日常
青い監獄に行く数ヶ月前の話です。平日の朝8時、普通の学生ならば学校に向かっているだろう時間。
とある高級ホテルの一室。二人の男がいた。一人は幼さが残る顔をした高校生の男子、もう一人は三・四十代の男性だ。
「じゃあ、今日の分だよ」
「有難うございます」
「いや、こちらこそありがとう」
「またの機会がありましたら、よろしくお願いします」
「……あぁ、うん………………連絡するね」
目的のものを男から受け取って、いつも通り礼を述べる。
……封筒の厚みが少し減ってるな。もう金がなくなっているのだろう。“次“の話しをした時もいつもより少し躊躇いがあった。あと3・4回でこいつから切ってくるだろう。
「…では、これで失礼します」
「っ!、あ、あの、もし良かったら……………」
「……う、あ、……………その、………」
んだよ、どもりすぎだろ。ハッキリ言え
「どうしました…?」早く言えよ。
「……………お、送って行こうか?」
あ〜〜〜〜〜そういうパターンね。
家知って押しかけようって魂胆だろ?なーに調子に乗ってんだよ。キモっ!
「……ごめんなさい」
「えっ?」
は?いやなんだよえっ?って。お前にとってはそれ決定事項だったのかよ。断れられると思ってなかったのかよ。ますます気持ち悪い。
「気持ちは嬉しいんですけど………その……以前ストーカーにあってしまって…誰かに家を知られるのはちょっと……」
別に嘘は言ってない。まだフリーになったばかりの頃酷い目にあってしまったので。
「あぁ、じゃあ仕方ないね、」
「はい……では、これで。ありがとうございました。………またね、---さん」
と控えめに手を振って別れた。