拙作

拙作



同じ日、同じ年に生まれたのに

どうしてこうも違うんだろう


明るくて活発、物怖じしない、歌も上手で可愛らしいお姉ちゃん

暗くて鈍臭い、怖がり、人とまともに目も合わせられない私


いつも側にいたいと思ってる。でも、側にいるといっつもお姉ちゃんの足を引っ張ってる。私がどれだけ劣った人間なのかまざまざと見せつけられる。


どれだけ上手な絵を描いても、彫刻を作っても、粘土細工を作っても、陶器を焼いても、染物を作っても、劣等感は埋まらない。美術品なんて時代や評価者、地域によって良い悪いも変わる。私の作品が売れる島なんてほんの少数。

お姉ちゃんは文字通り『ウタ』の声が良いから認められてる。どの島に行っても綺麗な歌声。


劣等感はいつしか嫉妬へ。お腹の中で全部奪われたのかな。後から生まれたからアト。ただの搾りかす、果実を絞った後の。だから私は・・・ああ、嫌だな。この黒い気持ちは、パレットを台無しにしちゃう。こんな気持ちになっちゃう私が大嫌いだ


嫉妬は悪意へ。

音楽の国の王様にも認められる才能。みんながお姉ちゃんに歌をせがんでる。

どこからか飛んできた楽譜。変な文字で読めない。歌い手なのに読めないなんて、お姉ちゃんは悔しがるかな。
少し困らせてやろう。



・・・ああ、やっぱり私はお姉ちゃんにとって



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