誕生日パーティー防衛戦前編
或人の誕生日を祝うため、仮面ライダー達はそれぞれの目的を持って動き出す‼︎
或人「祢音ちゃん……それ大我さんのだよね?何で持ってるの?」
或人は祢音がガシャコンマグナムを持っていることに気づくと同時に何故か物騒なものを感じる。
そんな或人の様子を見て祢音は気にせずに笑って返す
祢音「だって、或人さんの誕生日は絶対にお祝いしたいんだもん‼︎ベロバ達がまた余計なことしてくるかもしれないでしょ?」
或人「う、うん…(大我さん何で貸してるの⁉︎)」
祢音「一応練習はしたし、使う人に合わせてくれるから大丈夫だよ或人さん‼︎」
祢音と談笑しながら、或人は数日前諫からある依頼を受けていたことを思い出す。
仮面ライダーバルカンとしての正式な仕事として必要なガジェットを貸してほしいのだと言う。
或人『不破さん早速仕事が入ったとかすげぇよ‼︎』
或人はそれに喜びを隠せないのと同時に彼が何の仕事を請け負ったのか気になっていた
諫『偵察用のガジェットや録画機能のあるガジェット…こいつらが必要なんだよ、助かるぜ』
或人『協力は幾らでもするけどさ、何の仕事頼まれたの?』
仮面ライダーバルカンはまだ公には無名である
そこにわざわざ仕事を頼む人がいるのか
諫『俺が直接セールスしたら仕事の依頼が取れたんだよ』
諫はガジェットを確認しながらそう言う
或人は諫が自身の会社を売り込んでいたことに驚きを隠せない
或人『不破さんセールスなんかしてたの⁉︎』
諫『まあな……俺の会社だ、潰す訳にゃいかねぇだろうが』
或人は話題を戻す
或人『で、何の仕事を頼まれたの?』
或人の問いかけに諫は少し考え事をする
諫『……そうだな、客の依頼で大っぴらには言えねぇが、強いて言うなら…カエル狩り、だな』
カエル狩りという仕事に或人の頭には疑問符が浮かぶ
或人『えっと……カエルをペットにしたいけど捕まえられない子の代わりに捕まえてあげるの?梅雨はまだだよ…』
諫『そいつは梅雨じゃなくても現れるカエルなんだよ……別にペットにはしたくねぇが、捕まえたいんだよ』
一方イズに召集された諫は景和に話しかける
諫「桜井、お前俺たちみたいに生身で戦うような武器ってないんだろ?」
諫や唯阿はショットライザーで生身でも戦えるし、CRのドクター達もガシャコンウェポンを召喚したら生身で戦える。
だがデザイアグランプリのプレイヤーにはそのようなアイテムはない。
あったら宝探しゲームで生身でバックルをゲットする時苦労などしていないのだ。
景和「確かに俺たちにはそういうのはないですけど……」
景和はそう言いながら、飛彩から貸してもらったというガシャコンソードを取り出す。
それを見た諫は驚く
諫「おまっ……それ鏡のじゃねーか‼︎お前使えんのかよ‼︎」
或人の誕生日パーティーの準備に自分達はあたるから代わりにそれを使えと言われたのだと言う
景和「確かに難しいですけどね、でもこうやって大事なアイテムを貸してくれるだけ信頼されているんだなって」
諫は入院中飛彩と散々揉めたことを思い出す。
諫「刃達だけじゃなくて鏡達も変わったんだな…」
諫は飛彩から自身の会社仮面ライダーバルカンに依頼されたある仕事を思い出していた
唯阿「吾妻君、それ九条先生のじゃないか」
唯阿は道長がガシャコンスパローを持っていることに気づく
景和「道長さん遠距離の武器とか苦手じゃないの?」
現に道長は遠距離に特化したマグナムシューターをゼロ距離で撃ったり、殴るのに使ったりしている。
遠距離の武器であるガシャコンスパローは向いてないと言われても仕方がない。
道長「別に苦手じゃねぇよ、単に性に合わないだけだ…それにこれは分離させて使えるからな」
そう、ガシャコンスパローは分離させて鎌モードとしても使えるのだ。
一方CRでは…
永夢「え⁉︎今回はわざと変身しないで戦えって⁉︎」
永夢は他の3人の考えを聞き驚いていた
敢えて自身を強くするため変身させずに或人の誕生日パーティーを守り抜かせるのだと言う
大我「何も丸腰で戦えとは言ってねぇよ」
永夢「どういう意味ですか?」
飛彩「ガシャコンウェポンは貸した、それで戦い抜けと言うことだ」
飛彩の発言に貴利矢も頷く
貴利矢「まず自分自身で戦ってみましょうってことでね……」
何と3人は自分たちのガシャコンウェポンを祢音達に貸したのだと言う
永夢「そんな、いきなり使える訳ないじゃないですか⁉︎」
確かにガシャコンウェポンは使用者の技量に合わせる機能はあるが、詳しい構造を知らなければ難しい話ではある。
大我「その環境に置いててめぇ自身で戦わせて守りたいものを守り抜かせる、それが目的なんだよ」
これから激化するであろう戦い
そのためにも自分自身を強くする必要があるのだ
永夢と大我が話している間、飛彩と貴利矢はあることについて話していた
貴利矢「鏡先生、あんた狸君のサポーター潰すつもりでしょ?」
ケケラについて言い当てられ飛彩は一瞬言葉に詰まる
飛彩「何でそれが……」
貴利矢「まあ自分も道長のサポーター潰した身ではあるから分かるよ、だけどサポーター潰しは相応の覚悟がいるからね」
貴利矢に飛彩は忠告される
飛彩「……それは分かっている。だからそのための布石は打ったつもりだ」
或人の誕生日パーティーの数日前、スーツを着崩してネックレスをつけた所謂ちょいワル親父のような人間の姿になったケケラは景和の姉沙羅とソルド20を見ていた
その様子にケケラは舌打ちをする
ケケラ「鏡飛彩の次は機械なんかに気を取られやがって……」
ケケラはそう言うとレーザーレイズライザーを手に2人に近寄ろうとした瞬間だった
飛彩「貴様……景和のサポーターだな⁉︎」
運がいいのか悪いのか、そこに飛彩が現れたのだ
ケケラは一度飛彩に負けてレーザーレイズライザーを破壊されている
今ことを構えても分が悪すぎるのだ
ケケラ「鏡飛彩かよ……‼︎」
ケケラはレーザーレイズライザーの機能で逃げ出す
飛彩「待て‼︎貴様……自分が笑えれば何をしても許されると思うなっ‼︎」
飛彩は逃げるケケラに向かって叫ぶ
ケケラは明らかに沙羅やソルド20を狙っていた
どちらも景和に関係のある存在だ
そういう者達に接触して危害を加え、景和をデザ神にして自分は笑いたい
そんなケケラの考えは見え透いているのだ
ケケラに逃げられ、悔しそうにしている時だった
諫「鏡じゃねぇか、何だ?怖い顔がますます怖くなってるじゃねぇかよ」
或人の誕生日パーティーのための買い物に来ていた諫と出くわす
飛彩「不破諫……お前には関係ない」
諫「あ?俺が戦っても大丈夫だって診断書書いたのはどこのどいつだった?」
諫は最近復帰したばかりだったがある程度の事情は聞いていた。
デザイアグランプリのことも。
諫「鏡……お前確かあの桜井って奴と特に関係があんだろ、そいつのことか」
諫に自分が抱えた問題の大まかな内容を当てられて飛彩は黙る
飛彩「……」
諫「俺だって一応仲間なんだからよ、頼ってくれよな……そうだ、俺社長になったんだよ」
諫の発言に飛彩はさらに驚く
飛彩「お前が、社長?」
飛彩の反応に諫は怒る
諫「お前今嘘だって思っただろ‼︎本当だからな‼︎」
飛彩「じゃあ会社名言ってみろ」
諫は自信満々に会社名を口にする
諫「仮面ライダーバルカンだよ」
まさか自分の変身する仮面ライダーを会社名にするとは、と飛彩は呆れると同時に諫らしいと妙に納得していた
飛彩「じゃあ何の会社だ」
諫「困ってる奴を助ける会社だよ」
これまた諫らしいと飛彩は呆れつつ納得する
諫「つーわけで、鏡今早速困ってんだろ?それ仮面ライダーバルカンとして引き受けてやるよ」
諫が復帰したと思いきやいきなり会社を立ち上げ、社長になった
滅茶苦茶すぎる展開に飛彩は言葉を失う
諫「何だよ、頼りねぇってか」
諫は不満そうに頭を掻きながら言う
飛彩「いや、そうじゃないが……不破諫、お前デザイアグランプリのプレイヤーにサポーターがつくことがあるのは知ってるか?」
諫「いや、そこまでは知らねぇが、それの何が問題なんだよ」
サポーターは未来人であり、自分達が応援するプレイヤーにバックルを贈ったりする
だがその反面、自分の思うようにプレイヤーを動かそうとしたり、自分の目的の為にプレイヤーを利用したりするのだと言う。
飛彩「この前ベロバとか言う奴と戦っただろう、あいつもかつてはサポーターだった、だが監察医と……間接的にだが刃唯阿があいつをサポーターの座から引き摺り下ろした」
諫「ああ、あの碌でもない女か……それで桜井のサポーターとやらも同類だってことか」
飛彩は頷く
飛彩「……景和のサポーターのケケラは、自分が笑えることを優先している。そのためなら命を踏み躙っても罪悪感の欠片もない奴なんだ」
飛彩の口から出たケケラの実態を聞き、諫はため息を吐く
諫「碌でもねぇ奴だな……じゃあまずそのケケラって奴を捕まえて腹を割って話させてそれからぶっ潰すかどうするか決めるか、よしその仕事引き受けてやるよ」
一方今日は或人の誕生日であることを知ったベロバはイズの予測通り或人の誕生日を台無しにすることを考えていた
他の仮面ライダーにも恨みはあるが、一番自分の計画を台無しにしてきたのは他ならぬ或人なのだ
ベロバ「ゼロワンの誕生日……最高に不幸な物にしてやろうじゃない」
どこかの建物の上でベロバはそう呟く
今日こそ或人を不幸にしてやる、という絶対的な意志を持って
ケケラ「怖えぇな…これがサポーター強制退任させられた奴の末路か、笑えねぇな」
そんなベロバを見てケケラはわざとらしくおどけて笑う
ベロバ「その割には笑ってるわよね、あんた。私がサポーターじゃなくなったのが面白い?悪いけどね、あいつが不幸だったから私はサポーターになっただけ。
不幸じゃないあいつには用はないわよ」
ベロバはケケラに向かってサポーター強制退任のことは気にしていないと言い放つ
ケケラ「どうだか?サポーターじゃなくなった途端アークだのアズだの胡散臭い連中にいいように使われているだけじゃねぇか、まあ確かに面白いぜ?元々ジャマトのスポンサーだから気の毒にすら感じる必要もねぇからな、しかもデザグラを滅茶苦茶にしやがった奴が落ちぶれた様を見るのはさ」
ケケラはそれに対しベロバを煽るような発言をする
ジャマト側のスポンサーであったベロバが出張ること自体忌避すべきことだったから、そんなベロバが今どうしようもなくなっているのはケケラにとっては最高に笑えるのだ
痛いところを突かれたベロバは顔を顰める
ベロバ「うるさいわね‼︎…言っておくけど、あんただって私のこと言えなくなるかもしれないわよ?」
ケケラに対して憤りながらベロバもケケラを煽る
ベロバ「あんた、鏡飛彩に負けたことあるんでしょう?」
ケケラもベロバに痛いところを突かれ一瞬黙る
ケケラ「俺もお前みたいなことになるって言うのか?」
ベロバ「そうね、私が九条貴利矢にやられたようにあんただって鏡飛彩にやられる可能性はあるんじゃないの?」
ケケラ「俺はデザグラを壊そうとはしてねぇよ、お前と一緒にすんな」
ケケラはその可能性を否定しようとする
サポーター強制解任という最悪の可能性を。
サポーターを自ら降りるのと、強制的に降ろされるのでは訳が違う
後者の場合、過去の世界の人間に拒絶されて情け無い姿を晒した奴というレッテルが貼られ、オーディエンスからは蔑みの目で見られる
現にケケラがベロバを笑っているように。
ベロバ「そんなこと自信を持ってよく言えるわね?ジーンやキューンは大人しくするようにしたけど、あんたは違う。推してる仮面ライダーに執着しているじゃない
あんたも私のこと言えないわよ」
ケケラ「言ってくれるな…悪いが俺はデザグラ運営には刃向かってねぇからな」
ベロバとケケラは言い合いになり険悪なムードが漂う
しかしケケラはあることを思いつき、ベロバにある提案をする
ケケラ「でもまあ…危険因子は排除しておきたいところだな、お前の作戦に協力してやろうか?とりあえず、まずあの飛電或人って奴を潰せばいいんだろ?あいつが大締めだからそこを断てばいい訳だ」
ベロバはケケラの提案に驚く
先程まで散々煽ってきたのにだ
だがアークやアズが絡まない条件下で行動できるのはベロバにとっては大きかった。
確かに或人をどうにかしなければ、仮面ライダー達は止められない
それはケケラも同じ考えだった
ベロバ「へぇ、あんたが協力するなんてねぇ」
ケケラ「俺は笑いたいだけだからな」
2人がそう会話をしている時、ジャマトの群れが2人を取り囲むように現れる
ベロバ「これで、ゼロワンを今度こそ潰すわ」
ベロバはそう宣言するように言い放つ
ケケラはその様子を笑いながら見ていた…
スマホで何かを確認していた諫はある人物を見つけ、思わず呟く
諫「おっ、早速カエル野郎のお出ましじゃねぇか」
諫の発言を唯阿は聞き逃さなかった
唯阿「不破……まさかお前こんな時にスマホでゲームでもやってるんじゃないだろうな⁉︎」
唯阿は怒りながら諫に詰め寄り、詰め寄られた諫は慌てて弁解する
諫は景和や道長に聞こえないように唯阿にスマホの画面を見せ事情を話す
諫「鏡からの仕事の依頼でな、このカエル野郎を捕まえんだよ」
諫はスマホに送られてきた或人から借りた偵察用ガジェットの録画画面を見せる
そこにはベロバと、もう1人髪に白と緑のメッシュが入ったスーツを着崩しているお世辞にも素行はよろしくなさそうな中年男性がいた
唯阿「ベロバ……‼︎やはり現れたな⁉︎」
諫「そいつも確かにぶっ潰す対象だが…俺の狙いはこっちのカエル野郎だ」
諫はスマホの画面に映る中年男性を指す
唯阿「……そいつは誰なんだ?鏡先生は知っているのか?」
唯阿がそう問いかけると諫は離れた場所にいる景和を見る
諫「こいつはケケラとかいう奴で、鏡曰く桜井のサポーターらしいぜ…一見親身だが本性はあのベロバって女と大差はない」
唯阿はそう言えばデザイアグランプリのプレイヤーにはサポーターがいることを思い出す
唯阿「なるほど、こいつもベロバみたいに余計なことをする可能性があると言うことか……」
ケケラは或人とは面識はない
だがこれまで違うスタンスにいた仮面ライダー達をまとめてきたのは或人だ
色んな人に祝ってもらえる誕生日というものは或人にとっては初めてで、嬉しいのは確かだ。
だからそこに油断が生じる
唯阿「だが祢音ちゃんも花家先生から武器を貸してもらったらしいぞ、ガシャコンマグナムっていうんだが」
だから祢音も或人を守るための準備をしているのだと言う
諫「あの銃みたいなやつだろ?小柄な女が使えるのか?」
諫は或人の誕生日を皆が守ろうとしてくれていることを感じ取りつつ、飛彩にケケラについて連絡するのだった。
或人「祢音ちゃん、まだ俺ここに居なきゃダメ?」
祢音「ダメっ‼︎」
ガシャコンマグナム片手に祢音は或人とデートで何回か訪れた公園にいた
今は飛電インテリジェンスで誕生日パーティーの準備中だ
そこに主役が行くなど以ての外だ
祢音「皆或人さんの誕生日をお祝いするために準備してるんだから、見ちゃったら楽しみが半減するでしょ」
この前の祢音の誕生日で或人は自分の誕生日もどのように祝われるかは想像がついた、だがどんな感じか見たいのだ
自分の誕生日を大勢に祝ってもらうことなどなかったからなおさら気持ちは湧き立つ
だからと言って戻るのは確かに自分の誕生日を祝ってくれる人達の気持ちを無視してしまうだろう
或人「分かった‼︎皆俺のために準備してくれてるんだよな、見たいけど……我慢する‼︎」
或人の答えに祢音は笑顔になる
祢音「うん、今日は楽しい誕生日パーティーにしようね、或人さん‼︎」
或人「うん‼︎」
或人もそれに笑顔で答え、思わず祢音の手を取ろうとした瞬間だった
祢音「あっ‼︎或人さんあそこに何かUFOみたいなのが飛んでる‼︎」
祢音は青空を指差し、或人も思わずその方向を見る
或人「え、マジ⁉︎」
或人が必死に青空を見ている隙に祢音は目に映ったジャマトを大我から借りたガシャコンマグナムで撃ち抜く
祢音「あ、ごめん或人さん、あれ飛行機だった」
或人「え〜⁉︎」
祢音「ごめんなさい‼︎見間違っちゃったみたい」
祢音は自分の頭をコツンと叩く
或人「なんだ……ていうか祢音ちゃんUFO見たことあるの?」
或人の思わぬ突っ込みに祢音は焦る
祢音「え⁉︎ど、どうかな……」
祢音は或人の突っ込みをはぐらかす
祢音(とりあえずガシャコンマグナムは問題なく使えてよかった……‼︎)
或人の誕生日パーティーの前日
祢音『変身しないで、或人さんを守るの⁉︎』
祢音は突然大我から与えられた課題に驚く
大我『こないだの戦いで分かっただろ、まずてめぇ自身が強くならねぇと変身しても、あれを使っても変わらねぇ』
大我からの指摘で祢音は考え込む
確かに自分自身が精神的にも身体的にも強くならないといけないのだ
祢音『でもどうやったら…』
今まで育った環境から、祢音はデザイアグランプリに参加するまで戦ったことなどなかった
だから祢音は大我から与えられた課題に困惑する
すると大我はガシャコンマグナムを召喚する
大我『別にてめぇ自身で戦えと言う訳じゃねぇよ、こいつを使えばいい』
つまりガシャコンマグナムを使って変身しないで戦えということなのだろう
大我『この世界での居場所見つけたんだろ?だったらそれくらいやってみせろ』
祢音は黙ってガシャコンマグナムを受け取る
祢音『分かった、私なりの覚悟見せてくるよ』
祢音は大我から課せられたシークレットミッションを達成することを決めたのだった
飛彩は諫からケケラがベロバと共にいることの報告を受けていた
飛彩「そうか、早速姿を現したか」
諫「あっさり現れやがったから拍子抜けしたっつーの…で、鏡こいつどうするんだ?捕まえる方向でいいか?」
飛彩はそれに同意する
飛彩「ああ、それで構わん」
ベロバはともかく、ケケラは捕まえておかないと厄介なのだ
諫「厄介?」
飛彩「恐らくだが、ケケラはベロバみたいに直接危害を加えるより、景和に関わる第三者……姉の桜井沙羅みたいな存在に接触して、間接的に自分の思い通りに盤面を動かすやり方を取る奴だ。この前も奴は桜井沙羅やソルド20に接触しようとしていた」
諫は姉の沙羅はまだしもソルド20の名前が出たことに疑問を呈する
諫「いや、待てよ何でソルド20が関係あんだよ」
飛彩「そうか、お前は知らんか、景和はな最近ソルド20と親しい関係だ」
飛彩の説明に諫は驚き、近くにいるソルド20を思わず見る
諫「マジかよ……だから刃がやたらとソルド20のことを色々言ってたんだな…」
諫は唯阿のソルド20に対する言動に納得する
そしてある結論に達する
諫「ハズレであって欲しいが……そのケケラって奴、やっぱり碌でもねぇ野郎だな……わーったよ、捕まえりゃいいんだな?」
飛彩「ああ、頼む」
諫「お前らこそ、社長の誕生日パーティーの準備頼んだぜ」
一方のソルド20はというとジャマトがどこにいるのか探しながら景和と話していた
ソルド20「そういえば桜井景和、数日前にお前の姉の桜井沙羅さんと会ったぞ」
景和「え!?姉ちゃんと会ったんですか!?」
ソルド20「ああ」
ソルド20からの突然の発言に景和は驚く
景和「えっと…その…姉ちゃんはどうでしたか…?」
ソルド20「どう…とは?」
景和「いや…あの…」
景和の疑問にソルド20も疑問を浮かべるがすぐに自分なりの答えを出す
ソルド20「お前の答えに合っているかは分からないが少なくとも彼女は弟のお前を思ういい人だと考える」
景和「えっ…」
ソルド20「話してる中でお前の心配の旨を口にしていた。それほどまでにお前のことを大切に思っていることなんだろう」
景和「姉ちゃんがそんなことを…」
ソルド20「ああ、弟を思える素敵なお姉さんだった。だから私も約束した」
景和「約束…?」
ソルド20「お前も沙羅さんも絶対に死なせない。幸せに生きていけるようにすると」
景和「!!」
ソルド20のまっすぐな言葉に景和は心が熱くなった。彼女は沙羅のことを弟を思うと評価したがソルド20自身も自分達のことを思ってくれる、そんな彼女の優しさに景和はどこか嬉しく思えたのだった
そんな彼女に景和は顔を赤くしながら礼を言うのであった
景和「あ、ありがとうございます…」
ソルド20「気にするな、それにこれは勝手に約束したようなものだからな礼を言われるものじゃない」
景和「そんなことないですよ」
少し自虐気味になるソルド20に景和は言う
景和「ソルド20さんの俺達を思う気持ちはすごく嬉しかったです。勝手に約束したのかもしれないけどその約束が俺や多分姉ちゃんも心が救われました。だから…その…ソルド20さんの気持ちは間違ってないと思います」
景和の言葉を聞いてソルド20はフッと笑みをこぼす
ソルド20「そうか、そうだといいな」
景和「はい…!!あ、あとそれと…!!」
ソルド20「?」
景和は顔を赤くしてたどたどしくなるなか言葉を続ける
景和「ソルド20さんは俺達が幸せに生きていけるようにするって言ってたけど…俺もあなたが幸せに生きていけるように頑張ります!!俺なりの世界平和目指して!!」
景和の言葉にソルド20は目を見開くがすぐに元に戻る
ソルド20「そうか…、それを楽しみにしてるぞ」
景和「!!はい!!」
景和は嬉しそうに返事をする。そんな景和を見てソルド20は考える
ソルド20(本当ならヒューマギアの私には必要ないと言えばよかったがなんでかそれを言うのは違うと考えた…、不思議なものだ。だが悪くないな)
ジャマト達を探すソルド20はそう思うのであった
ソルド20「そういえば、沙羅さんはなかなか面白い考えしていたな」
景和「面白い考え?」
ソルド20「ああ、なんでもお前と付き合ってみたらどうとか」
景和「え!?そ、それでそれにはなんて?」
ソルド20「人間とヒューマギアが付き合うの無理だと答えた」
景和「そ、そうですか…」
(うう…脈がまだないとはいえなんか振られた気分…で、でも諦めるか!!絶対ソルド20さんの心を掴むんだ!!)
ジャマト「ジャ⁉︎」
ガシャコンスパローの光の矢がジャマトを貫き、ジャマトが消滅する
唯阿「当たり前だが九条先生には及ばないが…初めて使うにしては中々じゃないか、吾妻君」
唯阿はガシャコンスパローでジャマトを倒した道長を見て素直に褒める
唯阿に褒められ、道長は思わず顔を逸らす
道長「ま、まあな…今回は変身しないでジャマト倒せってこれ渡されたからな…」
唯阿はその様子を見てフッ、と笑い自身もショットライザーでジャマトを撃つが、ガシャコンスパローの様に一撃では何故か倒せない
ショットライザーで撃たれたジャマトは怒り、唯阿に襲い掛かろうとする
唯阿「……っ‼︎」
唯阿はジャマトの攻撃を避けると再度ショットライザーでジャマトを撃つ
ジャマト「ジャ〜‼︎」
道長「このっ…離れろ‼︎」
唯阿に襲いかかるジャマトをガシャコンスパローで撃つのではなく、弓の部分で斬り伏せる
すると何故かジャマトは呆気なく消滅する
道長「大丈夫か、バルキリー」
唯阿「あ、ああ、助かった」
唯阿は立ち上がりながらそうお礼を言う
道長は他のジャマトをガシャコンスパローで撃って消滅させて行く
諫には及ばないが、こうやって唯阿と一緒に戦って彼女を守られただけでも十分だった
しかし唯阿はある疑問を抱いていた
唯阿「しかし……何故九条先生が使う武器なら一撃でジャマトが消滅するんだ?」
CRのドクターライダー達が使うガシャコンウェポンは普通に武器として通用するが彼らの目的からバグスターに対して特に効果があると言う
唯阿「……まさか⁉︎」
唯阿はある可能性に行き着く
唯阿「吾妻君‼︎あのジャマトに接近戦は挑むな‼︎できるだけ射撃でジャマトを倒せ‼︎」
現れたジャマトの正体を察した唯阿は道長にそう警告する
道長は唯阿の言葉の意味が分からなかった
道長「はあ?何でだよ」
唯阿は自分の中で辿り着いた結論を告げる
唯阿「どうやったかは分からんが、あのジャマト恐らくバグスターウィルスを持っている‼︎」
唯阿の言葉に道長は驚く
道長「え…?だってバグスターウィルスのワクチンはできているってレーザーが言ってたぞ」
しかしジャマトがバグスターウィルスを持っている、つまり運営なり未来人が何かをしてバグスターウィルスを進化させた可能性が高い
下手に接近戦を挑んで感染させられるかもしれない
唯阿「進化したバグスターウィルスかもしれない、だから迂闊に近づくのは危険だ‼︎」
ケケラ「何だ、鏡飛彩はいねぇのか…あいつの為に特別なジャマトを用意したってのによ」
ケケラは飛彩がいないことに気づき、落胆する
ベロバ「でもあんたの推しの仮面ライダーと仲のいい機械はいるじゃない」
ケケラはベロバの言葉に笑う
ケケラ「それじゃあ意味ねぇんだよなぁ」
ベロバもケケラを見て笑う
ベロバ「そうね、折角久しぶりにバグスターと戦わせてあげようと思ったのにね?しかしあんたよくバグスターウィルスを持ったジャマトを融合させたわね?」
ケケラが用意したジャマト、それはバグスターウィルスを持ったジャマトだった
ケケラ「運営が声かけりゃ、バグスターウィルスのサンプルは衛生省にいるスポンサーから簡単にもらえんだよ
後はヴィジョンドライバーで情報弄りゃ簡単に作れるんだとさ」
ベロバ「運営がねぇ、それだけ必死みたいね。何せニラムはエグゼイドとゼロワンに二敗しているから余計にそうなるわよね、でまともに残ったサポーターのあんたがそのジャマトを使ってこの世界で暴れてこいってことね?」
ケケラは頷く
ケケラ「ああ、俺はあいつがデザイアグランプリで戦ってデザ神にならねぇと笑えねぇからな」
ケケラはそう言い、悪意に満ちた笑顔を見せる
祢音(でも何でさっきのジャマト、一撃で倒せたんだろ…変身もしていないのに)
一方祢音もさっき或人の気を逸らしてガシャコンマグナムで撃ったジャマトが一瞬で消滅したことに疑問を抱いていた
或人「祢音ちゃん、どうしたの?」
そんな祢音を或人は心配そうに見つめる
自分のことを気遣ってくれるのは嬉しいが、彼女だって複雑な状況に置かれている。
だから或人も祢音が何か抱えていないか心配になるのだ
或人はそう祢音のことを考えると何故だか胸が締め付けられるような気分になって苦しい
祢音「大丈夫だよ、或人さん……誕生日パーティーのこと考えていただけだから‼︎」
祢音も或人に心配はかけたくない。だからと言ってさっきのジャマトの件は話さないつもりはない
だが今日だけは或人に背負わせるものを増やしたくないのだ
祢音(今日だけは或人さんに辛い思いはさせないし、戦わせない)
一緒に、他の仮面ライダー達と立ち向かうのはそれからだ
或人「そんなに深刻に考えるほどなの?」
祢音「うん、或人さんがギャグ言ったら不破さん以外はお祝いムードが壊れるかもしれないから」
或人「俺のギャグって……」
その時だった
「熱いねぇ、カップルさん」
或人「え、何この変な置き物……」
2人の目の前にスーツ姿の歪んだカエルのようなものが現れたのだ
或人「……趣味悪いな……これスピーカーか?」
或人はその悪趣味なオブジェを持ち上げようとした瞬間オブジェは叫ぶ
「触るんじゃねぇ‼︎」
或人「うわっ⁉︎」
或人は驚いてオブジェから手を離す
祢音「或人さん、大丈夫⁉︎」
カエルのオブジェはため息を吐くと、また喋り出す
「お前、飛電或人だろ?お誕生日だからって浮かれすぎ……」
彼がそう言った瞬間だった
諫「見つけたぞこの野郎‼︎」
遠くから諫が走ってきてカエルのオブジェを鷲掴みにする
或人「不破さん⁉︎」
驚く或人に諫は作り笑いをする
諫「いや〜参ったな、社長、誕生日プレゼント候補の一つが逃げ出しやがってさ、こんな悪趣味なカエルの置き物いらねぇよな?」
「は、離しやがれ⁉︎なんだてめぇは⁉︎」
諫に掴まれたままカエルのオブジェは喚き散らす
或人は何か訳があるのだろうと察するが、諫の勢いから追及ができなかった
或人「う、うん、これはいらないかな…」
諫「だよな⁉︎よし‼︎誕生日パーティー会場の設営終わったからお前らは早く行け‼︎」
諫に捲し立てられ、或人と祢音は飛電インテリジェンスに向かわざるを得なかった
祢音「さ、或人さん行こうよ」
或人「うん……じゃあ不破さんも待ってるからね‼︎」
或人(カエル狩りってこれのことなのかな?)
或人は諫の言っていたカエル狩りについて考えながら祢音に手を引かれ飛電インテリジェンスに向かっていた
諫「お前、ケケラって奴だろ?」
或人達がいなくなった後、諫はカエルのオブジェを地面に乱暴に置き、話しかける
正体を見ず知らずの人間に当てられたことに驚いたケケラは人間の姿になる
ケケラ「何でてめぇが俺のこと知ってんだよ、しかもさっき邪魔しやがったな⁉︎て言うか、てめぇ誰だよ‼︎」
ケケラは諫に吠えたてる
諫「俺は不破諫、仮面ライダーバルカンだ。分かりやすく言ってやると鏡飛彩と関係があるんだよな、色々と」
諫は敢えて飛彩の名前を出す
ケケラが飛彩を警戒していることを見越しての揺さぶりだ
案の定ケケラは動揺する
ケケラ「鏡飛彩の関係者だと⁉︎」
驚くケケラを見て諫はニヤッと笑う
自分がケケラの敵だと理解したと知っての笑いだ
諫「鏡から頼まれてんだよ、桜井のサポーターのてめぇは碌なことしねぇから捕まえてくれってな」
ケケラ「鏡飛彩の奴……」
諫「俺はてめぇが敵じゃねぇかもしれないって鏡に言ったがどうやらあのベロバって女と一緒にいたり、ああやって社長に接触しやがるってことはてめぇは敵だって確信したよ、鏡はてめぇをぶっ潰すつもりだがそれが正しいみてぇだな‼︎」
諫はケケラにショットライザーを突きつけ叫ぶ
最初は身構えていたケケラだが、次第に名前の通りケラケラと笑い出す
諫「何がおかしい?腐れカエル野郎」
ケケラ「分かってねぇなぁ…俺はベロバと違っててめぇらごときにはやられねぇよ」
ショットライザーを突きつけたまま諫はケケラを睨む
諫「どうだかな…‼︎」
ケケラ「今バグスターウィルスを持ったジャマトを何体か放したんだよ…まだ成長途中だから十分な感染力はねぇが……こうやって複数で来たらどうだろうな⁉︎」
諫「⁉︎」
ケケラがそう言うといつの間にかジャマトが何体か現れる
しかし諫の周りに現れたジャマトは飛んできた氷の弾が当たり、一気に消滅する
ケケラ「何⁉︎」
ケケラはジャマトが全滅し、焦りを隠せない
ソルド20「無事か、不破諫」
そこに現れたソルド20が諫に話しかける
諫「んだよ、ソルド20か」
ソルド20「隊長から連絡があった。バグスターウィルスを持ったジャマトが現れたとな」
諫は少し安堵したような表情を見せる
ケケラ「一体どうなってやがる…」
バグスターウィルスを消滅させられる飛彩はいない
じゃあ誰が?
ケケラがそう疑問に思った時だった
景和「不破さん、大丈夫ですか⁉︎」
その姿にケケラは驚愕する
自身がサポーターをやっている仮面ライダーが、バグスターウィルスを倒せる武器を持って現れたからだ
ケケラ「何で鏡飛彩の武器を持ってやがる…‼︎」
ケケラ自身飛彩のガシャコンソードに良い思い出はない
景和「え……あなた誰ですか⁉︎まさかあのジャマトを連れてきたのは…っ‼︎」
そう、景和はケケラがカエルの置き物の姿である時以外会っていないので、ケケラの人間の姿は見たことがないのだ
サポーターをやっている仮面ライダーから敵意を向けられ、流石にケケラも退散せざるを得なかった