教えてくれた人
こわしちゃった、また、わたしのせいで、
わたしがさわったから、わたしがきずつけた。
からだがいうことをきかない。
ぼろぼろになったかたまりがもうすこしもうごかない。
わたしはただただ、ぽろぽろとなみだをこぼす。
ごめんなさい、ごめんなさい。
あやまってもしかたがないけど、あたまのなかではなんどもなんどもあやまってる。
「――モレ」
しわがれたこえでよばれて、びくりとする。
……わたしのせいでこわされたのに、わらってる。なんどもみたことのあるあなた。
あなたがわたしのてをとって、
とたんに、こころがあたたかくなる。
「大丈夫。」
それだけで、からだがうごくようになる。
「大丈夫、」
あなたは、わらった。
なんでだろう、なんでわらうんだろう。
わたしのせいで、わたしがわるいこで、なのに。
なんであなたがそんなにやさしくわらうのかわからない。
わからなくて、わたしはくびをかしげる。
「――お前は人だよ。ただの優しい女の子だ。」