新しい主人
「ここですか?セイランの隠し財産が見つかったというのは…」
「はい、先のオーブ侵攻の際にこの部屋を残して土砂に埋まってたようで…」
ザフトのオーブ侵攻から幾多の戦乱の混乱で進捗が遅れ未だ調査が続くセイラン家跡地の地下で、一人の少年と彼の秘書のバイオロイドが現場監督に連れられ奥へと進んでいく。
案内された部屋に入ると、そこには年代物の装飾品や一目で高価だと分かる品で埋められていた。
かつて、この国を一時期牛耳っていたセイラン家の隠し財産だ。
「耐震設計なのか状態はいいですね。」
「持ち出す前に埃の除去は必要ですが…」
案内を終えた現場監督の男が去り、部屋に残ったトーヤと秘書共振のアレクサンドラは、その光景を呆れ気味に見ていた。セイランの財力の象徴たるこの古物の品々が今まで人知れず土に埋もれ、掘り出されたところで持ち主のセイランは既にいない。
今後の鑑定による査定額は置いておいて、主人のいない物に何の価値があるのか…
「とりあえずこの品々を調べます。ご主人様は地上に戻られても…」
「いえ、僕も見て回りたいのでお気にせず作業してくださいアレクサンドラ…」
年代物の品々に興味を示したトーヤは、秘密の部屋を探検する子供心をくすぐられながらアレクサンドラと二人で部屋の調査を進める。
「ん?あれは…」
ガリガリ…ガリガリ…ニャーゴ…
部屋を調べていたトーヤは、年代物の古物塗れの部屋の奥から物音と猫の鳴き声を聞いた。
「にゃーご…!にゃあッ!」
ガリガリ!
部屋の奥に進むと、古びた扉とその下でガリガリと扉を引っ掻いてる黒猫がいた。
「何で猫がこんなところに?」
野良猫が紛れ込んだのかと思ったが、その猫は薄汚れていたが雑種ではなく毛並みの良い良質な血統のように感じた。
「なぉーご!にゃあー!」
「やぁどうしたんだい?この扉の奥に大事なものがあるの?」
トーヤに気づくと黒猫は扉を開けてくれと言わんばかりに鳴き声を上げる。
彼はその猫に誘われるようにその扉のドアノブに手をかける。
ガチャッ…
鍵はかかってないようだ。
部屋の中は埃まみれで机とベッドが置かれただけの部屋だ。
仮眠室だろうか?
ふとトーヤは、部屋の奥に奇妙な物体が置かれていることに気づく。
「何だろう…誰か入ってる…?」
部屋の奥には人一人入れるような液体が詰まったガラス張りのカプセルが置かれていた。埃と汚れ塗れのガラスの奥に、うっすらと何者かがいる気配がしたトーヤは、埃を拭おうと装置に近づき基盤の上に手を置く。
ビィーッ!ビィーッ!
「ワッ、な…なんだこれ⁉︎」
突然の機械音に驚く。どうやら装置はまだ生きていたらしく、基盤の埃まみれのモニターに承認完了と文字が並ぶ。
その瞬間…
バシュウッ!ザバァ!
「ウワァッ⁉︎」
「にゃあ!」
ドシャッ!
突然カプセルが開き、液体と共に何か『大きく重いモノ』が倒れ込み、バランスを崩してトーヤは床に倒れ込んだ。黒猫は驚いてトーヤのそばから退く。
「ウブッうぅ…いたた…え?…ウェッ⁉︎」
倒れた時の体の痛みに耐え頭の上にのしかかる『柔らかい大きなモノ』を退けながら目を開けると、そこには若い女が生身の状態で自分の上に倒れ込んでいた。女はその豊満な肉体を晒しながらピクリとも動かない。その頭部には人間とは違う猫の耳がついていた。
バイオロイド…?死んでいるのか…?
ふと、トーヤは自分の手に柔らかい感触を感じた。
視線を向けると倒れ込んだ彼女と自分の間から溢れ出ているあまりに大きな乳肉を掴んでることに気づいた。
「ヒァッ////⁉︎」
ギュムゥッ!
トーヤは驚きのあまり、思わず掴んでいた乳肉を強く掴んでしまう。
「ミャッ⁉︎はぁん…////」
突然胸を掴まれた女が嬌声を上げ身震いをした。
この個体…生きていたのか⁉︎
「あ…あの、大丈夫ですか?」
軽くパニックになりながら、トーヤは彼女に声をかけると、女はトロンとした顔を向けて彼の顔を見つめる。
「あ、あの…なにか…?」
「あなたがポイの『ご主人様』ぁ?ふ〜ん…?可愛いニャハハッ!」
ムギュムゥッ!
ポイと名乗った女は、床に倒れたトーヤを組み伏せるように抱きつき、彼の身体をその乳肉に埋もれさせた。
「うわぁッむぶぅッ⁉︎」
「ご主人様⁉︎今の物音は一体…な⁉︎なんですかこのハレンチ女は⁉︎」
「ニャハハッ!ご主人様、これからの生活ポイと一緒に気持ちいいこといっぱいしましょ♡」
「にゃーご!」
トーヤ14歳、黒猫ととんでもない雌猫の主人となった瞬間であった。