我関せず
・書いてしまった洗脳√if妄想 、 だが反省も後悔もない
・描写的に少年誌アウト?な物があるので閲覧は自己責任で
・ 捏造過多、ss初心者なのでおかしな部分がある
・文章が変わることもあるから注意
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あ"、んなとこに居たのかよキング」
目の前にいる同僚にクイーンはげんなりとした
「別にどこに居ようが俺の勝手だ、…お前こそどうしてここに」
同僚の男・キングは壁に体をもたれさせながら腕を組み、こちらを睨みつける
「ああ、ちょっと用があってな」
おれが手に持った箱を見せるとキングは眉間に皺を寄せた。
「そろそろ切れる頃だと思ってよ」
「…さっさと行け」
キングは鍵をクイーンに投げ渡した
「お、何だお前、あいつに顔見せたのか、久しぶりのご対面はどうだっ…」
「さっさと行けってのが聞こえねぇのか、能無し!」
「お~怖っ! こりゃ随分と荒れてるな」
キングの舌打ちを無視しながら、鍵を使って重々しい扉を開ける
地下にある薄暗い牢屋の中央には、先日捕えた奴がそこに居た。
鎖で雁字搦めに縛られた腕は頭上で上げさせられており、
吊り下げられた体はぐったりとした状態で跪いていた
聞こえてくる呼吸は細く、もはや虫の息だ
意識が飛んでるそいつに声をかける。
「おい、気分はどうだ パンクの失敗作」
「…誰だ」
「おっと、ようやく効果が出てきやがったか」
こちらから見える顔は疲労からなのか顔は青白くなっており、汗が滲み出ていた
意識は混濁してて記憶も朧げ、こりゃ時間の問題かもな
おれは足音を立てながら、そいつに近づいた
何日か前,カイドウさんに殴り込みを謀って、キングに倒された楽園の怪物。
カイドウさんは此奴を手駒にしたいらしい、おれとキングはそれに賛同した。
キングは何か考えがあるようだったが、
まあ、おれにとっては手頃な実験体が増えたって訳で…
「痛っで…何だ!」
薬品を入れた注射器を手に持った時、足を何かに叩かれた
憤りを感じながら下を見ると、奴の足から蔦みてぇのが生えてやがった
萎れて弱々しくなったそれは奴を守ろうとしてるのか、何度も俺に攻撃してくる
「邪魔なんだよ、この軟弱植物が!」
怒りに任せてそれを踏み潰して動きを封じた。
「…やめろ」
鎖が揺れる音と同時に目の前にいる此奴は苦しそうな声をだす。
「おいお前、そろそろこっちに付く算段は立てたか」
「生憎…環境をこんな…汚染するような連中に…付く気なんぞ毛頭ない…」
絞り出された答えは、拒否だった。
「おいおい、まだ頑なに断るつもりか? 後が辛くなるだけだ、
さっさと諦めろ、楽になるぜ」
言葉で強請ろうとするが、重々しい声で此奴は続ける
「お前は知ってるのか…この国の現状を…お前達が汚れた水を川に流したせいで…
ここの水は腐敗し…土は渇ききってしまっている…
こんな所じゃ…人はおろか…植物だって生きていけねぇ…何処もかしこも
悲鳴に溢れてる…ここは…地獄だ」
間断なく喋り続ける此奴に段々と倦厭する
仕方ないだろう、ここを守っていたおでんや侍共はカイドウさんに負けた、
加えてそこに君臨したのは、私腹を肥やす蛇野郎。
…この国の人間は自分の愚かさに気付いちゃいない。
負けた奴にゃ、勝った奴に好き放題される、それがこの世界の掟であり、
あの人が掲げた大義だ
「カイドウさんが目指す世界を創る為だ」
「なら…尚更、御免蒙る…俺はここを…こんな地獄にしたお前達を…
決して許しはしない、お前も…カイドウって奴も…あのプテラノドン野郎も」
力のない足を踏み締めてこちらに突っかかる。
捕縛時や牢屋内で負った怪我と幾分も打たれた薬で弱っていたはずだ。
だが、ボロ雑巾のような此奴の瞳には淡い藤色の光彩が未だに宿っていた。
どうやら此奴の心はまだ折れきっていないらしい。
今の此奴の顔は昔、研究所で1、2度見たあの時とは違う。
この諦めの悪さは何処からきたのか、クイーンには考えつかなかった。
「面倒くせえ」
クイーンが呻いていると、突然外から衝撃音が聞こえた。
音の正体に頭を抱えそうになるが、今はそれどころじゃない。
「おい…今の音は、一体…っ」
音に気づいたらしい此奴の首に薬を打つ。
何本も打ったその首筋には注射針の痕が複数残されていた。
「おれ達に付く気がねえなら、無理矢理こっちに引き入れるだけだ」
数分も経たないうちに、牢屋内に血を吐くような絶叫があがる。
植物でもある此奴にはグリホサートをベースにしたこの薬がよく効くらしい。
完璧に洗脳する為には、もう少し脳にダメージを与えないとな
鎖の音が大きく響く、どうやら痛みによって苦しみ悶えているようだ
主の声を聞いたらしい蔦は、おれの足元でジタバタと動いている。
「暫くここに用はねえ、精々自分の意地の悪さを後悔してるんだな」
蔦を蹴り飛ばしながら、後ろを一瞥することなく牢屋を出た。
鍵を掛けながら辺りを見回すと彼奴の姿はなく、近くには大きく凹んだ壁が
残されているだけだった。
「あの野郎…」
既にいないそいつに怒りを覚えながら、おれは持ち場に戻った。
奴とキングの馬鹿との間のことなんざおれは知らねえ。
唯一分かるのは、おれには関係ねえって事だけだ。