暑さに弱い

暑さに弱い


注意

・短い

・謎時空

・二人が喋ったりしてるだけ

・GWちゃんが下着姿になったり3兄さんが脱いだりしていますがスケベ要素はありません

・二人とも暑いのが苦手そうというところから着想したSSになります

・原作軸のワンピ世界には冷蔵庫があるらしいので冷凍庫も普通に出しています

・その他もろもろ

上記を読んだうえで大丈夫でしたらどうぞよしなに。



「あっっっついわ...」

「そうだな...」

『夏島の夏』の暴力的な暑さに内心苛立ちまで覚えてきた。

湿度も高くて、こまめに水分補給をしていても何処か息苦しい。

「なんでこんなところに居なくちゃならないのよ、本当。」

なんで、というと理由は任務でしかないのだけれど。

暑さで覚える苛立ちをMr.3に不条理に八つ当たりしようにも死んだ顔の彼にぶつけるのはちょっと憚られた。

「この能力のせいなのか老化のせいか、昔より暑いのが駄目になった気がするガネ」

「老化すると感覚が鈍るらしいから前者なんじゃない?知らないけど」

傍から見たらわたしもMr.3も多分死にそうな顔をしているだろう。

二人でちらりと顔を見合わせて、ため息を吐いた。

机に突っ伏してぽつりと独り言を呟く。

「最悪な故郷でも、あの気候だけは恋しいわ...」

「ああ、北の海か。全体的に荒涼な島が多かったはずだから...少なくともこの島よりは過ごしやすそうだガネ。」

言葉のキャッチボールを続ける気力もなくてただ頷く。

暑さが苦手なわたしがもしミンク族だったら多分バリカンで毛を刈りだしていると思う。

「とりあえず風呂でも入るか...」

その場でわたしに背を向けて服を脱ぎ捨てたMr.3の身体は細いけれどバランスが良くてどこか彫像みたいだ。

「...じろじろ見るのはやめたまえ」

わたしの視線が刺さったのか振り返る彼にムッとする。

「ジロジロは見てないわよ。」

セミヌードくらいならモデルにやってもらった経験があるから然程気にならない筈だけれど、Mr.3の上裸は見ていると何だか少しドキドキする。

「お風呂に入るのはいいけど溺れないでね?」

「何年能力者やっとると思ってるんだ。今さらそんなヘマはせんガネ」

その言葉を残して彼がお風呂場の方に消え、わたしは一人になる。

「(わたしも脱ごう...)」

誰も見てないしいいか、とタンクトップを脱いで近くにあるソファの端に掛ける。

流石にスカートまでも脱ぐのは恥ずかしいからそっちはそのまま履いておく。

汗ばんだ身体をタオルで拭うだけでも気分的には幾らかマシになった。

「ふー...」

でも窓の外から部屋に入り込む生ぬるい風は、下着一枚のわたしの身体から湿度を奪ってはくれない。


そのままその場でひんやりとした床に暫く転がっていると裸足の足音がした。

「君なあ、もう少し恥じらいというものを覚えた方が良いガネ。」

音の方を見ると薄手で半袖のワイシャツに着替えたMr.3がこちらをじろりと見ている。

...上がったばかりでまだ暑いからなのかは知らないけれど、前を開け放すくらいなら着ない方が良いんじゃないかしら。

「...早かったね」

「聞いているのか?」

「だって本当に暑いんだもの...」

「まあ前のように冷蔵庫を開けっ放しにされるよりはいいが」

来たまえ、とソファを指差されて大人しく言う通りにすると、彼の手がわたしのおさげにした髪に触れる。

「1つに纏めれば幾分マシだろう。」

それをほどいた手があっという間にポニーテールを結ってくれた。

「それとこれも。」

ソファから離れていったMr.3ががちゃりと冷凍庫を開けて、彼からアイスキャンディーが投げ渡される。

「あ、ありがとう。」

封を開けて一口食べるとラムネの味がした。

これで少しくらいは涼しくなるかしら。

「それで多少は暑さもマシになるだろうから、身体を冷やす前にさっさと服は着ておきたまえよ。」

「はぁい。」

シャツのボタンを留めていない彼に人のこと言えないでしょと思いつつも、Mr.3からの小言が増えないように素直に返事をした。

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