〝月〟と“火神様”・参
ここだけゾロがルナーリア族Part2の145※閲覧注意
※【ここだけゾロがルナーリア族】のスレより
※ゾローリアの更にIFネタ
※ファンタジスタした幼少ゾロがキングに拾われ百獣海賊団所属√
※幼少ゾロはくいなと約束する前
※くいな生存
※麦わらの一味がゾロの配下√
※CPはゾロ×日和、ウソップ×カヤ
※IFネタの派生⇒麦わら配下√(百獣√分岐)
※〝月〟を冠するワノ国大名家の先祖がルナーリア族
※キャラエミュが微妙
※文才なしの駄文
※捏造設定あり
※それでも良い方のみ、お読み下さい
「それ、は…っ…」
「…そ、う…なの…」
まだ名前を知らない少し年下の〝霜月〟の“同族”と、百獣海賊団に所属している“同族”である“火災”のキングが説明してくれた事を聞いて。
“狂死郎”と名乗っている傅ジローは、酷く驚いた様子だったけれど…私は納得していた。
私は、数回しか会った事は無かったけれど…鈴後の牛マル様は、とても優しくて、“同族”を慈しむ“火神様”らしい方だったもの。
その牛マル様に内面が良く似られているなら、この〝霜月〟の“同族”は…決して“同族”を見捨てられない…斬り捨てられないでしょうから。
「…受け入れられないと言うなら、それで構わない。おれもキングも、この件に関しては口を噤む…良いよな?」
「“雛”が…“雛”達が、望むなら」
それに…キングも私達が“雛”と言える年齢だからか、柔らかい眼差しで優し過ぎるのではと思う答えを言ってくれる。
“同族”というだけで穏やかに対応してくれる姿を見ると…説明してくれた〝黒炭オロチの一派が“火神様”関係の事を黙っていた〟というのは、本当なんでしょう。
だって、知っていたら戦おうとはしなそうよね…。
「…聞いても、良いかしら?」
「?…答えられる事なら」
「何故、そこまで“同族”である事を、気にするの?…その、私達は“先祖返り”していても…混血なのに」
キングは、純粋な“火神様”。
〝月〟の大名家の者は、既に混血しかいない…鎖国した頃だったら、純粋な“火神様”はいたらしいけれど。
私の疑問に、年下の“同族”はチラリとキングを見てから、口を開いて。
「んー…ワノ国では“火神様”として信仰されているし、東の海だと“天狗”…もしくは“烏天狗”として親しまれてる、んだけど……」
“天狗”と“烏天狗”、そしてワノ国の“火神様”…場所によって呼び方が異なると言うのは興味深いわね。
それに、信仰の対象じゃなくて親しまれてるのも…人と近い感じね。
そんな風に考えながら続きを待つけど、口籠っていて…どうしたのか不思議に思った。
「……“世界政府”に情報を密告するだけで1億ベリー。捕まれば、実験動物扱い…それが嫌なら、死ぬ迄、逃げて…抗うしか無い」
「えっ?!」
「なっ!?」
口籠った〝霜月〟の“同族”に続く様に、キングが口を開いて語った内容は耳を疑うもので。
「…おれ以外の純粋なルナーリア族は…お前達にとっての“火神様”は、もういない…皆、殺されてる。混血であろうと、知られれば…同じ末路だろう」
鎖国した理由の1つが“火神様”を守る為と手記に書かれていたから事実だと分かるけれど…それでも、そんなに悲惨な現状だとは考えて無かったっ!!
「…どう、して?」
口を衝いて出た疑問は、私自身でも分かるくらい…震えていて。
「……さぁ?人間共の考える事は分からない……ただ…おれ達を『実験体』や『バケモノ』と、呼ぶ…研究者が居た、のは…覚えている。おれから、すれば…」
黒いマスクから見える紅い瞳が、揺れていて。
話す声音が、酷く辛そうで…悲しそうで。
「キング、話さなくて良い」
「……っ…あ、ぁ…」
「聞きたい事はそれだけか?」
キングが話すのを止めた〝霜月〟の“同族”は私達に向き直り、そう聞いて来て。
まだ不安定な様子を見せるキングが気になっていたけど…。
「……名前を聞いても良い?私は、“光月日和”よ」
〝霜月〟の“同族”である彼の名前を知りたくて…彼は、私を〝日和姫〟と呼んだから知っているのだけど…改めて名乗る。
「百獣海賊団の“ワイルド”」
「…っ……そ、う…」
気持ちが落ち込む…〝光月家〟と〝百獣海賊団〟は十年前の事もあるから、仕方無いけれど…。
「……ばあちゃんの〝家名〟を継ぐなら、鈴後の“霜月ゾロ”」
少し目を伏せた私の耳に、もう一度、彼の声が聞こえた。
〝霜月〟としての名前を教えてくれる、声が。
「!…ゾロ、様……ねぇ、また来てくれる?」
「…良いのか?」
「えぇ!…勿論よ」
また来て欲しいという私と、ゾロ様は約束してくれて。
「……“雛”が、良いなら…鬼ヶ島に来れば、守れるんだが…」
落ち着いた様で、私達の会話を聞いていたキングが窺う様に言葉を紡ぐ。
「…〝光月の者〟が、受け入れられると?」
「貴様には聞いてない」
ゾロ様に対しては穏やかに接している傅ジローは、まだキングに対しては剣呑な風を崩さないで…キングも、“同族”以外には冷徹に話している。
「それに、カイドウが受け入れる訳が無かろう?」
「…それ、はっ……貴様に、カイドウさんの何が分かると?」
2人の遣り取りを見聞きしながら、どう止めようかと考える…止め方を間違えたら、余計に拗れそうだもの。
「多分、受け入れるぞ」
私が考えている間に、ゾロ様が2人に声を掛けていて。
「「!?!?」」
「??…どうしてなの?」
声掛けの内容に驚いた様子の2人の代わりに、意味を聞いてみる。
「カイドウさん、キングとは別方向で過保護だし。おれにも、キングにも」
過保護…そう、あのカイドウが……ゾロ様以外が言ったなら信じられなかったでしょうけど。
「…過保護?あのカイドウが??」
「………確かに…カイドウさんは、優しいからな」
「取り敢えず、おれが聞いてみるか?…2人の事は言わないで」
信じられない表情をする傅ジローと、何となく納得した様子を見せるキングを見た後に、ゾロ様はそんな風に聞いてくれて。
「……そう、ね…お願いしても良いかしら?」
私と傅ジローの事を明言せずに聞いてくれるなら…と、頷いた。
「日和様?!」
「御免なさい、傅ジロー。でも…“同族”を放って置けないの」
私よりも年下の“同族”は、守りたい…たとえ、私よりも強くても。
それに、敵対していたとしても…不安定な“同族”は、心配してしまう。
これは…“火神様”としての、〝本能〟だもの。
『なぁ…カイドウさん』
『何だ?』
『もし、さ…おれが、おれ以外の“火神様”の血筋を連れて来たら、どうする?』
『んぁ??そりゃあ、お前とキングの為なら保護するけどよ…流石に敵対されりゃあ、監禁するしか無くなるぞ?』
『あー…まぁ、そうだよな』
『もしかしてだが、生まれた村の連中迎えにでも行きてぇのか??迎えに行くんなら、船と護衛出すぞ?……寧ろ、おれが行った方が良い、か?』
『逆に目立つ』
『……そうか…』
『…本当に、あんたもキングも過保護だよなぁ……まぁ、迎えに行くのは時期を考え中。でも、ありがとな』
──────だってさ」
次の日、早速聞いて来てくれたみたいで…私や傅ジローに伝えてくれて。
「昨日の今日…“雛”もだが、カイドウさん…」
「…若君の行動力を見誤っていた…」
キングや傅ジローは…頭を抱えたり、胃の腑の辺りを押さえていたりしていたけど。
それを見ていて、思った事があったから、ゾロ様に聞いてみる事にした。
「……お気に入り?」
〝誰〟かは聞かなかったけど、多分伝わるでしょうし。
「まぁ、そうだな」
やっぱり伝わったみたいで…ゾロ様は頷いて肯定して、もう一度納得する事になった。
「そっちも?」
〝誰〟かは言われなかったけれど、首を傾げながらゾロ様に問われる。
「えぇ」
私は頷いて答える。
ふと、お互いの反応が似ている事に気付いて…。
思わず、ゾロ様と顔を見合わせて一緒に笑っていた。