救済

救済


ユーラシアの紛争地域、荒廃した街で修道服姿の集団が被災市民に対して炊き出しを行っていた。

「みなさん温かいスープですよ。いっぱいあるので並んでくださいね。」

その中の天使型バイオロイド『ヴェロニカ』の一個体のヴェロニカが炊き出しのスープを市民たちに配っていた。

「はいどうぞ。熱いから気をつけてね?」

「ありがとおねーさん!」

笑顔で感謝する子供達にヴェロニカの頬が緩む。

「みなさん頑張りましょう。恐れることはありません光が共にありますから。」

広場では不安がる市民をエンジェルが励ましている。

「おぉ…なんと美しい…」

「感謝します天使様…!」

その神々しい姿に人々は希望を見出し涙して崇めていた。

彼女たちは、コンパスの外郭団体『アフェクション』に所属する天使型バイオロイドだ。

元は、カルト教団コウヘイ教団によって製造配備された独自のバイオロイドで救済とは名ばかりの権力者への裏工作や信者たちの搾取、性的接待などを目的とされたものだったが、教団の摘発活動を行なってるコンパスに保護され、矯正教育を受けたのだ。その後、自分たちの存在意義を確立し彼女たちなりの『救済』をしたいとコンパス上層部に嘆願し協議の結果、このような団体が誕生した。

団体の主活動は、コンパスの後方支援や被災者たちの人道支援、生活支援を行い、その活動は世界各地で行われている。

その得意な服装や姿に世間からは皮肉混じりに『コンパス教団』と揶揄されているが、彼女たちの献身的な活動は争いの絶えないこの世界で人々に希望を与える存在となっていた。

「こちらはもういいわ。アザゼル様の教義がそろそろ終わるから、あなたは礼拝堂の掃除をそろそろお願い。」

「あ、はい!」

他のヴェロニカ個体に支持されたヴェロニカは先ほどの子供達に手を振りながら街に設置された団体の仮設礼拝堂に向かった。

ガチャ

「…私がみなさんをお守りします。光の翼がお守りくださいますように…」

扉を開けるとちょうどアザゼルの教義が終わった頃だった。彼女の言葉が終わると人々は心洗われたような表情で礼拝堂から去っていった。

不思議なものだとヴェロニカは感じた。本物の宗教など半世紀近く前に地球外生命の化石発見で衰退したというのに、人類はそれでも救いになるものを欲する存在なのだろうか?

「お疲れ様ですアザゼル様!後のお片付けは私が。」

扇状的な格好で大きな胸を揺らしながら祭壇を降りてきたアザゼルに、ヴェロニカが声をかける。

「いつもありがとう。明日もたくさん参列者は来るみたいだからお願いね。」

「はい!」




「ふぅ…終わった。」

一時間かけて礼拝堂の掃除を終えた彼女は、参列者用の椅子に腰掛けて休んでいた。

ここに派遣されてから礼拝堂には参列者が多数参加しており自分たちも懺悔室で人々の悩みを聞いたりしており、仕事も掃除も大変だ。だが、自分たちの活動が認められてると感じ、人々の救いになってるのは純粋に嬉しかった。

ガチャ

「あら…?」

突然扉が開く音がして扉の方を見ると一人の少年が佇んでいた。

よく彼女と接することが多い顔馴染みの少年だ。

「あ…おねーさん」

「あらいらっしゃい。アザエル様のお話はもう終わっちゃったわごめんね。」

そう少年に告げると、少年はフルフルと首を振る。

「ちが…その…」

少年は顔を赤らめながらじっと彼女を見る。

その様子に察した彼女は微笑み近づく。

「ふふ、もしかして?私に『懺悔』しにきたのかな?」

彼女はそう言いながら少年をギュッと優しく抱きしめ接吻する。

「ん…フゥ…!」

「ん…⁉︎ふぁ…おねーちゃ…」

少年は彼女の甘い舌と唇に夢中にしゃぶりつきながら彼女の体に腰を押し付ける。

「ふふ、ここも元気になっちゃって…♡不浄なものは吐き出さないとね♡」

彼女は少年の下半身の膨張した不浄なものを優しく撫で回しながら、懺悔室へと誘う。

これも救済…

迷える子羊を導くための…

これが彼女の救済だった。ある日懺悔を聞いていた際、少年の顔が赤いことに気づき、熱があるのかとおでこをくっつけた際、少年の股間の欲望が膨らんでいることに気づき、彼女は救済と称して、その身に彼の劣情を受け入れた…それ以来、こうやって度々彼の『懺悔』を吐き出させている。

今夜もたっぷりと彼の『懺悔』をこの身に『受け入れ』ることに悦びを感じながら、彼女は懺悔室の扉をゆっくりと閉めるのだった…


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