方程式とエビデンス
skeb出せるほどの資料収集は頓挫する ただし煩悩は確実に増大する「まったく…今回だけという言葉を勘違いしているのでしょうか」
少女の姿をした龍はそういうと怪訝そうな顔をした
始まりは極めて単純なものだった
人間の体をベースにした異文明との交流のための
インターフェイスをより精細にするため
クリーチャー達の体と比べると極めて脆弱なそれらを理解しそこから
いくつかの方程式を組み上げるためという名目で始まった実験である
最初こそは筋力を試すための運動や身体測定と言った基本的なものだったが
やがて更に深く知るために生物の根本の一つである生殖機能の分析を行うフェーズに移行したのだった
最初こそ医学的な分野での検証であったもののやがて官能的とも言える
行為を行うようになり
最初は自らの手でやっていたものの採取法の習得や効率化のためというお題目で
「彼女の手でやってはどうか」という
軽薄な冗談のはずだった言葉が真となり彼女の手で"試験する"ようになった
最初は手袋越しだったそれらの行為も「”今回は”素手で」「”今回は”出るまで」
などと”今回は”という言葉を文頭につけてはより過激な事を彼女に提案しその度に怪訝な顔を浮かべつつも実行するのがもはや日課となっていた
そして今回はより過激になり
「”今回は”化学変化と味などの分析のために口でしてはどうか?」と提案したのだ
流石にこれは通らないと思ったが…
どうやら想定外とも想定通りとも言える解が出たようだ
彼女はやや手慣れた手付きで固くなった生殖器を抜き身にすると
慎重とも困惑とも取れるような素振りで
ソレに顔を近づけ臭気を確認する
「やはり…なんとも言えない独特な臭気を感じますね…しかしなぜでしょう…」
「嫌悪感というものがあまりわかないのです 未知のものを研究せざる得ない科学者としての性でしょうか?」
この場にいる誰にも解けないであろう疑問を投げかけると
ため息に似た吐息を吹きかけつつ
恐る恐る先端部を毒見するかのように舌だけで触れ味見した
「…決して美味しいものではありませんね…しかし…ふむ…」
何かを思案するような表情と仕草で試験対象の反り立ったそれを見つめると
今度はゆっくりと口を開き先端を咥えた
そしてゆっくりと優しく確かめるように舌で転がし
ある程度終えるとゆっくりと吐き出した
「なるほど…口内というかなり繊細な器官だと計測したデータや手で触れたときなどと比べてより一層詳しく分析できますね…」
「手で触れたときにも思いましたが口の中だとデータで示された数値よりも体感的に固く…そして熱を帯びていように感じるのですね」
彼女は少し微笑むような表情でそういうと今度はうって変わり逡巡するような表情で
「しかし…まだ足りません…そうですよね?」
彼女はそう言うと少し深く息を吸い再び咥えた
そして今度は先端だけではなく深く深くゆっくりと全体を呑み込んでいく
繊細で傷つきやすい部位であることを気遣っているのであろう
ややぎこちなく先端まで浮上すると再び深く懐へと潜り込んでいく
生殖としての本体とも言える精液を採取するには繊細に扱いつつほどよい刺激を何度も何度も繰り返し与えなければならないことは方程式にしなくても生物的な本能の粋でわかっていることである上に
今までの実験で身にしみて理解した彼女は手で行ってきたことを口でラーニングするかのごとくその行為を繰り返した
やがて少し慣れてきたのか徐々に速度をあげていく彼女を眺めていると内から湧き上がる採取対象が快楽という副産物を伴って彼女の口内へ出ていこうとする
しかしある種の衝動が平穏なまま終わらせまいとという意思になり行動へと移させた
「っ!?」
イチモツがさらに熱を帯び経験則的にも本能的にもそれが出そうだというサインをしめした瞬間のことである
彼女の頭を抑え限界まで懐の深い部分へと押しやったのは
「~~~~~~~~っっ!!」
彼女の口内の奥深いところへとそれは打ち込まれていく
しまった
そう思い手を離した瞬間彼女は飛び離れるようにして浮上した
「げほっ…げほっ…一体っあなたは何を考えっ…」
突然の行為に彼女は少し涙を浮かべつつ明らかに怒気を放っていた
しかしそれも束の間
口内の採取物を自身の舌先で転がし確かめると
「変な触感と味ですが…悪くはありません」
「それに多少飲み込んでしまいましたが想定外とはいえ思いもよらなかった検証方法ができたと考えれば…」
そう言いつつ彼女は冷静に唾液と混ざりあったそれを試験官にとりだし封をする
多少のトラブルがあったとはいえ実験の成功と
想定になかった検証ができたからなのだろうか?
ややムスッとした表情ではあるものの少し機嫌を取り戻した様に見える
「”今回は”いいでしょう。しかし”次回は”そういったことはしないように…いいですね?………わかればよろしい」
こちらが答えを言う前に表情でわかると言わんばかりに一方的に
そういうと彼女はいつものような自信に満ちた表情を浮かべる
彼女との解を導き出すための研究はまだまだ終わりが見えそうにない
終わり