明けない夜、落ちない日

明けない夜、落ちない日


くらい、くらい、ばしょにいました。

ゆめであることはしっていました。めざめたとき、なにひとつおぼえていないこともしっていました。

それは、それは、とこしえのきょうえん。おわらないよるがおどるばしょでした。

 

かこのさいえんが、くるくるとおどりつづけます。

みせつけるように、くりかえされて。

おきては、なにも、なにもおぼえていないのに。

 

くだらない、とおもいます。

なにもおぼえていないのに。

なんどくりかえされようと。

 

──ああ、けれど。

そのひは、いつもと、ちがいました。

 

ろじうらに、うずくまるぼくがいた。

だれもたすけてくれなかった、きおく。

それが、かいざんされた。

 

「──大丈夫ですか⁈」

 

おとなの、おとこ。

うしろからみているぼくには、てがさしのべられたようにみえました。

けれど、うずくまる『ぼく』にはどうでしょうか。

 

てをはらいのけて、あとずさる『ぼく』を、ぼくはさめためでみつめていました。

せいかくには、さらの『ぼく』にちかづくおとこを、ですが。

 

なんてあくしゅみなこうけいか。

あたえられなかったものを、なぜえんじてしまうのか。

じぶんがつくりだしているのか。「アレ」がつくりだしているのか。そんなことはどうでもいいのです。

 

どうだってかまわない。

どちらにせよ、ふゆかいであることに、かわりはないのですから。

けれど、まぼろしであっても、ぜんいのたしゃに、いいたいことはあったのでした。

 

だれも、たすけてはくれなかった。

だれも、すくってはくれなかった。


だから、ぼくは。かれは。ぼくらは。

こうなってしまったのに。


それを、いまさら。

いまさら!

なんで、いまになって!

なんで、すべておわってから!

すべてが、ておくれになってから!


もう、ぜんぶおそいんだよ!

あのとき、たすけてくれなかったくせに!

じこまんぞくに、つきあわせるな!

 

ゆめは、かなわないからゆめなのです。

だのに、のぞんでしまうから、ゆめなのです。

 

まぎれこんだこうかいでも、あったのでしょう。

「アレ」がどうちょうし、ぼくをこわそうとしたのでしょう。

そとにださないためのしょち。セーフティネット。それが、このゆめなのでしょう。

 

 

 

もしも、だれかが、たすけてくれたなら。

そうおもってしまうじぶんが、ぼくが、なによりきらいでした。


さめないゆめは、おぼえていないげんじつは、はたしてどちらでしょうか。


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