時止めの件

時止めの件

28

(ふあぁ……あれ、ここ何処だ?)


いつもの様に床につき、いつもの様に目覚める、当たり前の日常が今日だけは違った。目を覚ますと知らない町中に立っていた。自分が住んでる町、東京そのもの、ただ何かが違う。通行人に目をやると獣の耳や尻尾を生やした女性が歩いていたり、角や羽、果ては肌色すら人のものでは無い異形が町を闊歩している。


(随分リアルな夢だな)


これが現実である筈が無い、当然誰もが夢だと確信するだろう。


(折角なら少し探索してみるか)


そう思い一歩踏み出すと

ゆさっ

 

「!?」


体に強烈な違和感がありそこに目を向けると


(うわっ!?これ……胸……だよな……)


そこにあったのはゆさゆさと揺れる大きな乳房、すぐに今の自分の状態を確認するべく辺りを見回すとすぐ横の店のショーウインドウに見たことも無いような美少女が映っていた。


「かわいい…うわっ動いてる、声もかわいい…これが……俺なのか」


白くサラサラした髪に少し幼さが残る端正な顔立ち、胸は張り詰め腰は細く下着が見えそうなほど短いスカートからはむっちりとした太ももが伸びている。自分の頬に手を触れると、ショーウインドウの中の美少女も頬に手を触れる。今までの人生で間違いなく一番いい夢だ、この時までは。

髪を手で梳いでみたり、笑顔になってみたり怒ってみたり。美少女を楽しんでいると


「ちょっとそこのおねーさん。」


軽薄そうな声で話しかけられ反射的に振り返ると視界に時計のマークが表示されたスマホの画面が映り込み間髪おかずに


「んぐっっっ!?うぶっ…ゔおぇっ…げほっ…おえっ」


突然口からぼたぼたと大量に液体が溢れだし、地面にびちゃびちゃと音を立てながら落下していく。


「ゲホッ…んぎっ♥んぐううぅぅうう♥」


口だけではない、股間からも大量に液体が溢れる。上下の穴から溢れた白い液体はアスファルトに水溜りを作っていく。

何が起きたか全く解らなかったがまだ終わってない事だけは確かだった。


「ぐっ…うああぁ♥はー…はー…あっ♥おぐうっ♥んああぁ♥」


胸やお腹、尻、太もも、体中のありとあらゆる箇所を触られる感覚に加え、口と股間の前後に何か太いものが高速で出入りし獣のような声が止まらない。足腰がガクガク震え立っていることもままならず水溜りをバシャッと音立てながら地面に倒れ伏す。


「いやっ♥ぐるじ♥ぐうぅ♥お゛♥うああぁぁぁ♥んぎいぃぃぃぃぃいいい♥♥」


先程股間から溢れ出した液体とは違う透明な液体が勢い良く股間から吹き出し美しい肉体を白く染め上げ体をガクガク震わせながら白濁した水溜りの中で意識を失う。


「何これ急に…」「エッロ…」「撮ってネットに上げるか」

通行人も異常に気づき全裸の美少女を囲い見下ろす。暫くすると


「どいてどいて!警察ですよ!うわぁーこりゃひでぇな、嬢ちゃん大丈夫?立てるか?まあ無理か。」


薄れた意識の中で誰かに抱きかかえられた。


「取りあえず交番に連れて行くな。」


そう聞こえ少し安堵し目を閉じる。

警察が着くには早すぎやしないか、なぜ一人で行動しているのか、何故警察署ではなく交番に連れて行くのか、そして視界の端に一瞬だけ映った警官の歪んだ笑顔は何を意味するのか。様々な疑問を棚に上げて俺は意識を手放した。






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