晨暉の中、愛しいひとへ
※モルガン百合夢
※謎時空
※ご都合主義
※朝チュン
ふと、目が覚めた。日は既に昇っているけれど、活動を始めるにはまだはやい、そんな時間。眠りについたのは明け方だったはずなのにどうしてだろうか。
いつものように身体を起こそうとして、寝返りをうつ。隣で寝ているひとに自然と顔が綻んだ。
すやすやと、まるで心配することなどないかのような寝顔。うつくしくてかわいい、私の大切な人。新雪のような銀髪は触れるとさらりとこぼれおちた。少女チックな黒いリボンはサイドチェストに置いてある。普段の、きっちり身だしなみを整えた姿も格好良くて好きだけれど。こんなふうに、気を抜いている姿も大好きだ。誰にでも見せるものではないとわかっているから、きっと独占欲で胸が満たされる。
気高い私の女王様は、寝顔は案外幼くて。あどけない顔が愛しくて。この人のことを守れたなら、と何度も思う。実際のところ、守られているのは私なのだけど。
あいされている。それを何度も、昨晩も理解させられて。それはとてもうれしくて。でも、守られているだけというのは、少しはがゆい。強いけれど脆い、冷たいように見えて愛情深いこの人を、どうか支えることはできないだろうか。
身体を起こそうと腕をつけば、ぎし、と軋む音。あまり寝具に拘っていなかったのだけれど、これを機に買い換えようか。上から愛しい人を見下ろして、そっと手を伸ばした。
頬に触れたいのだけれど、それはさすがに起こしてしまうだろう。聖杯戦争、とやらはもう終わったのだから、心ゆくまで眠られてあげたかった。
だから代わりに、するすると触れただけでほどける銀色の髪に手を伸ばす。ひと房だけ掌にのせた。
「モルガン陛下。…………モルガン様」
「すき。すきです、旦那様」
「だいすき。ねえ、ほんとうに、ほんとうに好きなんです」
「ずっとあなたに見惚れているの。あいしています、我が夫…………」
起きているときに伝える勇気もなくて、こんなときにしか伝えられない私をどうか許して。とびきりの愛も忠誠も、あなただけに捧げると誓うから。
掌にのせた銀髪にそっと唇をおとす。カーテンの隙間から入り込んだ日光がキラキラと輝かせていて、ほんとうに綺麗だった。