愛しの君と泡沫の夢
ゴジモス大好きここは連邦捜査部S.C.H.A.L.E、通称「シャーレ」。その事務所。みんな大好き(?)な先生こと「ゴジラ/GODZILLA」が在中している場所です。いつもはキーボードをたたく音が聞こえますが今日はどうやら聞こえてこない様子・・・。
「「せんせー!遊びに来たよー!」」
そんないつもより静かなシャーレに飛び込んできたのはミレニアムサイエンススクール・ゲーム開発部所属の「才羽モモイ」ちゃんとその双子の妹、「才羽ミドリ」ちゃんです。
どうやらゲームのお誘いに来たようですね。二人の手にはゲーム機が握られています。しかもご丁寧なことに3人分。ゴジラ先生もいっしょに遊べるように配慮したようっです。優しくてかわいいですね。私の推しです(唐突)
・・・・おや?二人ともドアの前で固まってしまっています。何を見たのでしょう?
ゴジラ先生に異変はありません。巨大化してたり、背中にある立派な背鰭が青く発光もしていません。寝てはいますが。
変わっていること、日常の中にいる違和感。それは彼の隣にいる存在でした。
その背は高く、腕や足はまるで昆虫のように細く、背中には蛾のようなきれいな翅が、目はまるで彼を彷彿とさせる透き通るような青。服は黄色や黒、白をふんだんに使ったカラフルな装いをしており、いやでも高貴な存在と認知させるには十分。髪は白に黒、額付近には蛾の触覚のようにぴょこんとはねており、頭の上に浮いているヘイローは蛾のような模様をしていました。
そんな女性がゴジラの頭を軽くなでていたのです。そしてなでているときに浮かべている顔はまるで愛しい人を眺めているかのよう。
「・・・あら?」
どうやら彼女はドアの前に立っている双子に気づいたようです。撫でている手を止めるとすたすたと二人に近づいてきます。しかし足音はその体躯からは想像もできないほどに小さい。
そして二人の前に立つと膝を折り曲げて目線を合わせました。
「えっ・・・と、どなた、ですか?」
意を決したかのようにモモイが尋ねました。対して彼女はうーんとかわいらしく悩んでいるような表情をして人差し指を立てながら考えるしぐさを取ります。
そして何か思いついたかのような表情を浮かべたのち、微笑みながらこう答えました。
「そうね・・・ゴジラ、彼とは”いい仲”ってところかしら?」
「そ、それって大人の関係ってこと?!」
「フフッ、そういうことにしとこうかしら」
そういいながら彼女は二人の手を取ると事務所の中に連れていく。3人はソファーに座るとまた会話を再開させた。
「どこから来たの?」
「ここじゃない遠いところから」
「先生と同じように、キヴォトスの外から?」
「えぇ、そうよ?」
「先生とはどこまで仲がいいんですか?」
「昔からよ。代が変わっても、何度生まれ変わっても、ずっと一緒の仲。例え火に飲まれて消えようとも、例え邪悪が蝕もうとも、私と彼とのつながりは断ち切れないほどに」
「ほぇ~~~・・・なんかロマンチックですね」
「そうかしら?」
そんな話をしているとゴジラ先生が「Grr・・・」とうなりました。どうやらお目覚めの時間が近いようです。
すると彼女はふと寂しそうな表情を見せました。まるでまた大事な人と会えなくなるような、そんな顔を。
「? どうしたんですか?」
「もう行かなきゃいけないわ」
「え、なんで?先生に会いに来たんじゃないの?」
「えぇ。でも直接は会えないの。私は泡沫の夢。彼が起きたらもうおしまい。
悲しいわ、まだ私はここにいない。まだ産まれていないもの」
「えっと・・・何か、代わりに伝えましょうか?」
「・・・いいの?」
「え、あ、はい」
「・・・じゃあ、お願いするわね。
山海経、そこに私はいる。迎えに来て、"あなた"」
次の瞬間、彼女はいなくなった。まるで最初からそこに居なかったの如く、忽然と。
二人は夢でも見てたのかと思ってしまいました。
「Grr」
そんな二人に眠たげな顔を振りながら彼は挨拶してきます。二人ははっとして彼に抱き着きながらまくしたてるかのようにさっき会った女性についた話しました。
最初は落ち着いて聞いていた彼ですが話が最後になるにつれて目を見開いていきます。
「言ってました。『山海経、そこに私はいる。迎えに来て、”あなた”』って」
彼はその言葉を聞いた途端、シャーレの壁を突き破って飛び出しました。二人は慌てて追いかけます。
きっと彼が目指すは山海経。そこに何がいるのでしょうか。今はきっと彼しか知りません。
《個人的解釈という名の蛇足》
・『彼女』は210㎝。今スレ37の彼は220㎝なのでそれより小さいイメージです。
・服装はカラフル以外何も考えていません。皆様のご自由にお任せします。
・『この世界』のルールに沿ってモスラの思念的な何か(魂?)は一時顕現しました。キヴォトス人の特徴であるヘイローがあるのはそのルールのせい。もし無視して顕現すると蛾のような姿になります。
・なんで才羽姉妹を会わせたのかというと『彼女』は歴代の東宝作品の多くで「小美人」という双子の妖精を巫女にしていました。(一部例外あり)
双子ということで丁度いいじゃんと思い、彼女たちには『彼女』のメッセンジャーとなってもらいました。