擬人化済みお嫁さん家政婦ルビーちゃんの話

擬人化済みお嫁さん家政婦ルビーちゃんの話


───それは、ルビーとサファイアが人型義体を手に入れたばかりの頃の話…。


「ルビーの様子がおかしい?」

「うん」


ある日、イリヤの小さな悩み事を聞いてみた立香達。すると、なんとも珍しいタイプの悩みが出てきた。


「ルビーの様子がおかしいのは今に始まったことじゃないでしょ。元々アレだし、最近はもっと変」

「まあ、それはクロの言う通りなんだけど……それでも、もうずっと借りてきた猫みたいだし、久しぶりに悪だくみをしたと思ったらキレがないし」

「まあオレも少し気にはなっていたけど、イリヤから見たらそんなにおかしいの?」

「(こくり)」

「おかしいと言えば、サファイアも人型義体のメンテナンス……というよりメイクアップその他にかなり力を入れるようになったよね。…元がステッキなのを思うと少し変かも?」

『おや、今の私を変と言いますか美遊様。まあ、恋をして変わったという意味ではそうかもしれませんが』


───ルビーとサファイアの変節ぶりはイリヤ達の間では割と周知の事実だ。

人型義体を手に入れてから水を得た魚の如く気ままに振る舞っていた二人。しかし、立香への押しがどんどん強くなっていくサファイアとは対照的に、ルビーは自身の振る舞いに照れや戸惑いを覚えるような素振りが多くなっていた。どう見ても恋する乙女そのものと化していた二人だが、姉妹間でその方向性は全くと言って良い程異なっていた。

立香達は「突然人の身体を手に入れたことによる一過性のものだろう」と判断しここまで見守ってきた。しかし、割と長期化しつつある現状はあまり好ましくないと思える。そこについては上手く折り合いをつけたサファイアも同意見のようだった。


『恐らく姉さんも私同様立香様にメロメロなのでしょうが……まあ、姉さんが恋愛で私より先んじていられたのは初夜くらいですね。最近の姉さんは己の恋愛感情に戸惑うチェリーガールそのものです』


流石サファイア、姉にも容赦なしである。…イリヤ達としては立香の胸元に頬擦りするほくほく顔のサファイアに物申したい気持ちでいっぱいだったが、今はルビーの方が重要なのでぐっと堪えることにした。

しかしまあ、サファイアがここまで辛口になるのも仕方ない面がある。それだけ最近のルビーはキレがないのだ。


「ルビーといえばハチャメチャって感じだけど、それが無いのも少し寂しいよね」

「まあわたしとしては大人しくしてる分には良いけどねー」

「わたしもクロと同意見」

「クロ!? ミユまで!?」

「…あー、まあ? 最近のうだつの上がらなさは流石にちょっと思うところあるし? イリヤの元気づけたいなーっていう意見には賛成するけど」

「わたしはもう少し現状のままでも良いんだけど、それでイリヤの表情が曇るのも嫌だし……うん、わたしも何か頑張ってみる」

「オレも悩みくらいは聞いてみるよ。その、そういう仲になった訳だし」

「あ、ありがとうみんな…!」

『では、私は立香様や美遊様とは別のアプローチから姉さんに働きかけてみます』


こうして、ルビーの知らないところでルビーを元気づけようという動きが活発化していった。その結果は…。


───


『…サファイアちゃん。もしかしてわたし、気を使われてます?』


サファイアちゃんに対し、率直な感想を述べる。

イリヤさんと立香さんがわざとらしい笑顔で接してくるのに始まり、夕食のデザートを(一口分だけとはいえ)分けてくれる美遊さんやクロさんなど、ここ数日の出来事は不可解に過ぎた。

…正直、各人の「元気づけよう」という気持ちが強すぎて胸焼けしそう。ここ数日のわたしは豆腐ハンバーグとか野菜カレーとか、そういうヘルシーな食事しか摂ってないのに。


『おや、ようやくお気づきですか。感情の機微を感じる心のアンテナまで感度が悪くなっているとは、我が姉ながら嘆かわしい…』

『ここまでボロクソに言われるとは……サファイアちゃん、恐ろしい子…!』


流石に眉をひそめざるを得ない。サファイアちゃんがわたしに辛辣なのは今に始まったことではないが、なにもそこまで言わなくても。


『言われて当然のレベルだと自覚なさっては? 今の姉さんは憐れ過ぎて見てられません』

『憐れって…』

『だってそうでしょう? 立香様の腕に飛び込むのを躊躇する、恋愛糞雑魚馬鹿女が姉だなんて心底恥ずかしい』

『な…』


くすくすと笑うサファイアちゃんの雰囲気が、いつもと違う。いつかに偶然垣間見た、この身のオリジナルらしき女性が薄暗い策謀を張り巡らす時のような、底知れない“女”の雰囲気。あいや、向こうよりかは感情が乗っているけれど……とにかく、どうしてそれをサファイアちゃんが纏っているのか。


『今の私には分かりますよ姉さん。姉さんが享楽主義だったのは、甘く蕩けるような愛の代替品を求めていたからでしょう?』

『は…? ぇ…?』


───いきなり何を。そんな訳はない。…けれど、言おうとした瞬間立香さんの顔が浮かんで言葉が喉につっかえる。

彼に抱きしめられた時の圧倒的安心感、これ以外何もいらないと思える程の多幸感、そしてそれらに付随する快感……それが「違う」と反論したいわたしの口をしっかりと縫い止めている。


『愛情なく、生身で世界や愛する人を感じることもない、そんな無味乾燥としたステッキ生活を続けたいのならご自由にどうぞ。まあ、既に立香様に抱かれた身で耐えられるのならの話ですが…♪』

『ぅ…』

『ふふ……もし姉さんが意地っ張りをやめて素直になったら、きっと幸せになれますよ? 立香様の腕に抱かれ、左手薬指に指輪を嵌めたり……あぁ、あの方の子供を産み育てるという幸せの到達点もありますね♥ 立香様との受精卵を着床して、お腹を膨らませて身重になって…♥ そうなった姉さんはきっと綺麗ですよ♥』


胸の鼓動が大きくなっていく。元の世界の義理の兄やら、こっちで出会った立香さんやら……彼ら相手に恋する乙女をやっていたイリヤさん達じゃあるまいに。


『───姉さん。今日明日は立香様と二人きりにさせてあげられますが、どうしますか?』

『ぁ……あぁ…』


ばくんばくんと心臓が跳ね、股ぐらが甘く疼く。

視界が狭窄して、ひとつのことしか考えられなくなって。

気づけば、わたしは立香さんの前に立って、その身体に縋りついていた。


───


「なんか、イリヤ達の頑張りを無碍にしちゃうみたいで気は進まないなぁ…」

『そ、そこをなんとか……ぁあっ…♥』


貸し切り状態となった立香さんの部屋で、困り顔をする部屋の主に必死で媚びる。すると、彼は「仕方ないな」とばかりにきゅっと抱きしめ返してくれた。

それだけで脳みそが甘く痺れていく。それが表情に現れていたのか、興奮した様子の立香さんはわたしをより強く抱きすくめて着物の上からお尻を掴んでキスしてきた。…お互いセックスする気満々だ。

唇を重ねて舌を絡めると、頭がぼーっとしてきた。同時に股がさっきより熱く疼いて、愛液をどばどば分泌していく。

ああ、駄目だ。この幸福には抗えない。だって、わたしは知っている。この雄は、わたしの人型義体にとって遺伝子レベルで相性が良い相手だと。心の奥底でずっと待ち望んでいた白馬の王子様だと。そう身体と心が学習してしまっている。

拒むことなんて、不可能だった。


───


イリヤさん達が立香さんと恋人同士になって以降、殆ど愛の巣と化している立香さんの部屋。そこでわたしは乱れに乱れた。


『手マンされただけでこんなにすごい潮を噴くなんて、はしたないですよ姉さん? こんなに仰け反って、ふふ…』

『はぁっ♥ はぁっ…♥ …うぅ…』


サファイアちゃんの言葉責めで羞恥心を刺激され、思わず涙が流れる。

言い返したいけど言い返せない。だって、サファイアちゃんの言い分はまだオブラートに包んだ方だ。


『…っ…♥ …♥♥』


立香さんの指でおまんこを耕されただけなのに、ガニ股で身体を仰け反らせながら部屋の壁に当たるレベルで潮を噴いた。こんなの、はしたないという形容すら上品だ。


「そろそろイくよ? 良いかな?」

『は、はいぃ…♥』


わたしの着物をするする脱がせた立香さんが、カリ高イケメンチンポを膣口に当てがう。

…その形は、他のオスをすっかり忘れさせかねない魔性の魅力を秘めていた。膣壁をぞりぞりして、相手の心に残る他の男との思い出を塗り潰して、自分の遺伝子こそがおまえの卵子に相応しいと雄叫びを上げる……そんな素敵なチンポだ。イリヤさん達がメロメロになるのも頷ける。

このチンポを下劣なヤリチン野郎が持っていたらと思うと怖気がするが、相手が立香さんなので無問題だ。彼は無理矢理セックスに及んだりはしないし、寝取り趣味だってない。そんな白馬の王子様なのだから。


───ずっ…。ちゅ…♥ にゅぷ…♥♥


『ぁっ♥ ぁあああっ♥♥♥ 立香さんっ…♥ これ、これだめぇ…♥♥』

「駄目じゃないよ…! 相思相愛の男女が気持ち良くなることに駄目なことなんてない…! …っく…! やっぱりルビーのナカもイリヤ達に負けず劣らずイイ…!」


そうして、部屋に肉同士のぶつかる音が響き始めた。


『あっ♥️♥️ ぁんっ♥️♥️ ああっ♥️♥️♥ まっ、待って立香さんっ♥️♥️ ピストン緩めてぇぇっ♥️♥️♥️』

『立香様、決して緩めてはいけません♥ 恋愛糞雑魚馬鹿女に救いのザーメンを恵んであげるには、もっと激しくセックスしなければなりませんから♥♥♥』


サファイアちゃんの煽りに応えるかの如く、立香さんのチンポがわたしのおまんこに捩じ込まれる。まるで獣の交尾のようだった。

ぐりぐりと股間を押し付けてわたしの蜜壺を貪る立香さゆが恍惚のため息を漏らす。…あ、わたしで満足してくれてるん…。


『ん゛お゛お゛ぉ゛ッ♥️♥️♥️ 深いぃッ♥️♥️♥️ 奥まで届いちゃってりゅっ♥️♥️ や、やめてくらひゃいぃっ♥️♥️♥️ 子宮いじめるのらめぇッ♥️♥️♥️』

「フーッ…! フーッ…!」


子宮口を鈴口で愛情たっぷりに犯される度、頭に電撃が走る。所謂「下の口同士のキス」は、わたしにはとんでもない劇薬だった。

けれど、仕方ないのだ。人間一年生も良いところのわたしやサファイアちゃんにとって、立香さんの与えてくれる愛情は全て劇薬。一口でも口にすれば耐えられる訳がない。それが肉体関係にまつわるものなら尚更だ。

その辺りはクロさんも同じだろう。“姉”として気を張って、時に汚れ役をも引き受けるクロさん。けれど、彼女が“クロエ”として活動し始めて何年になる? 彼女が元の世界で過ごした時間は、こっちで生きた時間の半分にも満たない。彼女はある意味、姉であり妹でもあるのだ。

そんなクロさんにとって、立香さんとの恋はある意味“本当の初恋”にも等しかっただろう。クロさんは、イリヤさんの視界や心を通さず、自分の目と心で見た立香さんを選んだのだ。


『ほっ♥ ォっ♥♥♥ ぉ゛おお♥♥♥♥』


それにしても、なんて気持ち良いんだろう。何度味わっても飽きが来ない。こんな素晴らしいものをかつてのわたしやサファイアちゃんは味わえなかった。

…なんて、不条理。サファイアちゃんの言っていた『無味乾燥としたステッキ生活』もあながち間違ってはいないかもしれない。


「…ッ…! …くっ…。…ルビーってさ……ぅ、ォ……もしかしてマゾ?」

『んなっ…!? いきなりなんですか不躾に! もうちょっとムードとか大事に……あぁんッ♥♥♥ ちが、わたしマゾじゃないですっ♥️♥️ こんなイケメンカリ高旦那様デカチンポでちょっとおまんこをほじくられたくらいじゃあぁンッ♥️♥️ あんっ♥ アンッ♥♥♥ 待って、ガン突きやめてぇッ♥️♥️ 子宮下りきってるのにぃッ♥♥️♥️♥️』


立香さんに不意打ちでどちゅんっ♥♥♥ と子宮を突き上げられ、その力強さに不覚にもキュンキュンしてしまう。イリヤさんが「リツカお兄ちゃんはピストンも射精も全部かっこいい」と言っていたけれど、どうやらそれは真実だったらしい。

だって、ぱんぱんと腰同士がぶつかる度にわたしの心と生殖本能が全力で叫ぶのだ。


───自分の気持ちに素直になれ。

───このオスこそ自分の番うべき相手、唯一絶対の運命の人。

───このオスの遺伝子で孕め。受精しろ。着床しろ。

───カレイドステッキがどうこうなんてどうでも良い。

───余計なことは全部忘れて、このオスの立派で素敵な生殖器から恵んでもらった子種で交配してしまえ。


心も身体も、遺伝子すらも立香さんに首ったけ。こんなの勝てる訳がない。


「…何か余計なこと考えてない?」

『ぁぐ、痛っ♥️ やめて、首筋噛まないで♥️♥️ キスマークもつけないでぇ♥ 人前に出たらばれちゃいますからぁぁ♥♥♥』

「着物で殆ど隠れるのに何を今更…」

『姉さんのこれはただの振りですのでお気になさらず。立香様は思うがままに姉さんを犯すことだけ考えてください♥♥♥』


わたしにキスマークや歯形を残していく立香さん。その姿は、「このメスはオレだけのもの」と宣言しているようだった。

───所有物に名前を書くのと同じ、持ち主の印を付ける行為。

───愛する人に……支配、されている。わたしの中の屈折した性癖が反応する。

カレイドステッキ……要は誰かに使われる道具故の性分なのか、それとも立香さんに開花させられた性癖なのかは分からない。とにかく、わたしの中に眠っている『自分が認めた愛しいオスに手荒く組み伏せられたい、支配されたい』という欲求は満たされつつあった。…わたしはいつの間にか、クロさんと同じ所にまで堕ちていたらしい。


「ルビー、どう? 気持ち良くなれてるっ?」

『なっでる♥ なってますからぁっ♥ うぁっ♥️♥️ ひぐッうぅぅっ♥️♥️♥️♥️ また射精っ♥️♥️♥️ ッ♥️♥️ おおお♥️♥️♥️ も、無理っ♥もう無理っ♥️♥️ きゅうけい、きゅうけいぃ♥♥♥』


…今ならイリヤさん達の気持ちが分かる。運命的な一目惚れをして絆を深め、その上でこんなセックスを教えられたら……一発で堕ちて結婚を望むのも当然だ。そもそも、人間一年生がベッドヤクザにベッドで勝てる訳がないのだ。


『あっ♥ はぁッ♥♥ これっ♥ すごっ♥』

『姉さん、もう気持ち良すぎて言葉も発せないようですね♥ 立香様、そろそろ…』

「っ……あぁっ…!!」


無我夢中で互いを掻き抱く。オスとメスとして。

そうして種付けプレスとだいしゅききホールドでひとつになったわたし達は…。


「ルビぃーッ!!!」

『あはァァァァァあああンッッ♥♥♥♥♥♥♥』


───共に果てた。


(───ふふ……本当、困った人ですね…)


絶頂でぼやける意識の中考える。

わたしとサファイアちゃんだって女の子。立香さんみたいな素敵な人と出会ったら、恋に落ちるに決まってるのに。

そう、わたしだって女の子。なのに、『礼装だから』『道具だから』という思考が脳の片隅に引っかかって、挙動不審になつて……馬鹿みたい。

───結局わたしは立香さんに好き放題イかされまくり、一晩中身も心も愛されて失神。

それ以降『片思いです』と言わんばかりにもじもじしているのが馬鹿らしくなったわたしは、いつもの調子をようやく取り戻したのだった。


───


───後日、話を聞いたイリヤ達…。


「あれ!? わたし達の頑張りって!? もしかして、わたしの心配って取り越し苦労だったりするの!?」

「ま、わたしとミユは薄々察しちゃいたけどねー」

「(こくこく)」

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