【晴晋】コフ社長と晴ノッブ

【晴晋】コフ社長と晴ノッブ


「……は、いや待て、……ふ、は、えふっ」

 喉までせり上がりかけた血反吐を、吐き出す前に飲み込めたのは僥倖だった。咳き込みそうになるのを抑えるのも慣れたもので、これなら多分、晴信も睦言の延長くらいに受け取るだろう。そう、受け取ってくれたらいい。

 なんだかんだで甘やかすことに慣れている晴信は、僕の息が整うまで待ってくれていた。そう、だから、だからだ。彼だって同じ病を患っていただろうにどうして僕らだけ、なんて恨み言は欠片もない。僕は僕、彼は彼、だから馴れ合いなんかより、その渇望を向けられる方が、よっぽどマシってもんだ。

 こちらを気遣う晴信の頬は、腹立つほどに伸びやしない。それでも伸ばしてやって、ばか、と腫れた頬をさすってやる。

 今更そんな、遠慮なんかしてんじゃない、ばか


Report Page