最期は呆気なく

最期は呆気なく


注意

・タヒネタ

・救いがない

・短い

・3兄さん視点

・GWちゃんが催眠(或いは洗脳)されて3兄さんを手に掛ける描写(オブラートに包んだ表現)

・恋愛要素はないがハイパーデカ感情はある

・正直降りてきたものをそれっぽい形にしただけなので自分でも何書いてるかよく分かってない(?)

・その他もろもろ

完全に何でも読める方向けです。上記を読んだうえで大丈夫でしたらどうぞよしなに。




…意識が一瞬途切れていた。

身体から血が抜けていく感触はいつぶりだろう。

ゆっくり目を開ける私をミス・ゴールデンウィークは無表情で見下ろす。

普段であれば赤銅の瞳は、悍ましいほどの深紅を湛えている。

「(…馬鹿だな、私も君も)」

彼女は自らの使う催眠を悪用され、私はそれに気づけなかった。

武装色の覇気も使えない私が海楼石の手錠を掛けられてようやく気がついたときにはどうにかする術が無かった。

「…ミス・ゴールデンウィーク」

血の滴る大ぶりなパレットナイフを握りしめた彼女が首を傾げる。

本来の彼女であれば、大切な道具をこんな風には使うことは絶対にないだろう。

「なあに?」

「私は、すぐ死ぬだろう。」

血液は流れていく。

手に着けられた海楼石の手錠のせいで、蝋で無理矢理傷口を塞ぐようなことも出来ない。

「そうね。貴方も私も解剖学の知識は最低限持っているから、人体の急所くらい分かっているでしょう。」

「…君は、私と居て楽しかったか?」

「私のご主人様はあの人だけよ。貴方はただの標的。」

催眠に掛かった彼女から、求めている答えなど出てくるはずがない。

分かっているのに投げかけてしまう。

「…私は、思ったより楽しかった、な。」

結末がどんなものであれ、ここまで長く相棒で居た人間は初めてだ。

…幸せを暢気に享受していたツケが回ってきたのだ、これは。

「君に、1つだけ。私のことは忘れたまえ。…どうか、二度と思い出さないでくれ」

私のような人間とともに居てくれた彼女のこころに、真っ直ぐで優しい彼女のこころにくだらないことで疵を残したくない。

僅かに残った力でミス・ゴールデンウィークの手から無理矢理パレットナイフを奪い取り自ら首元に突き立てる。

「な、なにを!?」

驚いたらしい彼女が目を見開く。

「さすがに、痛い、な…私は『己の手で』自分を、手に掛けた。だから…君が気に病むことは…」

急速に血の気が引いていき、立っていられずそのまま床に倒れる。

霞む目には、床から見上げたミス・ゴールデンウィークの表情が分からない。

「…さようなら」

彼女の無機質な、私が最後に聞く言葉に思わず唇を歪めた。


───ああ、私の大切な相棒。

どうか私のことなど忘れて、少しでも健やかに生きてくれ。

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