『接待 灰の傷痕(言語の階)』

『接待 灰の傷痕(言語の階)』

Part18 - 17

ソロモン「…………聞いてはいたが、本当に生きていたとはな、カーリー」

ケブラー「此方の台詞だ、ジジイ。いい歳して未だに現役とはな」

ソロモン「昔からやめようとは思っているがな、辞め時が見つからん。特に最近はやりたいことが出来てしまってな、死ぬまで剣が手放せそうにない」

ケブラー「それは何より。だが私としてはとっとと引退して欲しかったよ。アンタとこうして対峙したくはなかった」

ソロモン「それは俺と戦うのが嫌だという意味か?」

ケブラー「それ以外に何がある、灰色のキング。私がフィクサーの中で戦術的最強なら、戦略的最強はアンタだ。進んで敵に回したいと思うほど私はまだ耄碌していない」

ソロモン「戦術で戦略を蹂躙する赤い霧が言ってくれる。……思い出すな、初めてお前と刃を交えたあの夜」

ケブラー「真夜中の路地裏は一刻の間だけ戦場となり、灰が蔓延した。……一瞬にして路地裏の一角を瓦礫の山に変えた、たった二人だけの戦争」

ソロモン「その日俺の持っていた軍隊は凡そ7割が壊滅し、全身が傷と血だらけになり」

ケブラー「私は利き手と両足以外無事な骨が無かった。だが先に私たちの依頼人が裏切りを働いて、私たちを始末しようとして」

ソロモン「最終的に死に体のフィクサー二人が今は既に忘れ去られたどこかの企業を二つ程消滅させた。……今となってはいい思い出だ」

ケブラー「抜かせ。私にとっては忘れられない悪夢だよ」



「……では、その悪夢の再演と行こう」


ソロモンが剣を抜き、空間から滲み出る灰が彼を包む。

その右腕は白銀の如く輝く手甲が装着され、灰被りの騎士が心の奥底から炎を出しながら最強へ立ち塞がった。


「いいだろう───E.G.O.の本当の使い方を教えてやる」


角と目が生えた、有機的な見た目の剣を静かに構え、ケブラーの纏ったコートが赤燐光を放ち始める。


「来い、赤い霧(最強)」

「行くぞ、灰の傷痕(最優)」



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