昔々の御伽噺

 昔々の御伽噺


 これはイギリスに伝わる昔々のおとぎ話である……

**むかしむかしのおはなし**

むかしむかし、この国は深い闇に包まれておりました。

黒き雲は空を覆い、山は崩れ、川は凍りつき、村々は炎に包まれました。

大魔王がその力をふるい、魔物たちが大地を踏み荒らしたのです。

「助けてくれ!食べるものがない!」

「昨日まで一緒にいた家族が……魔物に……!」

「神さま、どうかお救いください……!」

誰もが嘆き、誰もが恐れ、もはや希望は消えかけておりました。

しかし、そんな中、一人の若者が立ち上がったのです。

**青年、旅に出る**

この若者は、どこにでもいるただの村人でありました。剣の腕もなければ、不思議な力も持たぬ者でございました。

けれど、彼は心に炎を灯しておりました。

「このままでは世界が滅んでしまう。誰かが立ち上がらねば……!」

若者は己の力を信じ、長い旅へと出たのです。

道中、三人の仲間と出会いました。

一人は戦士。鉄の斧を担ぎ、岩をも砕く強者でございました。

一人は賢者。知恵の杖を持ち、遠き昔の知識を授かる者でございました。

一人は魔法使い。炎と雷を操る、不思議な術を知る者でございました。   

こうして、勇者は仲間と共に大魔王の討伐へと向かいました

大魔王の軍勢との戦い

勇者たちは大魔王の軍勢と相まみえました。

黒き甲冑を纏った騎士、翼を広げる魔獣、巨大な獣——数えきれぬほどの魔物たちが、勇者たちの行く手を阻みました。

「ここを越えねば、大魔王には届かぬ!」

勇者は剣を振るい、戦士は斧を振り下ろし、賢者と魔法使いは魔法を放ちました。

魔物たちは次々と倒れ、勇者達は大魔王の城へ足を進めました

**大魔王の城へ**

長い旅を終え、勇者たちはついに**大魔王の城**へとたどり着きました。

そこは黒き雲に覆われた、不気味なる宮殿。大きな門の前には、捕らえられた人々がいました。

「お願いです、助けてください……!」

「大魔王を倒せるのは、あなたたちしかいない!」

勇者たちは剣を握りしめ、城へと足を踏み入れました。

**大魔王との戦い**

城の奥深く、玉座に座る大魔王が待ち構えておりました。

その姿は、年老いた痩せた老人のようでございました。しかし、その紅い瞳は獣のように光り、細き手には恐ろしき魔の力が満ちておりました。

「よくぞここまで来たな、哀れな人間どもよ……。だが、余の前に立つには百万年早いわ」

そう言うと、大魔王は両の手を広げました。

ゴォォォォ……!!

右手には燃え盛る炎、左手には凍てつく氷。

「炎に焼かれるか、氷に閉ざされるか、どちらが好みか?」

バシュウウウウッ!!

炎が不死鳥となり、勇者たちに襲いかかりました。

「熱いッ……!!」

「うわあああ!!」

燃え盛る業火が戦士の鎧を焦がし、魔法使いの衣を焼き尽くしました。

「ならば、こちらも楽しませてもらおう」

大魔王が手を振ると、今度は凍てつく吹雪が巻き起こりました。

**ガキィィィン!!**

氷の刃が勇者たちを切り裂き、戦士の斧は砕け、魔法使いは凍らされ呪文を唱えることすらできませんでした。

「人間がどれほど足掻こうと、無駄なことよ。この国は闇に沈む運命なのだ」

絶望が広がりました。

「もうダメだ……誰も、大魔王には勝てない……!」


**奇跡の光**

そのとき——

**天よりまばゆい光が降り注ぎ、空に女神が現れました。**

「勇気ある者よ……あなたに、この剣を授けましょう」

女神が手をかざすと、勇者の前に輝く聖なる剣が現れました。

勇者がそれを手に取ると、剣は黄金の光を放ちました。

「な……なんだ、その剣は……!」

大魔王が初めて動揺しました。勇者は剣を握りしめ、大魔王へと駆け出しました。

「貴様ごときに、余が敗れるはずがない……!」

大魔王は最後の力を振り絞り、燃え盛る炎を放ち、凍てつく氷の刃を飛ばしました。しかし、聖なる剣の光はそのすべてをかき消し、勇者は一直線に駆け抜け——

**ズバァァァァン!!**

光の刃が大魔王を貫きました。

「ぐ……ぐわああああ!!」

大魔王の身体が砕け、内側から光が漏れていきました

「バ……バカな……!この余が……こんな、愚かな人間に……!」

最後の叫びを残し、大魔王は黒い煙とともに消え去りました。

**国の平和** 

勇者たちが外に出ると、そこには涙を流しながら待っていた人々がいました。

「やった……!本当にありがとう……!」

「あなたがいてくれて、本当によかった!」

勇者は仲間たちと共に微笑み、人々と喜びを分かち合いました。

こうして、勇者は大魔王を討伐し、この国に平和を取り戻したのです

**めでたし、めでたし。**

——このお話は、今も語り継がれております。もし、再び何処かに闇が訪れたとき……きっとまた、勇者が現れることでしょう。


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