擦れていく音声ログ

擦れていく音声ログ


音声ログ***

私は行く先々の道中で襲ってくる化物だと思っていた人達の知った。皆人間だった。


元は動く絵達を描いたり、絵に声を吹き込んだりとかの作業をしていた人達だった。


インクの怪物に変化させられてから、ヘンリーや今の私みたいに死んでも抜け出せないスタジオに閉じ込められた。


あの人達は何か悪い事をしていたとしても、こんな結末はあんまりじゃ無いのか?そう私は思った。


音声ログ***

真実を知った後に対面したブッチャーズに対して振り降ろすマイクスタンドの動きが鈍いのを指摘されてしまった…


私と一緒の境遇なのに、心配しながら聞かれたのだから私は情けなかった。罪深い私と違ってこの人は巻き込まれただけなんだから、私がもっと頑張らないと行けないと思いはする。


だけど、実際に降る場面になると手が動かなくなり、息が詰まりそうになってしまう。


音声ログ***

頑張ったのに、全部無駄だった

ベンディを倒して、今まで散々…!沢山殺して来たのに全部無駄だった!!

何でなの!?何で何で何で!!!??

帰りたいのに…ゴードンやファンの皆に…シャンクス達やルフィと会'いだ'いのに!!!


音声ログ***

ボリスさんに恩を返せず、最後には必ず殺す

何時まで続けていれば良いの?

誰か教えてよ…

この地獄から出る方法を…


音声ログ***

もう、動くのも嫌になってきた

どうせ何をしても変わらない

抵抗しても、抵抗しなくても結果は同じ

変化を与えられない

どの光景も一度は見てきたんだから驚きや新鮮味は無い

タダ一刻も早く、この場所から出る手掛かりを探す時間を求めるだけになってきた

自由に…なりたいな


音声ログ***

減ると必ず補給されるベーコンスープと心躍る曲だけしかこのスタジオにメリットは無い。

だけどもう数えるのも億劫になってきた頃には、味を感じる器官がストレスのせいか機能しなくなった。曲も聞き飽きる程聴いた

毎日がセピアの様に色が宿らない

こんなスタジオだから仕方ないけど、何も変わらないのはとても辛い

だけど私が計画していた新時代はこのスタジオと同じ地獄にしか成り得ない。

結局は私も同じ穴の狢だった

新時代の歌姫?救世主だって?嗤わせる!大量のファンを不幸にしようとしていた私に相応しくない称号だ。

音声ログ***

私の名前って…なんだっけ?あの人と別れて酒場で蹲ってる日からかなり日が経過するが、私は自分の名前が思い出せない

ルフィだったのか、ゴードンだったのか、それともロミィなのか。もう判らなくなった

私は誰なんだろう

そう思って、何度も過去を振り返って思い出そうとする

ソレが何もかも空っぽで、自分が何者なのかも忘れた私の日課になった

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