救出編2.5

救出編2.5


ムツキが泣き止み、落ち着いたのを見計らい現状報告をする

ムツキを助けに来た事

これからカヨコを助ける事

この狂った施設を壊す事

黒猫が喋る事…

一通り情報共有が終わった後、武器を手渡し、いつもの服を着せてカヨコが囚われている場所に向かおうとするが、なにやらムツキの様子がおかしい

ずっと小刻みに震えていて、私の服の裾を掴んで離さない

「ムツキ…大丈夫?」

「ごめんアルちゃん…外歩くの怖くて…」

上目遣いで私に話すムツキ

普段飄々とした態度からは想像出来ない程弱々しい姿に驚いてしまう

「無理だったらもう少しここで休んでおく?時間を引き延ばせばもっと休めるわよ?」

「…大丈夫…多分、時間をかけた所で何も変わらないと思うから…行こう、アルちゃん」

嘘だ、明らかに無理をしている

震えは収まってないし、私とハルカの直ぐ横から離れない

そう心配する私に黒猫が近づいて声をかけるか

「うーん、心配なのはわかるけどムツキの言う通り休んでてもこれ以上良くならないと思うし取り敢えず先に進もう。ついて来て」

「…わかったわ」

ひとまずカヨコ救出の為に足を進める私達

そして暫く走っているとムツキが突然足を止める

「まっ、待って!アルちゃん…!」

「どうしたの、ムツキ?」

これまで以上に震えているムツキ

その様子は何かを怖がっている様に思える

「ここ、危ない…あいつ…セルマがいる…」

「セルマ?」

初めて聞く名前に疑問を浮かべ聞き返す

「そのセルマって奴が怖いの?」

「うん…」

子供の様に呟くムツキ

恐らくセルマとかいう奴に相当トラウマを植え付けられたのだろう

そう思うと怒りが湧いてくる

「安心しなさい、仮にどんなに強い奴だって私とハルカが懲らしめてあげるから」

「無理だよアルちゃん!あいつに勝つなんて!素手で壁を壊せる化け物なんだよ!?」

「それぐらいだったら私も出来るわ、今の私だったら本気を出せば山ぐらい軽く吹き飛ばせるから」

「えっ…いやっ、でもっ…」

ボソボソと呟くムツキ

トラウマでまともに頭が回っていないのだろう

「えっと、そのセルマってコイツの事であってるかな?」

黒猫が私やヒナに見せた画面をムツキに見せる

画像を見た瞬間にムツキが尋常じゃない程震え出した

「そうっ!そいつ…!いっつも私を犯して来て……!ゔっ、ゔぉえ!」

ビチャビチャと音を立てながら恐怖の余り吐き出すムツキ

酸っぱいツンとした香りが辺りに充満する

「大丈夫ムツキ!?」

「いっ、一旦落ち着きましょう!」

ムツキを落ち着かせる為、私とハルカは優しく背中をさする

「ごっ、ごめん!そこまで怖がるとは思って無かったんだ…」

「もう!取り敢えずさっさと先に進みましょう!」

これ以上ムツキを追い込まない為にも早い所先に進もうとする

「あぁそれなんだけど…今そいつがこっちに向かって来てるんだよね…」

「えぇ!?じゃあ一旦迂回して別の道を進みましょう?」

「そうしたいんだけど駄目なんだよね、そいつがいる道が一番最短経路なんだ。別の道に迂回した所で敵と戦っている内結局追いつかれてに挟み撃ちにあうよ」

「…黒猫、カヨコがいる座標を教えなさい。そこ以外全部吹っ飛ばすから」

黒猫の言葉を聞き私も覚悟を決める

もうこれ以上悪事は重ねたくないし、絶対に人は殺したく無いが、ムツキの為であるのら幾らでも手を汚してもいい

「いやいやちょっと待ってよ!ムツキは怖がってるけどセルマって奴はそこまで強くないよ。今のムツキでも十分勝てる相手さ」

「こんな状態で戦って勝てる訳ないでしょ!」

人間どころか子犬にすら負けそうな程に弱っているのに何を言っているのか

「ん?なんかこっちから変な匂いがするな」

黒猫と私が話合っていると遠くの方から男の声が聞こえて来た

「あっ、あぁぁ…」

絶望した表情をするムツキ

涙すら流しながら私にしがみついて来る

「くっ、こうなったら私が相手を…」

「待ってアル、トラウマを克服する為にムツキ一人で戦わせよう」

「なにを言ってるの!?」

今も縮こまり震えていて碌に戦える状態でないのは目に見えているのにふざけた事を抜かす黒猫に怒りを感じながら問い詰める

そんな私に黒猫は物怖じせずに言い返して来る

「たとえここから出れたとしても一生このままビクビクしてるムツキを見るなんて僕は嫌なんだよ

今はムツキと話をさせてくれ」

黒猫は一旦私から目を離しムツキに目線を移す

「無理だよ…あいつに勝つなんて…」

絶望した表情で呟くムツキ、足はプルプルと震えており今にも倒れてしまいそうだ

「大丈夫、いざという時は僕とハルカとアルがサポートするから、肩の力を抜いて、緊張しないで戦えば良い」

「でも…でもっ!」

「うーん、しょうがないなぁ…あんまり酷い言い方はしたく無いんだけど…仕方ない」

黒猫は一呼吸した後、真っ直ぐムツキを見据えながら話をする

「辛いのはわかるんだけど頑張って戦ってくれないかな

ムツキもこのままずっと僕達に守られてビクビクしながら生きていくのは嫌だろう?

レイプされた事思い出して怖いんだろうけど

同じ酷い目にあったハルカは今普通に戦えてるし君の心が弱いだけなんだよね。だから__」

「ッ!ゔゔゔっ!わかった、わかったよ!」

泣きじゃくりながらムツキは銃を構え戦う準備をする

ムツキを追い詰める黒猫に殺意が湧いていたが、頑張って戦おうとするムツキの姿を見ると問い詰める気が失せてくる

「よし、その意気だ。後3秒したら姿が見えるから思いっきり撃っちゃって」

黒猫の言った通りきっちり3秒後に金髪のいかにも柄の悪そうな男が姿を現した

「ここかな、脱獄した悪い子ちゃ…ぶへぇあ!?」

全く警戒せずにノコノコ歩いて来たセルマをムツキは容赦なく遠距離から銃弾を浴びせる

「づぁぁぁ!このっ!糞ガキがあっ!」

すぐさまセルマも戦闘体制に入り突進しながら撃ち返そうとするがムツキの銃弾を喰らい続けている為、碌に照準が合わせられず出鱈目な方向に弾丸が飛んでいってしまっている

「くたばれくたばれくたばれ死ね死ね死ね死ね死ね!」

「ぐぅっ゛ぁ゛ぁ゛っ゛」

必死に距離を詰めようとするセルマ

バックステップを取りながら得意な距離から弾丸、手榴弾、トラップ一方的に浴びせるムツキ

どちらが優勢なのかは誰が見ても明白だった

「おらっ!いい加減倒れろっ!」

「ぉ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!?」

ムツキが仕込んでいたトラップを起動させ、セルマを吹き飛ばす

爆発の影響で天井に叩きつけられた後地面に落下しそのまま動かなくなった

「えっ…勝っ…た……?」

呆然とした様子で呟くムツキ

まさかこんなに簡単に倒せるとは思っていなかったのだろう

「ムツキの勝ちよ!よく頑張ったわね!」

「す、凄いです…!あんなに一方的に打ちのめすなんて!」

「あっ、アルちゃん…!ハルカちゃん…!」 

心からの称賛を送る私とハルカ

そんな私達を見てようやく勝った実感が湧いたのかどんどん顔色が良くなり、昔のようなキラキラした笑顔になっていく

そうして喜びを分かち合っていたらヒナの時と同じ様に呻き声が聞こえてきた

「ぐぁっ、くっ糞が…この俺が…」

「あら、まだ意識があるのね」

「こ、このクズどうしますかアル様…?」

今直ぐ関節全部折って先に進もうと考えていた時ムツキから声が掛かった

「…ちょっと待ってもらっていいアルちゃん?私、コイツに仕返ししたい」

先程の嬉しそうな表情から一転、ドス黒い目をしながら私に問うムツキ

その目には底無しの憎悪と復讐心が宿っていた

カヨコの事が脳裏によぎったがこの機会を逃せばムツキはずっと弱ったままかもしれない

私の得た能力で時間をいじればタイムロスは数十秒で済むだろう

(カヨコ…ごめんなさい、これが終わったら直ぐ助けに行くから…)

そう考えて思考を切り替える

「良いわよ、それじゃあ私が時間を引き延ばすからたっぷり復讐しなさい」

ムツキの心が少しでも救われるならなんだってしてやる

砂時計と懐中時計を取り出し宙に浮かせる

それを起点にして時空を歪ませ、半径約10メートルの空間を支配、コントロールする

そして白い膜の様な物が私達を取り囲み守ってくれる

「この空間の中だと時間の流れが歪むの。具体的にはここでの一時間が外での一秒に相当する…つまりここで三時間過ごしても外では三秒しか時間が経過しないの」

「凄いね、アルちゃん…それじゃあ、遠慮なく虐めちゃおっと!」

早速セルマに殴りかかり、その無駄に整った顔を思いっきり殴りつける

「いっ!いてっ!やめろよ922番!女如きが!ゆめろっ!このっ!」

「あはははは!なに言ってんの?やめるわけないじゃん!あと人を番号呼ばわりしないでよ!」

もちろんセルマも抵抗しようとするが、ムツキによって叩きのめされたその身体では碌に身動きも取れずされるがままになっている

そんな無様な様子を見て口元が裂けそうなぐらいの満面の笑みを浮かべ、さらに痛めつけていく

顔が膨れ上がり、あざだらけになったセルマの顔を満足げに見た後、次は喉を蹴りつける

「ぅ゛ぉ゛ぉえ…」

尖った靴の先が喉元に突き刺さり、汚い呻き声を漏らすセルマ

幾ら身体が屈強でも、急所への攻撃はよく効くのだろう

「くふ、くふふふふ…!」

そして、足、腕、背中、腹、耳、首、関節などほぼ全ての部位を壊していたらとうとうセルマが泣き声を吐いてきた

「いてぇ!いたいっ!やめっ!頼むっ!やめてくれ…!」

先程のムツキの様にビクビク震えながら懇願するセルマ

しかしその程度で手を止める筈もなく吐き捨てる用に言葉を投げかけ、問いかける

「私がやめてっ言った時、あなたやめなかったでしょ?なのにいざ自分がやられる立場になったら泣き言なんてみっともないとは思わないの?」

「っ!このっ!くそがぁ…!」

ド正論を浴びせられ反論出来ず、半泣きしながら蹲る

そんな様子を見て笑みを浮かべながら私はムツキの手助けをする

「ムツキ、これを使いなさい」

異次元ボックスから剣を取り出す

黒を基調とし包帯が巻き付いていて、持ち手は黄金の天秤の様な物で構成されている、剣の下部には、綺麗な羽飾りが付いていてとても良いデザインをしている

「なにこれなにこれ!すっごくカッコいいね!」

目を輝かせながら剣を見つめるムツキ

セルマに復讐する事によって少しずつ前の自分を取り戻しているのがわかる

「ふふっ、これはね。切り裂く対象の犯した罪に応じて苦痛とダメージを味合わせる事が出来る宝剣ジャスティティアよ!」

「ずっごーい!ほんとに使っていいの!?」

「ええ、もちろんよ。でも加減を間違えると殺しちゃうかもしれないけどいい?」

「うーん、流石に人を殺すのは嫌だなぁ…」

くるくるとジャスティティアを振り回す手を止め思案するムツキ、悩んでいる私達に黒猫が助け舟を出してくれる

「その点は心配しなくていい、アバンギャルド君で傷を即座に直せば死ぬ事はない筈、

仮に死んだとしても僕が生き返らせるから大丈夫だ」

「相変わらず凄いわね…黒猫」

サラッと死者蘇生が出来る事を伝えてくる黒猫に思わずツッコミを入れてしまう

「君も大概だけどね…」

黒猫が話し終えたらムツキはジャスティティアを手に持ち、ジリジリと距離を詰めていく

笑顔で剣を持ちながら詰め寄るムツキを怖がったのか、ジャスティティアから発せられる神聖で、それでいて悍ましい雰囲気に気押されたのか、折れた手足を必死にばたつかせながら芋虫の様に逃げようとする

「まっ、待ってくれ…頼む!なんでもするから!やめっ__」

「えいっ!」

この期に及んでまだ話合おうとするセルマをガン無視し、腹に思いっきりジャスティティアを突き刺す

「い゛っ、ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!?」

これまで以上に酷い悲鳴を上げ、身を捩るセルマ

その罪を犯しまくった身体にはジャスティティアがよく効くのだろう

「あははは!すっごーい!」

楽しそうにジャスティティアを突き立て、腹をグリグリと弄り回し、腹の奥まで押し込んでいく

そして背中を貫通しそうなほど入れ込んだ時に一気にジャスティティアを引き抜いた

「お゛ぇっ!ひぃっ!なに…なんか出てる…」

腹を割いた影響か一気に腸が飛び出してきた

飛び出た腸を必死に手で押さえ、集めようとするセルマ

そんな奮闘も虚しく、腸も出血もどちらも全く止まる気配がない

あと5分も放置していたら出血多量で死ぬだろう

「よし、アヴァンギャルド君。あの金髪を死なない程度に治してあげて。麻酔は一切しなくていいから」

「ピピ、了解しました」

先程から起動されていたミニチュアアヴァンギャルド君が飛び散った腸や肉片を集め、セルマに近づく

「なんなんだよこの変なロボット…!?やめろ!来るなっ!や゛っ!ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」

手際良く腸を身体に押し込みムツキに切られた部位を接合していく

凄まじくグロテスクな光景だが黒猫を除き

ムツキ、ハルカ、私、全員が笑っていた

「ぅぅ…ぁう…いたいよぉ…」

手術が終わり、身体が完治したというのにセルマもう虫の息になっていた

余りの痛みに頭が回っていないのだろう

口調も子供みたいになっている

泣きじゃくりながら呻き声を上げるセルマにムツキはこれまでの恨みを晴らす為追い打ちをかける

「それじゃあ次はぁ〜これ!潰しちゃおっかなぁ〜!」

「……ぅぁ…っ!こっ、これって?ま、まさか…」

ムツキの視線から次にどこを壊されるのか理解したのだろう

男性だけが持っている急所

前に本で見たけど男の人はそこが特に弱いらしい

「やめてぇ!それだけはっ!やだ!やだっ!」

「ほーら、大人なんだからわがまま言わないの!もう二度と子供作れなくなるだけなんだから我慢しなよ!」

「いやだぁ!いやっ!」

涙が枯れ果て無いのかと疑問に思う程に泣き叫ぶセルマ

「あははは!レイプされてた時の私とおんなじ事言ってる!ムカつくなぁ〜楽しいなあ!おらっ!」

足を大きく振り上げた後、男の汚い金玉を思いっきり踏み付ける

「やっ、ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」

側から見ても凹んでいるのが分かるぐらいの衝撃を与えながらグリグリと踏み付けて痛めつけていく

「ぃ゛痛い痛いいだいいだいやめてやめてあああぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」

「あははは!あはははは!あははははははははは!」

「ね、ねぇ…あれ、大丈夫なの?」

突然黒猫が話かけて来た

狂ったように笑うムツキを見て少し怖くなったのだろう

「ムツキが楽しそうだしいいんじゃないかしら」

「そっ、そっかぁ…」

諦めた様に呟く黒猫

実際少しずつ前の元気なムツキに戻って来ているのでとりあえず様子を見る事にする

「ぃ゛っ、いたい…くるしい……お母さん…」

「くふふっ!楽しい!嬉しい!ありがとうアルちゃん!」

どうやら二つとも潰し終えたみたいだ

ムツキはぴょんぴょん飛び跳ねながら私に感謝してくれる

その姿は年相応でとても可愛らしく

あの頃のムツキが戻って来ているのを私に実感させてくれる

「ふふっ、ムツキが楽しそうで私も嬉しいわ!思う存分楽しみなさい」

「うん!」

ムツキはニッコリ笑顔を浮かべながら再びセルマに向き直る

「それじゃあ次は〜その無駄にデカい汚物、削いでいこっかなぁ〜!」

ジャスティティアをブンブン振り回しながら圧を掛けていく

「ひぃっ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!俺が悪かったです!だから、もう許してください!」

尊厳も恥も全部投げ捨て許しを乞うセルマ

当然、その程度で許される訳もなく、むしろムツキの勢いが更に増すだけで逆効果だった

「あれだけ私の身体好き勝手弄んでおいてなに言ってんの?許す訳ないじゃん」

「いやだぁ!もうやめてくださいっ!お願いします!お金もなにもかも全部あげるから!許して下さい!」

「だから駄目だって、ついさっき言ったばっかりでしょ。馬鹿なの?」

ムツキは心臓を蹴りつけた後、髪を掴みボロボロになった顔に膝蹴りをお見舞いする

「ぐゔぇ…」

すると掴んでいた髪の毛が全て抜け落ちた

恐らくジャスティティアが刺さった影響で身体が脆くなっているのだろう

今のセルマは先生と同じ…いやそれ以下の弱者に成り果てていた

「そんなに虐められるのが嫌だったら助けを呼べば良いじゃん。誰か来るかもよ?」

ボロボロになって蹲り泣き出しているセルマをさらに追い詰めるべく言葉を投げかける

「ゔっ、ぉ゛ぇ゛っ」

「ほらっ!呼べっ!!」

目玉を手に掴み弄り回した後、素早く引き抜く

ぶちぶちと爽快な音を立てながらそれがムツキの手に収まる

「うぅあっああああっ!おかあさん!おとうさん!だけかたすけてぇぇぇ!」

片目から涙、もう片方の抉り取られた目からは血涙が溢れ出しながら泣き叫ぶ

その姿は私がこれまで見てきたどんな人間、動物よりも無様で滑稽だった

そんなセルマを見てムツキは今までで一番笑いながら罵倒する

「来るわけないだろヴァァァァァカ!!!あははははははは!」

顔をぶん殴りながらケラケラ笑うムツキ

こんなに笑っている姿はこれまで見た事がない

「あー可笑しい!じゃあそろそろ始めよっか!」

「うぐっ!ひぐっ!やだぁぁぁぁぁ!お母さん!おかあさんっ!わるいこといっぱいしてごめんなさいっ!ごべんなざいっ!!だずげでっ!おかあざんっ!おがあざんっっっ!!」

ムツキの言う通り助けなんて来る訳がないのに泣き叫ぶセルマ

絶望と恐怖からもうまともに考える事も出来ないのだろう

「ほ〜らいくよーじょりじょりじょり〜!」

男の汚くて無駄にデカい一物を握り、ジャスティティアに擦り付けいく

先端の亀頭が崩れるようにして千切れ、血と肉片が撒き散らされていく

「ぁ゛っ゛!?ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」

体をガクガク振るわせながらこれまでで一番のいい叫び声を上げるセルマ

そんな姿を見て上機嫌になったムツキはさらに勢いよく一物をジャスティティアに擦り付けていく

「ぃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」

「くふっ!くふふふふっ!いいね!その表情!もっと見せてよ!」

15センチとあったペニスは10センチ、5センチとだんだん短くなり、完全に消失した

白目を向き、口から泡を吹き出しながら血涙を流すセルマを見てムツキは満足したようだ

「あー楽しかった!ハルカちゃんもやる?楽しいよ!」

「え?良いんですか?」

「もちろん!みんなで楽しく拷問しようよ!」

「ありがとうございます!」

「わかったわ、それじゃあ手始めに身体の皮全部剥いでいきましょうか」

「ぼ、僕は遠慮しておくよ…」

「そう?じゃあ私達だけで楽しみましょうか」

久しぶりに元気なハルカとムツキと一緒に協力出来る喜びを噛み締めながら目の前の蛆虫をみんなでいたぶる

そうして3時間程経過した頃、かつてセルマだった物は呻き声を漏らすだけの肉塊と化した

「あーもう壊れちゃった…」

「これだけ虐めたんだもの。無理もないわ、カヨコを助けてここから出たらまた楽しい事沢山しましょう?」

「…うん!そうだね!」

前の様にキラキラした笑顔で私にそう返すムツキ

心も体も完全に回復出来たみたいだ、良かった…

「しかし、それにしても不思議な位弱かったわねこのセルマって男は。ヒナ委員長みたいに私達を認識出来たから相当な強者かと思ってたのだけど…」

「いい歳して子供相手にイキリ散らかしてる様な屑に強い奴なんていないよ。それと僕が魔法を解除しただけだから認識魔法を突破した訳じゃないんだよね」

「成る程…えっ?認識魔法ってそんなに簡単に解ける物なの?」

わざわざ魔法陣の様なものを作っていのを思い出す

「前までの僕だったら不可能だったけどアルの動きを参考にしてみたらオンオフが出来る様になったんだよね。戦いの中で成長したって訳さ

あとさっきはムツキに酷い事言ってごめんね。元気になってもらうにはああするしか無かったんだ。許してくれ」

ぺこりと頭を下げてムツキと私に謝る黒猫

ムツキの為を思って、そして結果的にムツキが元気になったので責める気は今は全く起きない

「くふふっ、全然気にしてないから大丈夫だよっ!」

「私ももう怒ってないから気にしないていいわよ。むしろ感謝したいぐらいよ」

「良かった…それじゃあそろそろ先に進んでも良いかな?早くカヨコを助けてあげたいんだ」

「そうね、それじゃあ準備が出来たら出発しましょうか。ムツキとハルカもそれで良い?」

「うん!」

「わかりました!」

返り血が付いて臭い服を黒猫の魔法で洗浄し、武器を手渡し戦闘の準備を整えていく

そしてアバンギャルド君を異次元ボックスに仕舞おうとした時、ガゴンッ!と音を立てながらヘイローが回転しているのが目に映った

「…前もそうだったけどこれは一体なんの為にヘイローが回転してるの?」

「ああ、それはね…アバンギャルド君が適応を完了した合図なんだ」

「適応…?」

言ってる意味がよくわからないので聞き返す

「ほら、ムツキを治療した時、ハルカを治療するよりも早く治療できただろう?」

確かに、1回目のハルカの時は5分近くかかっていたがムツキの時は10秒程で治療していた

「つまり適応すればするほど治療が早く出来るようになるって訳さ」

「わかったわ、でもこれ以上適応しても意味はあるの?もう充分だと思うけど…」

「確かに治療に関する適応はもう充分だね

でも今回適応したのは治療対象の拡張の方なんだ」

「対象…拡張…?」

「そう、今までは身体は治療出来ても心は治療出来なかっただろう?それじゃあ不便だからムツキの心が治っていく姿を観察させて、適応してもらったのさ」

「ええとつまりこれからは身体だけじゃなくて心も一緒に治せるって事?」

自分の認識が合っているかを確認する

「そうゆう事、今はまだ心へのダメージが深刻な子は治療する事は出来ないけどこのまま適応を進めていけばここにいる全員、ヒナだって治す事が出来るはずさ!」

「いいわね…ここの施設のオーナーを捕まえた後は全員助け出してあげましょう」

思いがけない吉報に心が躍る

ヒナが委員長として復帰すればゲヘナの治安も良くなる筈だ

そうなればムツキ達が酷い目に遭う心配も少なくなる

しかしあのヒナを正気に戻して大丈夫なのだろうか

責任感の強いヒナだったら自分が犯した罪を直視した時発狂して自殺するのではないか

そう考えていたらムツキから声がかかった

「準備完了〜!今直ぐ助けに行こう!」

「私も準備出来ました!いつでも出発出来ます!」

「よし、それじゃあ行きましょうか」

砂時計と懐中時計を異次元ボックスに入れ空間の支配を解除する

白い膜が消失し、空間が元に戻っていく

いよいよカヨコを助け出す事ができる

この先、また多くの敵と戦う事になるのだろうが全員叩きのめし絶対に助け出してみせる

そう覚悟を決めながら私達はカヨコの囚われている場所へと足を進めた


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