【晴晋】戦い済んで…
「あぁ゛、疲れたなあ………もうダメだぁ……」
誰に聞かせるでもない独り言が空気に溶けていく。
身体はまるで鉛のよう。あちこちギシギシと音を立て、寝返りを打つのも億劫だ。寝台に根を張ってしまうまであと十数分、といった所か。
………情事の後の気怠さに似ているなんて言ったら医務室の晴信に怒られるかもしれないが、疲れ方は瓜二つだ。
「はぁ………」
大きなため息、一つ。
サーヴァントは手足がもげ内臓が飛び出しても魔力が満ちれば元気に暴れまわることができる。カルデアへ来た時にマスターからそう教わった。レイシフト中何度かそういった場面に遭遇して、時には負傷したサーヴァントを運んだこともある。
───けど、今回はとても落ち着いてなんていられなかった。晴信は僕の恋人で、大切な相手だ。『晴信は大丈夫か』『医務室から出てきたらまた二人で面白おかしく過ごせるのか』『医神殿は「見た目は派手だがありふれた外傷」と言っていたけど本当に治るのか』
ぐるぐる色々なことを考えて、ただ時間が過ぎていく。今の僕は自室に一人きり。文殊の知恵なんて出やしない。こんな時晴信が居てくれれば良い案がでるだろうに、彼は医務室で……………ああもう、どうすりゃいいんだよ。本当に。