新時代はやってきた
「結局、私の新時代って何だったんだろうね」
私は偶然にも拾った新聞を広げながら海岸で笑う。
きっかけは、いつも通り牛たちの世話をした後、海岸を散歩しているとこの新聞を島を通り過ぎようとするカモメが落としたことが始まりだった。
「カモメさん、新聞おとし・・・、これ、ルフィ!?」
見出しにはこう書いてあった。
『海賊王モンキーDルフィ、新時代を築く』
驚いて新聞を読み込んでいくうちにわかったことはルフィは世界政府の陰謀を暴き、悪い海賊たちをやっつけて世界中の人々を自由にしみんなが笑って暮らせる世界にしたことだった。そしてそのためにたくさんの人たちが手を取り合い、ルフィがワンピースを手に入れた。
新聞の写真には大きな大きな宴をたのしんでいるルフィとその仲間たちの写真があった。
私がこのエレジアにいる間に私の幼馴染であるあるルフィは新時代を作って夢を実現させていた。
「あーあ、これは私の負けだね…すごいよ、ルフィはさすがだよ」
実際私はわかっていた。フーシャ村にいたころからルフィに勝てる要素なんて何一つないなんてことは。だからいっぱいずるして無理やり勝ちに持ち込んでた。
「でも・・・」
私は新聞を握りつぶし、空を見上げる。
「これだけは・・・負けたくなかったな」
この島にはゴードンしかいない、それはわかっていた。でも誰にも見られたくないし、見せたくない。
『四皇赤髪のシャンクス、海賊王を守るために死亡。麦わらの一味の大同盟による大規模な葬式が開かれた』
なんだかこれも心のどこかでわかってたような気がしてた。
本当は私が邪魔もので、二人の間に割って入って邪魔してたようなそんな気が。
結果それも12年越しに正しかったと嫌になるほどわかってしまった。
「~♪」
久々に歌う、もう2年以上は歌っていないあの歌を。
もう誰にもこの歌は届かないとわかっていても、歌わずにはいられなかった。
「私はウタ、ただのウタだよ」
もうエレジアからはでれないだろうなと確信した。
なんとなくわかる、私に新時代で住める場所はない。ならせめて歌おう。旧時代の歌を口ずさみながら私はゴードンを安心させるために得意になった笑顔の調整しながら帰路へついた。