【戦う理由】
ドレスローザを覆う巨大な鳥カゴ。
それは【ドンキホーテ・ドフラミンゴ】が造り出した絶望の象徴。
隕石さえ切断するその強靭な糸は時間と共に少しずつ縮小していき、電伝虫による通信冴え遮断し、外へと助けを求める事さえ不可能だ。
「私は麦わら一味の音楽家 ウタ!新時代を作る女よ!!」
しかし、一人の歌姫の宣言と共に、絶望さえ吹き飛ばすような力強い歌声が電伝虫を通して国中に響く。
『さぁ、怖くない♪不安はない♪』
ライブステージ形態に変形したフランキーの上で『声』を取り戻したウタが十三年のブランクを感じさせない程の美しい旋律を奏でる。
『私の夢は みんなの願い♪』
歌を聞いたモノはある者は意識を失い眠りにつき、ある者は闘志を燃やして縮小する鳥カゴを押し返す力を強める。
『歌唄えば ココロ晴れる♪』
それは正しく希望の歌
窮屈な世界を鳥籠《セカイ》を壊して新しい世界へと導く救世の歌声。
『大丈夫よ 私は最強♪』
自由を取り戻した少女は巨大な闇に囚われたこの国を開放する為に、自らの限界を超えて歌い奏でる。
自分以上に信じられる船長の勝利を信じて……。
「ルフィー!こっちは私達に任せて、そいつを思いっ切りぶっ飛ばしてぇー!!」
歌声と共に響いたその言葉に一人の海賊が力強く答える。
「任せろ!!」
仲間の声に応えた船長は、歌声に背を押される様にこの国から自由を奪う怨敵に向かって拳を振り上げた。
「分からねぇな」
耳に入る歌声が、向かってくる海賊を心底 不愉快だと言わんばかりに眉を潜めるドフラミンゴが自分と対峙する海賊に向かって問いかける。
「何故、テメェ等は此処まで俺に盾突く?こんな国を救ってもテメェは何も手に入らねぇのによ!」
ドフラミンゴの言葉に海賊【麦わらのルフィ】がギロリと覇気を込めた瞳で睨み返す。
そして振り上げた拳と共に自身の戦う理由を叩きつける。
「お前が俺の友達を泣かしたからだ!!!」
=あとがき=
ドレスローザ編自体あやふやなので色々と可笑しな所があってすみません……。因みにルフィの言う友達はウタは勿論、ベラミーやレベッカ、ロー等も含まれます。