『接待 茜色の鞄(総記の階)』
Part17 - 152カンヴァス「あー!ローランさんじゃないですか!死んでなかったんですね……」
ローラン「久しぶりに会ったってのに開口一番それは酷くないか?」
カンヴァス「酷いのはどっちですか……路地裏の一件の後全然会ってくれないですし、オリヴィエさんやアストルフォさんに尋ねても『アイツの事は忘れろ』の一点張り……挙げ句の果てに見境なく暴れて中指を叩き折ったって聞いた時はビックリしましたよ」
ローラン「色々あったんだよ。色々と……」
カンヴァス「アンジェリカさんについては残念でした。ローランさんが潰した怪しげな組織はまあ自業自得だろうし同情もしませんが、だからと言って此処で図書館の司書やってるのは違わないですか?普通、こっち側に立つでしょ?」
ローラン「俺にも考えがある。それについてとやかく言われる筋合いはないぞガキ」
カンヴァス「……まあ、世話になったとはいえ結局他人ですから、私から何かを言う資格はないですけど。でもアンジェリカさんの墓も作らずこんな所で油売ってるのは流石にないと思いますよ?」
ローラン「……………あんな何処に誰の死体があるかもわからない血肉の山を漁れってのか?いつの間にか笑えない冗談を言えるようになったんだ、お前」
カンヴァス「漁るもなにもアルガリアの糞野郎が仲間を引き連れて引っ張り出そうとしていましたけど」
ローラン「おい、今何て言った?」
カンヴァス「……呆れた。本当に自分の苦痛以外何も見ていなかったんですね。苦痛を慰めることも……」
ローラン「……ふー……久しぶりに少しだけ稽古付けてやる。詳しい話はその後聞かせてもらおうじゃないか、チビ助」
カンヴァス「擬体に改造されたりまともな食事にありつけなかったせいで背が伸びなかっただけなんですけど???ぶっとばしますよ黒い中年」