最凶は此処に
とにかく逃げる。
アズサは正気だった。
正気で銃を向けていた。
「あっ・・・」
目の間に、救いが現れた。
羽川ハスミ、正実の大先輩。
良かった。
「せんぱ───────」ッタァン!!
その声は銃声でかき消され。
「チッ...外しましたか」ジャキッ、ガシャンッ
その声は嫌にはっきり聞こえてしまった。
「ひっ...!!」
走る。
ダァンッ
走る。
ダァンッ
「あうっ..ッ!!!」
足に当たったけど、走れない程じゃない。
「───────ツルギ、獲物は其方に」
止まった。
「あっ・・・ああっ・・・」
「・・・・・・」
「ご、ごめんなさい....」
身に覚えのない罪を謝罪する。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
私は馬鹿だから、きっと皆を怒らせちゃったんだ。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
だから、ここで殺されちゃうんだ。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんな───────」
「.......行け」
「....へ?」
「さっさと目の前から消えろッ!!!!!」
「っはい!!!!」
タッタッタッタ....
「ツルギ、何故逃がしたのです?」
「さぁな、私にも分からん。」
「コハルは正実の恥、今すぐにでも追って───────」
「待て。」
「私一人でいい。お前たちは戻れ。」
引いてくれ。
言外にそう意味を込めて吐き捨てる。
「....そうですか、では。」
あのハスミが狙撃を外す訳が無い。
正義を抑えるので精一杯だったんだろう。
かくいう私も、あのままだったら抑えられそうになかった。
「....そうだ、ハナコ!ハナコなら、きっとなんとか!」
そうしてトリニティを走り続けて。
「ハァッ....ハァッ.....」
「ハッ....ハッ....」
「「見つけた!!!」」
逆転の1ページ目が始まった。