星のエール
空色胡椒「…ダメだ。なんか全然うまくいかねぇ」
そう呟いた彼はため息を一つついてから身に着けていたエプロンを外した。とりあえず散らかしっぱなしにするわけにもいかないため、一旦思考を止めるように使用した調理器具を彼─品田拓海は洗い始めた。
いつもであれば彼がキッチンに立った後には美味しそうな香りが広がっていたはずなのに、今日はその気配はなかった。
「こんなの、初めてだ」
拓海は同学年の男子と比較しても一際器用であり、その中でも料理の腕は群を抜いていた。味覚の鋭い幼馴染や製菓に精通している友人の助言ありとはいえ伝説とされたクレープを再現できる腕前を持つ彼は、最近の趣味として新しい料理の開拓もしているほどだった。ただ、そんな彼がどうしても満足のいく料理が作れずにいた。それも、この一回だけではない。ここしばらく料理をしようとしては失敗し、また挑戦しては失敗しを繰り返していた。俗にいう、スランプというものである。
「こういう時、どうしたらいいんだろうな…」
無論、拓海の長所は料理だけではない。料理に関してはスランプに陥ってなお、継続しているトレーニングや気晴らしにしてみたスポーツ、ベースに関しては問題なく普段通りのパフォーマンスができている。ただ、どうしても料理だけが上手くいかないのだ。
多趣味といえる自分が一番時間を注いできたもの、それが突然できなくなったことに対して、どうしようもない不安は拭えない。
「って、考えててもしょうがないよな…しゃーねー、勉強でもするか?」
と彼が自室の方へと向かおうとしたところ、来客を告げる音が福あんの玄関口から聞こえてきた。あんよりも自分が出た方が近いだろうということから、拓海はすぐにそちらへと向かった。
「すみません、お待たせしました。って、薬師寺?」
「こんにちは、拓海君。急に来ちゃってごめんね。もしかして都合悪かった?」
そこにいたのは拓海の友人でもある薬師寺さあや。ひょんなこと…とはとても言えない大事件をきっかけに、拓海の幼馴染であるゆい達が彼女と親しくなり、その縁で繋がりができたという、少々特殊な友人。
今更隠すまでもないことだが、彼女もやはりプリキュア、キュアアンジュだったのだ。以来たまにこうしてゆい達を訪ねに来ることもある中、彼女が好む激辛料理に刺激を受けた拓海がその方向での料理のレパートリーを増やそうとし、さあやには何度か批評をしてもらったこともある。
そんな彼女が自分を訪ねてくること自体はそう珍しいと思うようなことではなかったが、今回は少し違った。
「あ、いや、別に。っていうか、そっちは確か、薬師寺と同じチームの?」
「へー。私のことも知ってはいてくれてるんだ」
「そりゃちゃんと会ったことはなかったかもしれないけど、薬師寺の話でも時々出てくるから一応な」
「そっか。まぁ、そこは私も似たようなものだから、お相子かな。じゃあ改めて、輝木ほまれ。よろしく」
「品田拓海だ。よろしくな輝木」
さあやの隣に立っていた彼女。短く切りそろえらた中軽く主張するようなアホ毛が見える金髪に、その名のような輝きが込められているような瞳。拓海の友人、芙羽ここねに近い身長で、手足はやはりすらっとしている。どこかかっこいいと思わせる彼女の声は、やはり印象に違わぬ低めのハスキー。
輝木ほまれ。フィギュアスケーターとしてもそれなりに名の知れた彼女は、小さく拓海に笑いかけた。
───────────
「で、急にどうしたんだ?」
「うん。激辛料理のこと考えてたら、新しい組み合わせのソースを思いついたから、拓海君と共有しておこうと思って。最近来れてなかったからちょうどいいかなって」
「私はさあやの付き添い、かな。よく考えたらおいしーなタウンの話は何度も聞いてたけど、実際には行ってなかったから興味があって。それに、別の町にいるさあやの友達っていうのも気になったしね」
「なるほど。けど、悪い薬師寺。なんか最近どうにも料理の方の調子が出なくてさ。いい感じのレシピは作れそうにない」
「そっか。じゃあ、ソースを使った創作料理の方はまた今度だね。あ、でも折角だから実際にソースの配合試してもいいかな?ちゃんとこっちに来る前に色々と買ってきたから」
そう言いながらさあやは来た時から手に提げていた袋を持ち上げる。中には様々な種類のボトルが入っている。ケチャップ、ウスター、マヨネーズと王道のものに加えて何故か髑髏マークが描かれている真っ赤なソースまで。
「あ、ああ。まぁそれくらいなら構わないけど…一応終わった後の換気だけは頼むな」
「もちろんだよ。じゃあちょっとキッチンお借りします。あっ、創作料理は難しくても感想くらいは貰えると嬉しいかな」
「わかった。それくらいなら構わない」
「うん。よろしくね。ほまれ、ちょっとだけ待っててもらってもいいかな?」
「はいはい。いってらっしゃい、さあや」
ひらひらと軽く手を振りながらほまれはキッチンの方へと向かったさあやを見送るのだった。
さて、現在ほぼ初対面に近い相手と2人きり。さて、どうしたものかと思考する拓海。別にほまれのことを全く知らないわけではない。たまにさあやとの会話の中で話題に上がることもあったため、一方的に知っている部分があるというだけだ。が、知っているのと実際に対面するのとでは大分違うため、話をするにしてもどう切り出すべきか、悩ましいところである。おだ
「あー、待ってる間何か食べるか?軽いお菓子くらいなら出せると思うけど」
「お気遣いありがとう。でも、大丈夫。これでもアスリートだから、体重管理のためにも間食も制限してるから」
「あぁ、フィギュアスケートだよな。なるほど。じゃあせめて飲み物くらいは出させてくれ。何か飲みたい物とかあるか?」
「特にこだわりはないけど…まぁ、糖分控えめか、甘くないものだとありがたいかな」
「了解」
とりあえずは客人をもてなすことにしようと決めた拓海。間食はしない、甘くない飲み物だけという要望だったので、お茶を淹れる。そっと差し出したそれを、小さく「ありがとう」と呟きながらほまれは受け取った。
「えっと…輝木は「ほまれ」は?」
「同年代に名字で呼ばれるのは、なんか落ち着かないから。ほまれでいいよ」
「いや、けどそれはなんか…」
「?あ。ふ~ん…ひょっとして、照れてるの?」
「はぁっ!?」
「へ~。さあやの話だと、そういうのに慣れてるんだと思ってたけど…そういえば、さあやも名字呼びだったね。意外と照れ屋?」
「別にそういうんじゃねえよ。ただ、女子を名前で呼ぶってのも、距離感とかわからなくなるっていうか」
「ふ~ん。まぁいいけど、私のことはほまれって呼んでよね。その方が私が助かるし」
「っ…はぁ。わかったよ、ほまれ」
「ん、よろしい。改めてよろしくね、拓海」
あ、そっちも呼び捨てなんだな、とは思ったもののそこは人それぞれの距離感なのだろう。まさかここにきてあまねたちよりも先に名前で呼ぶ女子が現れることになるとは…
「で、ほまれはどうして薬師寺について来たんだ?それこそおいしーなタウンを見て回るなら、ここで待ってる必要もないだろ?」
「んー、まぁおいしーなタウンを見ておきたかったってのはほんとだよ。同時に一目見ておきたかったんだ。さあやの話によく出てくる、品田拓海って人をね」
じっと視線を向けてくる彼女に対して首をかしげる拓海。確かにさあやとはそれなりに交流しているが、そんなに他人に話すほどのことがあっただろうか。加えてほまれはそれで気になったから自分に会いに来たと言っていることも、どうにも気になる。
「料理、得意なんだって?」
「あ、あぁ。まぁ小さいころからやってたし、それなりには」
「それにしてはさっき気になること言ってたよね。最近調子でないとかなんとか」
「あ~…まぁ、な」
「ねぇ。ここにおあつらえ向きに今日出会ったばかりの第3者がいるわけだけれども…話してみない?」
───────────
「…まぁ、そんな感じだ」
「ふ~ん、なるほど」
特に親しい相手ではないからこそ、話しやすいこともあったのかもしれない。ゆいやあまね、あるいはシナモンやローズマリーが相手でも、そうすんなりと話そうとは思わなかったかもしれない。ただ、なんとなく。どこかドライな雰囲気をまとわせている目の前の彼女には、不調のことを話してもいいのかもしれないと、そう思っただけ。
「ゆい達は『拓海なら大丈夫だよ。きっとすぐ調子を取り戻せるよ』って応援してくれてるんだけどさ…嬉しいんだけど、なんか、少しだけ重りみたいに感じるというか」
「そっか」
「つまり、今まで当たり前ってわけじゃないけどさ。できてたことができなくなったことに対する驚きとか、それを克服できずにいる自分の弱さとか、みんなの好意を受け止められずにいる矮小さとか。そういうのにちょっと行き詰まりを感じてしまってる、って感じだ。ま、こんなんで躓いているようじゃ、とてもじゃないけど将来は料理の道に進む!なんて言ってられないだろうけどな」
「ん~。別に躓いたっていいんじゃない?」
自嘲気味に苦笑した拓海は、ほまれのその反応に「え?」と顔を上げる。
「好きなこととか、得意なことでもさ、いつでもうまくいくわけじゃない。失敗することもあるし、心が折れそうになることだってある。で、そういう時に変に気を張っちゃうとさ、変にぐるぐるしちゃうことって、あるよね」
「頑張れって言葉も、いつもなら言ってもらえると嬉しい言葉なんだけどさ。本当に行き詰ってるときって、重荷になっちゃうときも、あるよね。わかるんだ、そういうの。私も経験あるから」
「ほまれも?」
「ん。でも、結局それを解消してくれたきっかけは、はなやさあや…私の仲間だった。はなみたいにまっすぐ応援してくれたり、さあやみたいにさりげなく支えてくれたり。それに、一歩引いた立ち位置からでも、見守ってくれてたやつがいたから」
何かを思い出しているかのように優しげに細められたほまれの瞳。視線の先にあるものを見ているんじゃなくて、きっとそこには大切な思い出が映し出されているのだろう。
「あんたもさ、いい仲間に巡り合えてるんでしょ?一緒に過ごしてきた仲間、それにさあやみたいに新しく知り合った人たちもいる。で、今は私もいる。マジできついときは、誰かに寄りかかってみてもいいんじゃないの?身近にいる人でもいいし、近すぎるのがだめなら、それこそさあやとかもいいんじゃん?で、また立てるってなったら再挑戦する。それでいいと思う」
実感のこもったその言葉はきっと彼女の実体験からきているのだろう。ほまれの過去を拓海は詳しくは知らない。それでもアスリートであることはさあやから聞いていた。スポーツは自分がうまくできたかどうかだけじゃなく、競技として他の人と比べられるもの。もしほまれがスランプのようなものに陥ったことがあるなら、それは自分の時とは比較にもならないほどの重責だったのだろう。
それでも今こうして彼女はここにいる。潰されることなく、仲間たちの応援も支えも受け入れて、それに応えるように進んでいる。
「ほまれって…かっこいいな」
「え?」
「いや、なんかそう思ったから、つい」
「何それ?まぁ、ありがと。それにしても、悩み事について自分で抱え込もうとしちゃったり、そういうことをすんなり言えたり。やっぱあいつに似てる気がする」
「あいつ?」
「私達の仲間。今度機会があったら会ってみたら?意外と気が合うかもしれないよ」
「そうなのか?なら、そのうち紹介してくれ」
「ん。で、どう?なんかちょっと偉そうなこと言っちゃったかもしれないけどさ。話してみて、少しはすっきりした?」
「…そうだな。確かに、気持ちが軽くなった感じはする。サンキューな」
「いいってことよ」
──────────
「お待たせ~。ごめんね、ちょっと時間かかっちゃった」
そう言いながら戻ってきたのは持参してきていたのだろうか水色のエプロンを着けていたさあや。お盆の上には何やら赤いソース、それも近づくにつれてはっきりと感じ取れるピリリとした香りが漂っている。乗せて食べるためか、ご丁寧にチップスまでついている。
「今回のは私としても自信作なんだ。激辛好きにとっては少しマイルドに感じるかもしれないけど、初めての人にも興味を持ってもらいやすいかも」
「へ~、そりゃ楽しみだな。ほまれも食うか?」
「遠慮しとく」
「ほまれ?…」
拓海とほまれのやり取りを見てきょとんとしたような表情を浮かべるさあや。
「拓海君、名前で呼んでるんだ」
「え?いや、本人がそっちの方がいいって言ってたしな」
「そうだね。なんかそっちの方がしっくりくる感じしたから」
「そうなんだ。ねぇ、折角だから私も名前で呼んでみない?」
「え?」
「いいじゃん。初対面の私も名前だし、さあやとはそれなりに親交はあるんでしょ?」
「…薬師寺は「さあや」あ、おう。んんっ、さあやはそれでいいってことか?」
「ふふっ。なんかいいね。うん、仲良くなった感じする。ほら、拓海君。食べてみて」
「お、おう」
名前で呼んだら美少女からの笑みを向けられ若干の照れを感じながらも拓海は促されるがままにチップスを一つつまみ、スプーンを使ってソースを乗せる。顔に近づけるとやはり感じるのは鼻へのピリピリした刺激。それでもむせ返るほど強いものではなく、程よく期待を高めてくれる。
では、と口にソースを乗せたチップスを入れる。下に触れる前から既に広がる刺激は初めてであればやはり驚いたものだろう。まるで空気そのものが辛さを纏っているかのように口の中を通り鼻へと刺激が抜ける。それでもまだほんの序の口である。
舌とソースを隔てるチップスを砕くようにしっかりかみしめる。ぶわっと一気に口内をかける強い刺激と、その中でも仄かに感じる甘味にも似た感覚。ソースの中には柔らかいながらも食感を確かに感じる細かく刻まれた何か。そして通常のデスソースではまず感じないであろうコクが、辛さによる刺激を緩和してくれるかのようだ。
「どうかな?」
「うん…美味い。この感じだとハバネロソースをメインに、炒めた玉ねぎとバターが使われてるのか?」
「そうだね。バターは直接入れてなくて、玉ねぎを炒める時に使ったんだけどね。あとは塩と胡椒も少し使ってるけど」
「なるほど。バターのような乳製品はソースの辛さを抑えてくれるけれども、直接入れると元のソースの良さを無くしちゃうかもしれないしな。炒めた玉ねぎの柔らかいけど確かにある食感もいいし、何より玉ねぎが持つ甘さを噛めば噛むほどと小出しにできるから、最初は辛くてもじっくり味わうことでマイルドになる、と」
「激辛料理はやっぱり後味がすごく残るものだけど、それを楽しめるかどうかで大きく評価が変わると思うの。真の激辛好きからしたら邪道かもしれないけど、最初に絡みを感じてから、そのソースの風味や味をじんわり楽しめるようにできたらいいなって思って」
「確かに、そうして辛いだけじゃない美味しい部分を知ることができたらもっと興味を持てるかもしれないな」
「へ~」
何やら感心した様子のほまれの声に拓海とさあやがそちらを向く。
「?ほまれ?どうかしたの?」
「いや、本当にさあやの激辛好きに付き合えるんだな~って思ったから。うちだとルールーが一応、って感じだったし」
「まぁ、激辛って聞いただけで手を出しにくいイメージはあるよな。とはいえ本当においしい激辛料理ってのは罰ゲームに出てくるやつとは違って、食べた後に満足感もあるし、また食べたいって思わせてくれる魅力があるんだよなぁ」
「そういうものなんだ。なんか想像つかないかも。それになんだか同じように見えるというか、種類が偏ってるイメージも正直あるんだよね」
「確かにそうかも。でも、実際のところはそんなに決まった食べ方だけじゃないよ」
「一口に激辛料理といっても、本当にいろんな食べ方がある。カレーや中華だけじゃなくて、こういうソースを隠し味に入れたものとかな…あ」
「?拓海君?」
「このソースの感じ…あれと相性がよさそうだな。さあや、悪いけど芙羽の都合聞いてもらっておいてもいいか?」
「え?ここねちゃんの?いいけど、今ってこと?」
「ああ。このソースを活かしたメニューを思いついたんだ。これの評価なら、芙羽が一番だと思うから。さあやと芙羽には絶対に食べてみて欲しいんだ」
そう言いながら外していたエプロンをかけ直す拓海。その表情には思いついたメニューを試したいという気持ちでいっぱいの笑顔…スランプだったことを微塵も思わせないような、楽しそうな表情だった。
「そっか。わかった。こっちで連絡してみるね」
「頼んだ。あと、サンキューほまれ」
「私?」
「ほまれと話したおかげで、なんだか調子が取り戻せそうだ。絶対美味いものになるって確信してる」
「ふ~ん。そりゃよかった。じゃあそこまで言うなら、私も食べてみようかな。楽しみにしてるよ」
「おう。こりゃ、失敗できないな」
ともすればプレッシャーを感じているようにも聞こえる言葉も、彼はなんてことのないジョークのように言う。期待を受け、それをむしろ力に変える。悪い方向でのスパイラルを脱したのは間違いなさそうだ。
ふっ、とほまれは小さく笑みを浮かべる。なんだかいつかの自分を見ているような気持になったから、ついつい世話を焼いてしまった。
ほぼ初対面の男の子。それでも、どこか共感できる相手だった。話を聞く限りだと、彼も自分の好意に気づいていない身近な相手にやきもきさせられているらしい。そんなところにまで変なシンパシーを感じてしまう。
「ん。さあやが拓海と仲がいい理由、なんとなくわかった気がする」
「なんだそれ?っと、とりあえずちょっとキッチン行ってくるから」
「うん。ここね達に声をかけて待ってるね。いってらっしゃい、拓海君」
ひらひらと手を振るさあやに軽く手を挙げて返事をしてから、拓海はソースを手にキッチンへと進んでいった。さあやはすぐに拓海の言った通り、ここねに連絡している。
「ねぇ、さあや」
「なに、ほまれ?」
「拓海って、なんか面白いね」
「ほまれも興味持った?」
「どーだろ。まぁ、仲良くはなれそうかな。でも、なんかちょっとハリーに似てる部分あるから、さあやが心配でもある」
「そうかな?でも、ほまれがそういうならそうなのかも。実際モテモテだし、拓海君」
「さあやはどうなの?」
「私は…うん、まだはっきりとはしてないかな」
「そっか。じゃあ余計なことは言わないでおく。さあや自身の気持ちで、さあや自身の選択が大事だから」
「ありがとう、ほまれ」
芸能界を見てきたさあやと、スケート選手として活動してきたほまれ。方向性は違っても、その経験は彼女たちの内面を普通よりもずっと大人びたものに成長させていた。はなやえみる、ルールーといる時とはまた違った空気感、会話のテンポ。それができる友人に恵まれたことはプリキュアになって得た大きなものの1つ。その延長線上で出会った彼との出会いもまた、もしかしたらそう思えるものになるのかもしれない。
「会いに来てみてよかったよ。噂の品田拓海に」
「ふふっ。ほまれのお眼鏡にかなうなんて、流石拓海君だね」
そう言って2人は笑みを交わし合うのだった。
その後、さあやに呼ばれたここね、一緒についてきたゆい、らん、あまねが合流した丁度その時、拓海が新しいレシピをもってキッチンから出てきたのだった。予め他のメンバーも来ることを想定していたらしく、ちゃんと全員分。
出された「ホットソースピタパンサンド」の美味しさに目を丸くしたほまれが、さあやの激辛趣味に歩み寄るようになるのは、また別の話。