新入生と先生

新入生と先生


「次は……呪術の歴史についての授業っと……」

自分はこの魔法学校に新しく入学した一年だ……早速洗礼という爆発を“初日”から浴びた一年生だ。

正直噂以上にハチャメチャの学園で自分の将来、ていうか未来自体があるのかするら心配になってきてる今日この頃です……此処学校だよな?

まぁそんな事言ってももう入学してしまったから考えても仕方がない。生きる事に徹底しよう。


『やぁ、なにか詰めた様な顔をしてるけど何かあったのかい?』

 一年特権の大量の教科書を抱えて歩いていると話しかけられた。顔を上げてその方を見てみると、肩まで伸びた翡翠色の髪に、琥珀色の黄色の眼、180cm程の長身に、少し幼げの残る童顔の人が立っていた。

「…………貴方は……どちら様でしょうか?」

『あぁそうか、新入生だからまだ分からないか』

そう言ってニコニコ笑う男。正直胡散臭い。

そんな事を思ってると男は少し怪しく笑うととびっきりの営業スマイル?で優しく話しだした。

『僕の名前はシルベ•エルカル。この学校の先生だよ。科は召喚術科を担当していてよく生徒と模擬戦をしている先生……これで分かるかい?』

その言葉を聞いた瞬間ピンときた。この学校には生徒おもしのぶ戦闘狂の先生がいると……けれど今目の前にいる方からはとてもそんな荒々しい雰囲気は感じない。どちらかと言うと紳士的な雰囲気を感じる。

「……宜しくですシルベ先生。自分は◾◾◾と申します。……失礼かもですがシルベ先生はあの……戦闘狂の」

そこまで言いかけるとシルベ先生はあぁそれかと言ってなんだか慣れたように語り始めた。

『戦闘狂……本当に昔から変わらないねぇ僕のあだ名。学生の時から僕は戦闘が大好きでね……確かあの時から言われ始めたのかな?

まぁ今は落ち着いてこんな風に“立派な”教師をやってるんだけどね~』

立派の部分をなんか強調していた気がする……もしかしたらこの会話も何回も対応してきたからなのかも知れない。

「すいません失礼な事を言ってしまいました」

『いやいやそんな事ないさ。実際僕の素行のせいだろうしね……

ところで君はこの学校でやっていけそうかい?』

カウンセリングみたいなことを言ってきた……まぁ毎日のように爆発やトンチキが起こるからピカピカの新入生を心配するのは当たり前なのかもしれないが。

「大丈夫ですよ!少なくとも今は……だって入学初日に爆発にお酒の騒動。それに舐めた一年が二年と乱闘騒ぎ……やっぱおかしくありませんか此処」

少し口が先走り過ぎた気がするけど正直初日からこんな事に巻き込まれるとは思ってなかったし少しムカついたからいいよね。

『あぁアルコー族のか……あの生徒達は直々に許可が降りてるから問題はないよ。そして爆発については本当に申し訳ないと思ってる。一年生もいるのに爆発なんて起こす奴が悪いのだよ……だからごめんね』

い意外にも素直に謝られてこっちが悪い事をしたように感じてすぐに謝罪をして頭を下げた。けれどもシルベ先生は慌てた様子で頭を上げてと優しい声で言った。

『大丈夫、君のその憤りは当然の反応だよ。ただでさえ新入生で緊張しているのに初日から爆発騒ぎ……教師として本当に不甲斐ないよ。けれど知っていたのだろう?この学校がトンチキ学園だと……それを知って此処に入学した。だからこれには慣れてほしい。僕達だけだと力不足な事も多いんだ……ごめんね』

ここまで言われたら流石にもう言い返す事もできなかった。けれども“慣れてほしい”という言葉には少々引っ掛かった。いくら此処がトンチキ学園でも学校は学校。教師ならばちゃんと指導すべきじゃないかと。だからその言葉にはなんだか納得できなかった。

『……また詰めた顔をしているね。もう過ぎてしまった事だから僕にはその生徒に反省文を書かせる事と、君に謝る事しかできないんだ。分かってくれ』

言葉一つ一つに確かな責任を感じた。戦闘狂と言ってもやはり大人になれば落ち着くのだろうか……まぁ思い返せば新入生のまだ学校の雰囲気すら理解できてない生徒がここまで文句言うのも少し悪かったのかもしれない。

「……分かりました。けれど先生、自分はこの学校に慣れてしまったらそれこそなんだか終わってしまう気がするのでちゃんと常識は持って生活していきますね」

『あぁ……是非ともそうであってくれ。そうだ、君はこれこら授業なんだろうけど何の授業だい?』

「呪術の歴史についてです。確か先生は……アリス先生でしたっけ?まだ入ったばかりでよく覚えてないのですが……」

『そうそう呪術はアリス教授だよ。アリス教授は穏やかで優しい人だよ……けれどしっかりとした教師だから遅れたりしたらちゃんと叱られるから急いだ方がいいよ』

「え?!まじですかすいませんそれではまたです!シルベ先生!」

 そう言って急いで廊下を走って教室へ向かった。


『おーい廊下を走ったら危ないよ~……って聞こえてないか……

それにしても……まさか僕が教師になってこうして新しく才能達を育てる側に回るとはねぇー……おっと不味い、授業に遅れてしまう……さっき注意したのに僕が遅れたら本末転倒じゃないか』









そして後日、シルベ先生がやってきた事を教師に聞いてみて思ったところ。

アンタも大概ヤバい人じゃねぇか!!!

 

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