抱いた理想、貫く夢
ディアボロス教団、僕が冗談で言ったものが実在するとは思わなかったし、それを滅ぼすことになるなんて思ってもいなかった。戦いが終わり、シャドウガーデンも紅の騎士団もみんな喜びを分かち合っている。
戦いは終わった。
世界は救われた。
だけど、僕だけがそれを実感できていない。
そりゃそうだーー自重気味に笑みを浮かべながら考える
一つの理想のためだけに全部捨てた、なんて嘯きながら実際は諦めて、ごっこ遊びをしていただけだ。現実から目を背けて、自分の夢に躍起になって…
同類だと思っていたヒイロもアイリスも諦めなんてなかった、できなくたって良い、叶わなくても良いと、全力で走る人たちだった。
七陰のみんなも、アレクシアも、ローズ先輩も、みんな本気、いや各々の現実に生きていた。それに比べて僕は、僕だけが前世から変われず、今も理想(虚構)の中で生きてる、あぁそうだ、わかっていたはずだろ
僕の居場所は、どこにも
「シャドウ、コレで最後だ…俺と戦え」
「は?」
ーー無い、はずだった。
ディアボロス教団、かつて世界を救い、そして世界に悲劇をばら撒いた邪悪な者たち。姉さんが、妹が奴らに奪われた時からずっと奴らを滅ぼし、罪なき無辜の人々を救うために生きてきた。
戦いは終わった。
世界は救われた。
だが、まだやり残したことがある。
そうだーー抑えきれない思いを鎮めるように考える
全てを失った俺は一つの目的のために走り出した。周りに目もくれず、誰かを救うための強さを追い求め続けた、だが奴は、それ以上に強かった。
目的がごっこ遊びのためだと理解した時は困惑したが、それだけのために、叶うことない夢のために努力できるそのあり方に憧れた。
生まれて初めて、明確に超えたいと思う相手に出会えた。それと同時に、奴が時折見せる孤独を、なんとかしてやりたいとも思った。あぁ、そうだ、わかっている。いつだって
俺にできることは、一つだ
「シャドウ、コレで最後だ…俺と戦え」
「は?」
ーー全力でぶつかる。それだけだ