新たな仲間、操舵手ジンベエ

新たな仲間、操舵手ジンベエ



わしの名前はジンベエ、名の通りジンベエザメの魚人じゃ。

元七武海にしてタイヨウの海賊団2代目船長を務めていた世間からは海峡という二つ名がつけられておる。そして今は、新たな四皇に名を連ねたモンキー・D・ルフィが船長を務める麦わらの一味の操舵手として一味の加入した新参者でござんす。


ワノ国での戦いを終え、新たな四皇としてルフィが名を連ねた。

一味の賞金額も跳ね上がり喜びに沸くもの、地面にのめり込みそうなほど悲観するものと両極端な反応を見せていた、賞金額に一喜一憂するその様子は憂いてるものには申し訳ないが賑やかでいいことだ。

ちなみに一味の船長のルフィはとてもじゃないか新皇帝にはとても見えない、ボロボロの風貌になっていたが……ナミは恐ろしいの、思わず腰が引けてしまった覇王色の覇気を見紛う恐ろしいオーラじゃった絶対に怒らせないようにしよう、正直ビックマムの覇気よりも命の危険を感じた。


「うわぁ~私の手配書も更新された~見て見てこの額!すっごくない??オモチャだった時の何倍も凄い額になった~!!写真もホールケーキアイランドで撮られたやつよりも可愛くなった~♪見て見てナミ!私の懸賞金すっごく上がった~!!嬉しいな~歌っちゃおう~~♪」

「喜ぶな!!ウタあんたねぇっ額が多いってことはそれだけ大悪党ってことよ!!私の額も……むしろ欲しい~!」

「う、羨ましいぞウタ~!おれなんて……おれなんて~~!!1000ベリーだぞ!!おれだって頑張ったんだ!!物申すぞ1000ベリー!!」

「むしろ代わってくれチョッパ~、おれはもーいい!これ以上はもーいい~!!うわぁぁぁぁ~~5億の男になってしまった~~!」

「オメーはいいよなぁウソップ!おれなんてサニーだぞ!!前はフランキー将軍だったし今度はおれ自身のスゥーパーな雄姿だと思ったのになんでサニーだ!!いやサニーの写真写りは見事だが、おれはぁ!?」

「うふふ、元々人外だったからいいじゃない、暑苦しい貴方よりも愛らしいサニーの手配書の方がずっと見ていられるわ、いっそ整形したらどうかしら?」

「ヨホホホホ~!ロビンさんテキビシー!!私も整形したほうが……でも私、整形できる顔面、ないんですよねー!!ヨホホホホ!」

「ウタちゅわん、ロビンちゃわんにナミすわぁ~んの新しい手配書どれも素敵だ~♡おれは……なぜ、俺があいつの……下に…………!!!!」

「はははっ!本当に愉快じゃのう!……それに比べて、大丈夫かサンジどうした?」

「良かったじゃねぇかウタ、こんだけの賞金なら立派な大悪党だ!あと、ほっとけジンベエそこの4位のやつなんて、ははははは!!」

「んだとマリモォォ!?」

「すぴません……だしてくらはい……はらへった……」

「ナミのお許しが出たらね~?ほら見てみてルフィ私の手配書~♪」

「う、うたぁ~だしてくれよぉ~」

「え~?ナミ~!そろそろルフィ出してもいーい?」


とても四皇には見えない、ワノ国からの出航の際に滝から飛び降りるという選択をしたことでボコボコにされ鳥かごのようなものに閉じ込められた船長のルフィは空腹を訴える腹の音を出しながら泣きながら許しを請うた、少し可哀そうだが甘やかすなと怒られたばかりで何もしてやれない。


船長のルフィをボロボロにした張本人の航海士ナミは覇王色と見紛うオーラを放ちながら怒り、そして自分の手配書の賞金額に涙する、狙撃手のウソップも目玉を飛び出す勢いで嘆き叫び手配書を握っている、ちなみに手配書は握力だけでなく涙と鼻水でグシャグシャになっている、2人ともかなり情緒不安定だ。


手配書を見るまでワクワクと嬉しそうな顔をしていた船医チョッパーは額を見た途端に怒っていた、そんなチョッパーに考古学者のロビンがわたあめを差し出した瞬間にチョッパーはすぐに幸せそうな笑顔になっていた、ロビンもそんなチョッパーを見て嬉しそうだ。ただ1人と1匹の賞金額の差を考えるとなんとも言えない。


船大工のフランキーは船首が大きく映った手配書を怒りながらも褒めて自棄酒ならぬ自棄コーラをしている。

そのフランキーに対し、なかなかキレがありながらも闇を感じるツッコミをするロビンに慣れたように音楽家のブルックは陽気にギターを鳴らしている。

剣士のゾロは上機嫌に手配書を眺め、反対にコックのサンジは甲板にのめり込む勢いで落ち込んだと思ったら怒りで復活しゾロと喧嘩をし始めた。


まるで宴のような賑やかさに思わず笑顔がこぼれる。

そして、この個性豊かな一味の船長が漸く航海士から許しを得て、船大工からもらった鍵で歌姫によって解放された。

解放されるや否や、すぐさまサンジが用意していた食事に飛びつくルフィに水を渡し終えたウタがわしの方にやってきた。


「ジンベエもご飯食べる?美味しいよ~!」

「わざわざすまんのう、これまた美味そうじゃのう頂こう……ん?こっちの手配書は、たしか……」


ウタの手元には3枚の手配書があった。

一つは人形の姿、一つはホールケーキアイランドで撮られた血を流しならも歌う姿、そしてもう一つはワノ国の着物をまるで羽衣のように棚引かせて歌うウタの写真が載っていた。


「そう!私の手配書!!こっちのオモチャの時はもはや懐かしいなぁ、小さな体だからできること少ないなって寂しく思ったこともあったけど……」


「何言ってんのよ!あんたは最初っから頼りになったわよ!ルフィとゾロなんて、海図も読めない食料の配分もできないわ、海の知識もまったく、まっったく!!無しの役立たずだったんだから!」


「あ、ありがとナミ。でも本当にナミが仲間になってくれてよかったよ~!ルフィなんて私の言うこと無視して気の向くままだったから……ゾロも航海術無かったし」


「おぉう、お前らナミが居なかったらおれのいたシロップ村まで来れなかったんじゃねーか??でも、ウタおめーはオモチャ時代から頼りになってたぜ!」


「ウソップの言う通りだぜウタちゃん!特に迷子マリモのナビゲートなんてウタちゃんがいなかったら本当にどうなっていたことか……」


「んだとクソコック!」


「事実だろうが!お前ウタちゃんにどんだけ迷惑かけたと思ってやがる!おいジンベエ、改めて言っておくが鬼ヶ島の時みたいにクソ阿保剣士は一人で行動させんなよ!絶対だかんな!!見晴らしのいい一本道で迷ったという方向音痴の概念と限度すらも容易に破壊し突破するほどのキング・オブ・方向音痴なんだからな!!誰かの後ろに着いていくなんて芸当すら怪しいんだからな!」


「まったくだ!ゾロお前ほんっとーにヤバいんだからな!ウタが頑張ったのにお前がウタを無視して歩き回るもんだから、結局迷子になったって、ネガティブ女の技を食らった時並みに落ち込ませたこともあったんだからな!!おれとフランキーで何度ウタ専用の発煙筒だの発光弾だのミニ打ち上げ花火だの作ったと思ってる!!」


「そうだよね……もうゾロの頭に乗っかって耳とか頬っぺた引っ張って止めてあげれないんだよ、それでも油断すると森にいたはずなのに何故か見晴らしのいい海に居るっていう不思議現象起きたんだよね……ゾロのそれはもはや不治の病、いや呪い??ある意味能力者??」


「ごめんな、おれが駄目に効く薬作れないばっかりに……」


「駄目って……おい、チョッパーおれは駄目じゃ」


「あっはっは!ゾロはアホだからな~!」


「トラブルばっかり呼び込むお前が言うなルフィ!!それとっ……そ、そんなに落ち込むなよチョッパー、ウタ!……わ、悪かった……よ」


「アウ!そーいやあウソップと一緒に色んなパターン作ったな!最終的にウタのぬいぐるみボディに仕込もうと思ったこともあったが全力で拒否されちまったっけ、なかなかスゥーパァーなデザインだと思ったんだがなぁ」


「フランキーのデザイン案は全然可愛くなかったわ、工具を持ってウタに近づないで欲しかった」


「ヨホホ!中々アーティスティックでしたよね!私アレ結構好きです!あの七色に光る虹のようなやつ!あとゾロさんなら緑色のルフィさんなら赤色とか、皆の好物を花火にしたバージョンもありましたね~」


「あったあった♪一味の誰と一緒にいるのか一目瞭然だったよね~!実は私、あれを使うの毎回密かに楽しみだったんだ~!」


「そんなに逸れることが多かったんか?」


「そうだよジンベエ!えっとね~実はある島で冒険した時に――――」



*****


小さな体での大大冒険の日々を聞きながらわしはふと、初めてウタと出会おうた日のことを思い出した。






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