愛を誓う

愛を誓う


───突然だが。わたし達は、わたし達を召喚したカルデアのマスター・藤丸立香だけのものだ。わたし達は妹であり、恋人であり、お嫁さんであり、たまに専用肉便器である。

…肉便器の単語で誤解しないでもらいたいが、お兄ちゃんとはちゃんと仲を深めあっているし、一般に「尊い…」と言われるようなやり取りも経ている。肉便器云々も同意ありで行うプレイの一環でしかない。

…お兄ちゃんののアプローチは正々堂々としていて、卑怯な手段を一切使わなかった。…令呪なり催眠なり使ってくれた方が、元の世界の“お兄ちゃん”相手に言い訳できたのに。お兄ちゃんはずるい。

だって、あんな風に愛されたら絶対お兄ちゃんに運命を感じてしまう。元の世界のあれこれを振り切ってでもお兄ちゃんの腕に飛び込みたくなるに決まってる。

結果、わたし達は本心からお兄ちゃんを愛するようになった。甘い声で愛を囁き、恋人に……夫婦になりたいと懇願したのだ。

そうしてわたし達は、男の人とのファーストキスを捧げて、処女を散らして、お尻の処女も散らした。大きな声でお兄ちゃんへの愛を叫び、全身を使ってしがみついて全てを委ねた。

───そう、わたし達は全てを藤丸立香お兄ちゃんに捧げた。これはもう一生消せない事実。わたし達は、元の世界の“お兄ちゃん”ではない相手を愛して、溺れたのだ。

大切な初めてをお兄ちゃんに捧げ尽くしたわたし達は、運命の人と巡り会ったかのような幸福感に包まれていた。わたし達は生まれて初めて感じるそれに身を震わせながら、お兄ちゃんと身を寄せ合って甘い雰囲気に身を委ねていた。


───


少し後……聖杯転臨の結果受肉したわたし達は、痛覚を共有する『死痛の隷属』の術式を応用した刻印を刻んだ。

その結果、肉体がお兄ちゃん専用に最適化され、もう二度とお兄ちゃん以外ではイけなくなった。オナニーも無許可では駄目、他の男なんて完全に論外。

わたし達は、身も心も完全に藤丸立香お兄ちゃん『だけ』のものになったのだ。

そしてわたし達は───。


「イリヤッ…! イリヤ、好きだッ!! イリヤイリヤイリヤイリヤッ!!!」

「美遊ッ! 美遊の気持ち塗り潰すぞ! 元の世界のこと忘れさせて、オレだけの美遊に塗り替えるぞッ!!!」

「オレのものだ…! “クロエ”としてのクロも“イリヤ”としてのクロもっ…! オレだけのものだッッ!!!」

「「「ッ…♥♥♥♥♥」」」


───今日もまた、ルビーとサファイアの力で分身したお兄ちゃんに三人揃って抱かれている。日によっては人型義体のルビーとサファイアも含めた五人同時に抱かれることもあったけど、今日は三人だった。

今日のルビーとサファイアはカメラマン役だ。写真や動画……もう数え切れない程撮った愛の証を増やす、地味ながら重要な役割。

…けど、二人がカメラマンだったのは最初の十分だけだ。今ではカメラをおざなりに固定し、お兄ちゃんを想って赤い髪を揺らしながらオナニーするだけの『女』になっていた。二人とも、切なさのあまり大粒の涙を流して何事か泣き叫んでいる。

…かわいそう、とだけ思う。こっちはこっちで激しく愛し合っているから向こうが何を言っているのかなんて分からない。とりあえず、お兄ちゃんを呼んでいるのだけは分かるけど。


「ぁあぁっ♥ ぁっ♥ …わたし、わたしお兄ちゃんが好きっ♥ かっこいいから大好きぃっ♥♥♥ イリヤスフィール・フォン・アインツベルンはっ♥ かっこいい藤丸立香お兄ちゃんと愛し合うために生まれてきたからっ♥♥♥ だからわたしっ♥ お兄ちゃんのお嫁さんになってイリヤスフィール・フォン・藤丸になりますっ♥♥ してくださいッッ♥♥♥♥♥」

「わたし、わたしもお兄ちゃんのこと好きっ♥ わたしはっ、美遊はっ♥ 朔月でも衛宮でもエーデルフェルトでもなくっ♥ 藤丸美遊になることを誓いますッ♥♥♥ 処女を捧げた、最愛の運命にっ♥ 何度生まれ変わっても永遠に寄り添うと誓いますッ♥♥♥♥♥」

「わたしは最初っからお兄ちゃんのためだけの“クロエ”だけどっ♥ それでも言わせてッ♥ クロエ・フォン・藤丸は“■■■お兄ちゃん”じゃなくてあなただけを愛するって誓うからっ♥ だから聖杯としてのわたしを所有してっ♥ “イリヤ”としてのわたしを愛してッ♥♥ わたしの全部を元の世界から奪い取ってぇッッ♥♥♥♥♥」


融け合うように身体を密着させながら、元の世界の“お兄ちゃん”を、お兄ちゃんを喜ばせるためのスパイスとして消費する。その背徳感と全身に感じるお兄ちゃんの体重が、お兄ちゃんへの深く大きい愛情と重なって、わたし達をどこまでもおかしくさせた。


「イリヤッ…! イくぞ! 染め上げてオレだけのイリヤにするぞッ!! 良いなッ!!!」

「うんっ♥ 来てっ♥♥ かっこいち精子さん来てぇッ♥♥♥ イリヤの卵子全部あげるからッ♥ おなかでお兄ちゃんの赤ちゃんだけ育てるからッ♥♥♥ だからぁッ♥♥♥」

「美遊はもうオレのものだっ! オレだけの藤丸美遊だッッ!!!」

「うんっ♥ うんっ♥ わたし、お兄ちゃんだけの藤丸美遊だよッ♥♥♥ わたしもお兄ちゃんの遺伝子受け継いだ神稚児だけ産むからっ♥ だからッ♥♥ わたしを母様にしてぇぇッ♥♥♥」

「クロッ!! 聖杯の器のおまえに命令するぞッ!! “イリヤ”としても“クロエ”としてもっ! オレだけのものになれッ!!!」

「“このわたし”はお兄ちゃんが受肉させてくれたわたしだからッ♥ だから命令なんてしなくてもお兄ちゃんだけが好きに使って良いのッ♥♥ だからもう二度と“■■■お兄ちゃん”がどうこう言えないようにお兄ちゃんの遺伝子しっかりおまんこに植え付けてッ♥♥♥ お兄ちゃんだけの“イリヤ”にしてぇぇッ♥♥♥」


正常位でのしかかり、愛おしい体重を感じさせてくれるお兄ちゃん。その背に手を、腰に足を絡めて、溢れんばかりの愛を示す。そして…。


「「「ゥウッ…! ォオオオオオオオォッッ!!!」」」

「「「あァッ♥♥♥ お兄ちゃん好きッ♥♥♥ 大好きぃぃいいッッ♥♥♥♥♥♥♥」」」


お兄ちゃんの純愛ザーメンが、わたし達の奥に勢い良く放たれる。わたし達の子宮はそれを一滴残らず受け入れて、お兄ちゃんの精子を全力で歓待した。

…わたし達がお兄ちゃんの腕に包まれて微睡む中、精子と卵子はわたし達のセックスを再演するかのように深く深く愛し合うのだろう。…なんて幸せな卵子達。お兄ちゃんの精子達に全方位から愛されるなんて最高の幸福だ。


「お兄ちゃんと結婚して、藤丸姓になるの……“■■■お兄ちゃん”は喜んでくれるかなぁ…♥ くれるよね…♥ えへ、えへへぇ…♥♥ お兄ちゃんと結婚してお嫁さんになって、赤ちゃん作って、おとーさんとママになって幸せな家庭作るんだ…♥♥ だから、ね? “■■■お兄ちゃん”……バイバイ…♥♥♥ …えへへ……お兄ちゃん、大好き…♥♥♥」

「ごめんね、“■■お兄ちゃん”…。わたし、藤丸立香お兄ちゃんと添い遂げるから…♥ イリヤ達と一緒にお兄ちゃんの赤ちゃん産むから…♥ だからもう、“■■お兄ちゃん”への虚しい初恋は綺麗な思い出にするね…♥ もし再会できたら、お兄ちゃんとわたし達で立派に育てた子供達に会わせてあげるから…♥ だから、それまでバイバイだね…? …“■■お兄ちゃん”…♥」

「あはっ…♥ ミユったら律儀ね…♥ “■■■お兄ちゃん”達に謝る必要とかないわよ…♥ あの人達、わたし達のこと妹としてしか見なかったんだから…♥ だから、妹が誰と結婚しても関係ないわ…♥ …お兄ちゃん……ううん、“あなた”…♥ わたし、サーヴァントで元の世界とはなんの関係もないから…♥ ここにいるわたしは藤丸立香お兄ちゃんの妻だから…♥ だから、“■■■■お兄ちゃん”への気持ち塗り潰して、“■■■お兄ちゃん”とバイバイさせて♥♥♥ 遺伝子植え付けてママにして、妻の役目果たさせて…♥♥♥」


───聖杯としての不可思議な力なのか、わたし達はそう遠からず妊娠する未来を確信した。まるで未来視のようなそれは、わたし達に幸福だけをもたらした。

他でもない“藤丸立香”の精子が卵子に受精し、そして着床する。それを視たわたし達は、新たな命の息づかいと『母親になった』という事実をぼんやりと受け止めたのだった。

…まあ、この話には『トップバッターがクロだった』というしょうもないオチもつくのだが。確かに数年以内に三人とも妊娠・出産したけれど。


───


おまけ:イリヤ達が眠った後の話

旦那様の正常位種付けプレスに、全身を使って応える。三人の魔法少女と同じ要領だ。


『あげますっ♥ わたしのカレイドステッキとしての力もっ♥ 立香さんに都合の良い薬もっ♥ 大事なサファイアちゃんもっ♥ 全部ぜんぶ大好きな立香さんにあげますぅぅううッ♥♥♥』

『私もっ…♥ 立香様のためならっ…♥ 私の能力だろうと、姉さんだろうとあげられますっ…♥ だからっ♥♥ 私達姉妹を立香様のものにしてくださいぃぃいいいッ♥♥♥』


───嗚呼。人型義体が孕む。限りなく人に近いが故に。


『『はぁっ…♥ はぁっ…♥ はぁ、んっ…♥』』

「めちゃくちゃ良かったよ、ルビーもサファイアも…。イリヤ達とはまた違う感じが股間にクるったらない…」

『喜んでいただけたなら、お嫁さん冥利に尽きます…♥ …あ、そういえば知ってました…? わたし達姉妹の正式なマスターが、もう立香さんに変更済みだってこと…♥』

「えっ? …いや、気持ちは嬉しいけど、それだとイリヤ達が危険なんじゃ…」

『美遊様達とは、仮契約の形で契約を維持していますので…♥ これは、あくまで名義上の話……私達の気分の問題です…♥ 美遊様達は、同じ夫を愛する同志ですから…♥』

『言ったでしょう…? 全部あげますって…♥♥♥ わたし達が、世界で一番愛する旦那様に文字通り全てをあげます…♥♥♥』

『…立香様…♥ 私達姉妹は、マスターに相応しい旦那様を愛しております…♥♥♥ 狂おしい程に…♥♥♥』


一糸纏わぬ姿のまま旦那様に寄り添う。貢ぎマゾ? 言わば言え。

…ああ、旦那様が優越感で股間をいきり立たせている。…人型義体を赤毛の美人姉妹にして、本当に良かった…♥

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