新婚キタちゃん 12月3日編

新婚キタちゃん 12月3日編


「キタサン、今日が何の日か知ってるか?」


「ど、どうしたんですか……後ろから抱きついてきて突然……。う、嬉しいですけどなんだか恥ずかしいです……」


「ごめんごめん。それで何の日か知ってる」


「えっと……ひっつみの日でしたっけ……?」


「確かに123をひっつみの語呂合わせでひっつみの日だけどそれじゃない」


「よく知ってましたね……岩手県の郷土料理のこと……」


「まぁ調べてるからな」


「えっとそれじゃあ……くるみパンの日……? 」


「う~ん……毎月来る3日をくるみと語呂合わせして、毎月3日をくるみパンの日としてるけど12月ってところに掠ってないから違うな」


「ですよね……。う~ん……ちょっと難しいですね……。ヒントが欲しいんですけど、何かありますか?」


「ヒント……ヒントか……」


「なんでもいいんです! こう……いい感じのやつが欲しいです!」


「えっと……そうだな……」


「ワクワク」


「ああ……その……」


「…………?」


「…………答え言ってもいいかな?」


「え!? な、なんでですか!?」


「いや……ヒントってどうすればいいか分からないというか……」


「そんなに大変なことですかね……?」


「大変なんだ。だから言うよ」


「は、早い!? 今日は凄い強引ですよ!?」


「今日は妻の日なんだ」


「妻の日……」


「3をサンクスと語呂合わせで呼ばせることと、12月って1年の最後だから労をねぎらうって意味でそうなったんだ。妻の日になったのは、恐らく妻には1年間お世話になってるからなんだろうな、分からないけど」


「………ふ~ん。ところで、なんで答え言ったんですか?」


「さ、さっきも言っただろう。ひ、ヒントを出しにくいんだよ……」


「………………ははぁん」


「な、なんだよその顔……まるで分かってます言わんばかりに……」


「答えを言った本当の理由は、引っ張りすぎると恥ずかしくなるって思ったからですよね?」


「ぐっ……そんなことは……ないぞ……」


「恥ずかしくないなら、なんで動揺してるんですか?」


「そ、それは……」


「ふふ……♪ 後ろから抱きついてきたのに、そういうところは恥ずかしいんですね〜」


「こ、ここぞとばかりに攻めるなキタサン……」


「結構言い負かされてるので、こういう時に返さないと」


「妙に意地悪だな……誰に似たんだいったい……」


「後ろで抱きついたままの誰かさんに似たんです」


「そっか……悪いやつだな……そいつ……」


「悪いところなんかよりも、良いところが沢山あるから一緒にいるんですよ」


「そ、そうか……」


「照れてる」


「当たり前だろ……」


「ふふ……。さて! 今日が妻の日というならあなたはあたしに何をしてくれるんですか?」


「えっと……今日の家事全部やったり、甘やかしたりとか色々?」


「家事はありがたいですけど、甘やかすとはいったい……?」


「今みたいに抱きついたり」


「ま、まぁ……嬉しいですけどね……」


「頭を撫でてみたり」


「こ、こんなことで喜ぶような子供じゃないって、前に言いましたよね……」


「そう言いながら、何度も頭を擦り付けてくれる君が好きだよ」


「好きってこういう時に使う言葉じゃないです!」


「よしよし」


「むぅ〜! 妻に対する扱いじゃないし、労りが足りない! 妻の日なのに!」


「ごめん、ごめん」


「…………1時間」


「えっ?」


「1時間このままでいてくれたら許してあげる……」


「…………いつもありがとうキタサン」


「撫でながら言われてもなぁ〜……子供じゃないのになぁ〜……えへへ。こちらこそありがとう、あなた♪」

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