愛に満ちた歪んだ男
1………この男は何を言ってるんだ。あんなに嫌がってたじゃないか…それを………
「………ふざけんな!何が受け入れてくれてありがとうだ!彼女はあんなにも嫌がってたじゃないか!」
僕を口火に他の人たちもどんどん男を責める。
「……………」
男は何も言わない
どうした!何も言えないのか!事実だもんな!とっととくたばっちまえ!
どんどん罵倒は加速していく
男は何も言わない。………いや………笑ってる…?
「……はは…あっひゃっひゃっひゃっひゃっ!」
何が起きてる…いや…この白い髪と顔を手で押さえながら笑う姿…まさか…
「“四皇”…麦わらのルフィ……?」
「ん?なんだ?おれの事知ってんのか?」
そんな惚けたことを麦わらは言う。
「まぁ…どうでもいいや…うわ!また漏れ出しちまってる…どうも制御出来ねぇな…」
もっとしっかりしないとな……ししし!
僕たちはとんでもない男に喧嘩を売ってしまったらしい。
「あ…あ…すみませ「ああ!謝んなくていいぞ!」…え?」
「どうせお互い顔は知ってても会うことはねぇんだ!だから気にすんな!」
「え…あ、あn「ああ、でもよ」!?」
「とりあえずここにいる奴らの顔は全部覚えたからな。もしどっかで会っちまったら………………覚悟しろよ」
………………この短時間で…僕たちの顔を…?
「人の顔はあんま覚えられねぇんだけどよ。そこは頑張るよ!ウタのエロいとこ、見られちまったからなぁ…まぁ仕方ねぇよな!お前らも死ぬ前にいい思いできてよかっただろ!」
「なぁ…そうだろ…」
……何で、こんなにも………
「お前はなんなんだ…」
「ん?」
「お前はなんなんだよ!彼女にそこまで執着して、心に一生残る傷を負わせて…それなのに彼女を誰よりも愛してるように見える…!一体何が目的なんだ!」
言ってしまった。四皇と呼ばれる男に…
気に食わなかった。あんなにも彼女を傷つけたのに…優しく見つめるあいつの目が!
「目的…か…ウタが何も気にすることなく生きていくことだな!」
は?
「そうするためにも、まずは海賊王になって、一緒に新時代を作って、色々大変だなぁ!」
心底楽しそうに未来のことについて話す麦わら。
「そうだなぁ…後は…ウタが自由になるにはお前らが邪魔だなぁ…」
はっきりと僕たちが邪魔だと告げる
「………あれ?そういやぁ…何でおれの目的をお前らに話さなきゃいけねぇんだ?」
またあの目だ…ウタちゃんを傷つけていたときにしていた愛に満ちた澱んだ目。
今、僕たちに向けるのは…殺意に満ちた澱んだ目。
「まぁいいや…!さてと…ウタ!“続き”しよう!」
そう言って、疲れ果てて、眠りそうだったウタちゃんを抱き起こす。
「やだ…もうしたくない…やだぁ…」
「そういうなって…ほら、ぎゅーってしてやるから。」
そうしてまた僕たちにとっての悪夢が再び始まった。