拾っちゃった

拾っちゃった




なんか知らんけどサニー号の喫水線がやばいらしい。船は浮かんじゃいるが水につかる部分はあるわけで、その境界線こそが喫水線だ。重けりゃ上がるし軽けりゃ下がる。おれとしては上下こそするだろうしそんなに気にすることか?とフランキーに首を傾げた。

「オイオイウソップよ。このスーパーなおれが貨物の積載量を確認しそびれるとでも?」

「あーまーそりゃねえな。なんでだろな?」

「アウ!どう考えても数百キロ単位で計算が合わねえときやがる」

「軽いのかよ」

「逆だ逆!重ェんだよ!」

「ゾロが新作ダンベル買ったとか」

「ンなもん速攻で確認したわ!」

いやさっぱりわからん。

倉庫前でうんうん唸ってたら当の戦闘員が通りすがった。

「おーいゾロー!」

「あ?」

とっつかまえて次第をかくかくしかじか話してみる。

「なんか心当たりあるか?」

「はァ?知るわけ・・・・・・」

いやそこで黙ったら理由アリアリだろうお前。

「なんてこったよこの有様じゃァ出航できねえ!」

「んー密航者がモリモリ乗っかってるとか?」

「おいコラ見聞色!」

漫才続けてたらゾロが回れ右して歩き出す。

「どーしたー?」

振り返る顔は笑っては、いた。

もの凄ェ怖かったけど。

「ケツ拭い」

「・・・・・・さ、さよーですかー」

「なんだってんだ一体」

刀の柄を鳴らす背中から、噴き出す怒気の見えるようなゾロを見送って顔を見合わせる。方向からしてキッチンっぽいが、まさかね。

なんとなし不穏を感じていたら案の定。


サニー船がぼん!と垂直に浮かび上がった。


「「うぉぉおおおお?!!」」

思わず抱きついちまったけどさすがのフランキー、重心がしっかりしてやがる。ありがとよと返してとりあえず走った。

甲板上ではいやになるほど見慣れた光景が繰り広げられていた。

「背後から切りかかるとは良い度胸だクソ外道!」

「理解できる頭がねェだろタンポポ綿毛野郎が!」

サニー号名物の喧嘩する対のバカ。

間に入るのはぜってぇヤダ。

「おーいなんか知ってる奴ー」

「はーい!」

挙手しながら朗らかによってきたブルック。頼む何があった。

「ハイ、いつものです。ちょっと変わり種でしたが」

「・・・・・・拾っちゃったか」

「ええ。なんでもひだるがみという方らしいです」

「ソイツ、厄介?」

「ヨホホホ!ルフィさんに負けない大食漢でしたねェ」

「食うの?メシを?!」

「それもキリなくいけるようでして」

ブルックによれば憑いてきたヤツは、本来通りすがりにくっついてきてそいつの腹を際限無く減らしぶっ倒れさせるらしい。メシを食えばなんとかなるし本来はその場所から動く代物じゃねえ、のだが。

「もしかしてサンジの飯に?」

「惚れ込んじゃったみたいですねえヨホホホ」

餓えてしんどいヤツに食べさせない。無えな。ウチのコックは。

「食料庫は?!」

「キレーに空っぽです」

「ダメだろそれは!」

文字通りとり憑かれたような状態で、作っては食べさせ作っては食べさせを繰り返していたサンジにゾロの待ったがかかったらしい。グッジョブだけどもこれ、どーすんだオイ。

「ただいまぁー!」

「うゲッ!」

帰ってきたのは我が船の守銭奴、じゃなくて金銭管理を司る航海士だ。いやこれはマジでヤバイ。

「ねぇウソップちょっと聞いて!」

「はーいおかえりーどしたー」

「拾っちゃったの!!」

満点ピカピカのみかん笑顔が見せてきたのは、紙っぺらだ。

「これが?」

「この島の宝くじ!当選してるの!一等!」

「はいぃい?!」

いかん頭がついていけねェ。おちつけ海の勇敢な戦士たるおれ。

「あたしも信じられないけどホントなの!」

「よ、良かったな!だがしかーしちょっとおれの話を聞けー!」

ふたたびのかくかくしかじか。おれ今日こんなんばっかしだ。

「何よそれ?!」

「いやおれも聞きたいし!」

「まあいいけどね!当たったから!」

「いやいーんかい!!」

ホップステップするナミは、買い出しお願いと言い残して去った。おれは目が点になりながら見送るしかない。

「ヨホホホホ!いやー良かったですね」

「どゆこと」

「おいしいご飯のお礼じゃないですか」

「あー・・・・・・そーゆー事ね」

さっき船が飛び上がったのは迷惑なヤツが慌てて逃げだしたから。そんでナミにお礼として当たりクジを拾わせたってのか。

「つまりめでたしめでたし・・・・・・?」

「買い出し、参りましょうか」

「おう。ぜってェサンジは連れてこうな」


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