扱いても次が来る。ここは地獄のような天国だと女達は思った。
肌と肌、胸と胸板、唇と唇、ペニスとヴァギナが触れ合い、思い思いに精や荒い息を吐き出している。
女達の周囲には無数の立香が控えている。待ちきれなくなった何人かは彼女達の痴態をオカズとしたオナニーに興じ、散発的にザーメンをぶっかけていた。
「騎乗位うまくなったね、アース…!」
「ぁっ…♥ ありがとう、ございますッ♥♥」
「式」とアルトリアが立香にのしかかられている。その横で、アースは逆に立香に跨っていた。
全身を密着させながら尻を持ち上げて落とすアース。躍動する極上の女体の下で立香が呻くと、熱い迸りが放たれた。アースは子宮に染み込むその熱を受け止めながら、ザーメン欲しさに膣奉仕を続ける。
「はぁっ♥ ぁんっ♥ んぅっ♥ …立香ぁ…♥ …んっ♥」
肌が触れ合う中顔を寄せ、立香の唇に口づける。
舌を絡ませ唾液を送り合い唇を触れ合わせる度、アースの心に温かいものと熱いもの───愛と快感が広がる。
触れ合う肌、繋がる性器、交わる舌。肉と肉、精神と精神を深く深く融け合わせ、互いの境界すら曖昧になる程繋がり続ける。
立香の上でいやらしく腰を振る自分を知覚したアースは、脳髄が蕩けるような悦楽を味わった。
「立香っ♥ もっと♥ もっと気持ち良いのください♥ 向こうの二人みたいに、愛をくださいっ♥♥♥」
「ぁっ♥ あんっ♥ はぁん♥ あああっ♥ リツカのチンポ好きっ♥ 大大大好きぃ♥」
「んぅ♥ まだこんなにたくさん…♥ 良いわ、もっと来て♥ 立香の全てを、私にぶつけてちょうだい♥♥♥」
…アースもアルトリアも「式」も、愛する立香とのセックスにすっかりのめり込んでしまっている。
ザーメンで全身を彩りながら、接合部を見せ付けるようにして身体をくねらせる。無数の立香に欲望の限りをぶつけて、おかしくほしいから。
性に狂い始めた女達の頭から、自宅での企画時にあった羞恥心や抵抗感は消えていた。タガが外れたかのように相手を替え場所を変え、体位も変えて交わり続ける。
チンポでアナルを貫かれ、獣のように吼えた。人智の及ばぬ力を持つ三人ならば、不浄の穴すら清潔に保てる。タガが外れた今、シない理由がなかった。
「あはぁッ♥ はぁっ♥ イクッ♥ イグッ♥ いぐぅっ♥♥♥」
「イッ、ぐぅ♥ あっ♥ ぁああぁぁッ♥♥♥」
「あーーっ♥ あぁーーッッッ♥♥♥」
性欲の赴くまま、獣のように腰をぶつけあう。狂ったようによがり、精液と愛液を撒き散らしながら絶頂に達する。
一人が射精してもまた次、そのまた次がある。この快楽に、幸福に、終わりどない。
「立香っ♥ そこっ♥ そこよっ♥ 私の気持ち良いところッ♥ もっとごりごりしてぇッ♥♥♥」
「リツカぁ♥ それイイッ♥ リツカの恋人チンポイイッ♥♥♥ 太くて硬いのでマンコするの好きっ♥ ケツマンコするのも好きっ♥ リツカとセックスするの大好きぃッ♥♥♥」
「だ、そうだけど……アースはどう?」
「前と後ろ、どっちでするセックスが気持ち良い?」
「ん、ぅっ…♥」
自分をサンドイッチする二人の立香に突然問われたアースは、比べられる訳がない、と思った。だって、どちらもたまらない程に…。…けれど、それを言ってしまうのは淑女としてはしたないような気がする。こんな乱痴気騒ぎに興じて何を今更と思いながらも、そう思わずにはいられなかった。
「…アースは後ろでヤるの、嫌い?」
「ぅっ…♥ …うぅっ…♥」
気遣うような言葉と共に、立香の腰の動きが止まる。…後ろだけではなく、前の方も。
───わざとだ。夜の立香は意地悪だから、私にも「どっちも気持ち良いです」と言わせたいに違いない……アースはそう結論づけた。
(ひどい、ひどい、ひどい! なんて意地悪な人! こんなもどかしい、耐え難い感覚に苛まれて、まともに受け答えできる訳がない!)
思考がぼやける。行為の途中で暴力的快楽が止まってしまえばそれが欲しくて堪らなくなるのは自明の理。ナカで熱く震えるそれが膣壁を削ってくれないなんて、今の私に耐えられる訳がない。
辛く、切ない気持ちになる。自分で身体を捩り腰を揺すって快楽を得ようにも、前と後ろから貫かれた体勢では上手く動けない。…だって、たとえ分身でも立香を傷つけたくはないから。
(…ッ…♥ …「式」もアルトリアもあんな風に乱れている……なら、二人と同じく立香の妻である私も…♥)
そんな、ある種の言い訳じみた考え。それが頭に浮かんだ瞬間、アースの中の何かが決壊した。
「───無理ですっ♥ どっちを犯されるのも気持ち良いのに、優劣をつけるなんて無理ですッッ♥♥♥ だから立香のチンポいっぱいくださいッ♥♥ 真祖のマンコもケツマンコも、全部全部立香のものですぅぅッ♥♥♥」
狂ったようにアースは叫ぶ。彼の前で光体を晒しても良い、彼との秘め事なら恥辱すら甘美な思い出となるだろう、それくらいの気持ちで叫んでいた。
それを見た二人の立香は満足げな様子で腰を突き出した。マンコと尻穴を勢い良くほじくられたアースは、獣のような声を上げて仰け反った。
その隣では、立香が「式」をバックで攻めている。露わになった背中に覆い被さるその姿は、ある意味獣のようだ。
アルトリアなどは、立香の分身に囲まれてあらゆる穴を犯されていた。
そして、そんな彼女達を犯す立香達の動きが変わる。極上の女達に己が遺伝子を刻み込むべく、絶頂への階段を一段飛ばしで駆け上がり始めたのだ。
そうして立香達は、愛する女達の中や外で……盛大に果てた。
「「「「あッ♥ ───ぁあああああああああああンッッッ♥♥♥♥♥」」」
───どぐん、どくん、どくん、どくっ。どくん…。
注ぎ込まれるザーメンの感覚が引き金となり、女達もまた果てた。
「やっぱり……立香のチンポと精液、とっても素敵だわ…♥ 相手が愛する人だからかしら…♥ 右も左も立香だらけで、病みつきになっちゃう…♥」
「…ッ…♥ 立香…♥ ふふ……本当に、怖いもの知らず…♥♥♥」
「はぁ…♥ はぁ…♥ …リツカ…♥ リツカぁ…♥ …えへ、さいこぉ…っ♥」
荒くなった呼吸を整えるべく立香達が離れると、女達は支えを失った人形の様に崩れ落ちた。
汗ばんだ肌、精液と愛液の混合物が滴る秘部と尻、全身に浴びせかけられた大量のザーメン。心身共に多幸感に包まれた彼女達の胸中を占めるのは、立香への愛情だ。
ザーメンが肌や膣を伝いベッドを穢す。それは、女達の幸福と歓喜の涙のようですらあった。
───
夜は続く。彼らは千年城を余すことなく穢すべく、まぐわいながら城内を練り歩いた。
───あらゆる場所に白濁の飛沫が飛び散る。廊下、庭園、玉座。全て白濁の海に沈んでいく。
「くぁ…! 「式」さん…!!」
「あはっ♥ 好き♥ 大好きよ立香♥ 夢の中で会話して、縁を結んでくれたあなたが♥ 私を召喚したいと願ってくれたあなたが♥ 私に根源の力を求めない、優しくて素敵なあなたが♥ だから、だからっ♥ 私が勝手をしないように、その愛で繋ぎ止めてぇッ♥♥♥」
「ッ…! 「式」! 「式」!! 「式」はオレだけのものだッ!! ぅぉおおおァァッ!!!」
「ぅあ゛ああ゛あぁァッ♥♥♥ これ好き♥ 好きぃっ♥♥ 私、もう式のことが羨ましくないのっ♥ 立香がいるから幸せなのぉっ♥♥♥」
───「式」は正常位の体勢で、立香の激しい愛を受け入れた。根源がどうのこうのは、既に頭から吹き飛んでいた。そんなものより、立香と過ごす毎日の方が余程大事だ。
「アースッ…! 良いんだね!? このままこの玉座でヤっても構わないんだね!?」
「はいっ♥ 私もこの城も全部貴方のものですっ♥ 私やアルクェイドにっ……吸血衝動なんて欠陥を植え付けるような“父”にっ、この城は勿体ないですっ♥」
「なんか、祟られそうだ…っ……ふ、ぅ…!」
「大丈夫れすっ♥ 私が器にならない限り、直接祟られるなんてことありませんからっ♥ そもそも私、あんな男に乗っ取られるなんて死んでもごめんですっ♥ だから、立香は安心なんですっ♥ そんなことより立香のザーメンで私のナカをマーキングしてくださいっ♥ 立香の愛で、“朱い月”から私を奪ってくださいぃぃいいッ♥♥♥」
「ッ!! アースのナカ、締まるっ……く、ぅぉおッ…!!」
「────────♥♥♥♥♥♥♥♥」
───アースは玉座での対面座位と駅弁の体勢で、立香から与えられる愛と恥辱に耽溺した。アースにとって立香は、自分や“朱い月”より余程玉座に相応しい人物となっていた。玉座は封印のためではなく、君臨のため使われるべきなのだ。
「“私”という剣を握ってくださいっ♥ “わたし”という妖精を支配してくださいっ♥」
「オレ、はっ…! アルトリアに優しくしたいって思ってる…! そんな道具と使い手みたいな関係性…!」
「嘘つきっ♥ うそつきぃっ♥ 傷になった“わたし”のこと恨めしく思ってるくせにっ♥ もう二度と離れないように縛り付けたいくせにぃっ♥♥♥」
「…ッッ!! キャスターッッッ!!!」
「オ゛ォ゛ッッ♥♥♥♥ …えへ、えへへぇ…♥♥ この眼で視た通りでした♥ この激しいセックスが、ぁっ♥ リツカの本当の想いなんッ、ぅあ♥♥ あっ♥ ぁ♥♥ ぅああああ゛ッッ♥♥♥♥」
───背後から剛直を捩じ込まれたアルトリアは、立香の怒り混じりの愛を叩き込まれて悦んだ。…届かぬ星が、自分と添い遂げてくれる。たとえうたかたの夢でも、それは幸せなことだった。
───美しい女達が、三者三様に立香の愛しいチンポを受け入れ、乱れる。共通しているのは、立香を心から愛していることと、立香に犯されて歓喜の涙を流していること。耳年増や箱入り娘ばかりだった三人に、立香の与える快楽は刺激的すぎたのだ。
使いようによっては、手籠にした女を起点に国すら射止められる恐るべき凶器。それが立香のチンポだった。
───
数時間後、現実世界側は朝になっているであろう時刻。
無数の立香と何度も何度も閨を共にしたベッドルームの上に、女達は居た。
穴という穴からザーメンを垂れ流し、全身あますところなく黄ばんだ白濁でコーティングされた三人の体中には、キスマークと共に油性ペンで淫猥な文字が刻まれている。
『立香専用♡』
『上位存在やめます♡』
『堕ちて人間の妻になります♡』
それらに加え、三人の太腿に書かれた正の字は一人十個以上。いくらビッチでもここまで連続して抱かれ続けるのは無理、というレベルの回数だ。
そんな彼女達の表情から伺えるのは、幸福のみ。雌として至上の幸福を得た上位存在達の脳みそは蕩け、愛する立香だけでいっぱいになっていた。
そこに、休憩と入浴を終えた無数の立香が入室してくる。満足して本体に還元された個体も多々いるとはいえ、まだまだ数は多い。これが全て本体に戻るまで、少なくとも一週間はかかるだろう。…つまり…。
───淫らな宴は、まだ終わらない。