新しい部屋と再会

新しい部屋と再会


「ウソップ!」

慌ただしくもウォーターセブンを出港してやっと一息ついた頃、ルフィはまだ真新しい甲板にいたウソップに声をかける

「どうした、ルフィ?」

「お前、まだサニー号の中見てねェだろ?いっしょに探検しようぜ!」

「サニー号の中?そりゃ構わねェg「よし行こう!」

そう言うや否や、ルフィはウソップの腕を勢いよく掴んで走り出した

このハリキリ船長は、やっと帰ってきた仲間に新しい船をいろいろ見せたくて仕方ないらしい

ウソップは少し戸惑いながらも引きずられないよう頑張って走った


まず入ったのは男部屋

いまのところはピカピカの部屋が二人を迎える

「ここが男部屋だ!」

「へー、寝るとこはこんなかんじなんだな」

ウソップはいままでと全然違う部屋を見回す

壁際にはロッカーが置かれてあり、それぞれの持ち物をしまえるようになっているのがありがたい

「次は図書室だ!」

次に二人が向かったのは広い円形の部屋

「ここでナミが海図を書いたり、ロビンが本読んだりするぞ」

「メリーにあった本棚も割とデカい方だったけど、それの何倍も量があるな…!」

ウソップは部屋の中央に置かれた、ズラリと本の入った棚に驚愕した


キッチン、アクアリウムバー、展望室

ルフィは次から次へと部屋を案内し、ウソップも必死にそれに着いてきた

そして、二人は最後の部屋に到着した

「ここはどんな部屋なんだ?」

そう言ってウソップがドアを開けた瞬間、彼の目の前にはたくさんの緑色があった


柔らかな陽の光が差す部屋の中には、様々な入れ物達がズラリと並んでいる

シンプルな形の宝箱に子どもの人形遊びに使われるようなミニベッドのようなもの、以前サンジが「梅酒を作る」と言って買っていたものと同じような大きな瓶まである

そのどれにも赤やオレンジ、ピンクといった可愛らしいリボンが結ばれている

そして、それら入れ物の中にはふわふわとした緑色の塊ーマリモポイントーが山積みになり、どれも気持ちよさそうに寝息をたてていた

「ここは…」

「フランキーにコイツらの部屋が欲しいって言ったら、作ってくれたんだ」

そう言って笑うルフィの声を背に、ウソップは部屋の中に入る

その視線は沢山の緑色がひしめき合う一角に注がれている

彼の目の前にあるのは、黄色いリボンが結ばれた宝箱が埋もれる程に溢れたマリモポイント達だった

起こさないようにそっと手のひらに乗せると、全身が埋もれる程だった初めての出会いを思い出す

もう二度と会えないかもしれないと思った事もあった“彼ら”に、こうしてまた触れることが出来た

その事を実感したウソップの目頭は、自然と熱くなっていた


「ナミすわ~ん!ロビンちゅわ~ん!おやつができました~!野郎共の分はキッチンだぞ!」

外からサンジの声が聞こえ、おやつの時間を知らせる

すると、部屋の中にいたマリモ達がパチリと目を覚ました

ゾロによく似たたくさんの目が、一斉にこちらを観る

「「うおっ!」」

突然の事に二人が驚いているのをよそにマリモ達はピョンピョン跳ねながら大行列を作り、あっという間に部屋の外へと消えていった

「な、なんだっだ…?」

そう呟いて呆然としていると、ウソップの両肩にマリモがちょこんと乗ってきた

よく見ると足元にもかなりの数が擦り寄っている

どうやら彼らはウソップ達といっしょにキッチンに行きたいらしい

「ウソップ、おれ先行ってるからな」

「あっ、おい!待ってくれよー!よーし、お前ら行くぞー!」 

ウソップは目にグッと力を入れて涙を堪えると、マリモ達を抱えてルフィを追いかけた


その後キッチンに着いた二人が目にしたのは、アップルパイの香り付けに使ったブランデーのボトルを頭上高く持って怒鳴るサンジと、ボトルをジッと見つめながらサンジによじ登ろうとするマリモ達だったという

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