意外過ぎる遭遇〜空から降りて来た男
通りすがりのSS大好きおじさん【偉大なる航路-前半の海”赤い土の大陸”】その麓にて麦わらの一味達は次の目的地魚人島に向かう為この場所に赴いたのだが、空島の再来を彷彿とさせる向かい方が分からず立ち往生を強いられていた…
「…うーん、確かに指針はこの下を指しているんだけど、向かい方が分からないわね…」
そう言うのはモネだ。航海士というわけではないが博識の3人が探査艇で潜水中の為記録指針と睨めっこをし唸り続けている。それを確認し、探査チームにでんでん虫に連絡をつけたサンジが
「おーい、チャカ、ドレーク、ロー!何かわかるか!?」と確認を入れる、深く潜っているのか少し音が遠いが、声が聞こえてくる。
「水深5000mまで潜ったが、何もわからねぇ、まださらに深く潜らねえといけねぇな」
「これ以上は潜水艇が保たんぞ。きっかけもわからんのではな…」とチャカとローが唸る。すると言いづらそうにドレークが
「あー、悪いが魚人島は海底1万mだ、恐らく空島の時と同じく、通常の方法では行けんのだろう。何か別の方法を探らねば」と今更な指摘をする。それを聞いたローとサンジが
「「早く言えよ!そう言う事は!」」とツッコミを入れる。どうやら言うタイミングを逃していたらしい。
「まぁ落ち着け、此処で争っても仕方がなかろう、取り敢えず浮上させるぞ」とチャカが落ち着かせでんでん虫を切り潜水艇を浮上させる。
「参ったな…これじゃ手詰まりだぞ、憧れの魚人島…麗しの人魚のレディ達にもう少しのところにいるってのに、こんな障壁があろうとは…!」と悔しげに言うサンジ、それを見たゾロが「アホか」と切り捨てる。それを聞いたサンジが「アァ!?んだと、クソマリモ!」と返し2人は喧嘩し始める。それを見たモネは呆れて
「もう、2人とも喧嘩しないの。ルフィ?どうしましょう、このままだと魚人島に行けないわよ」とルフィの意見を求める
「魚人島に行けねぇのは困るぞ!でもなー、行き方がわかんねぇしなー、空島の時は空から龍のおっさんが降ってきて生き方がわかったんだけどなぁ、また空から親切なおっさんがふってこねぇかなー」と空を見上げて唸りを上げるルフィ。それを見たゾロは
「そう都合よく空飛べる人間が居るわけねぇだろ、ありゃ運が良かっただけだ」と喧嘩は終わったのかそのように対応するゾロ。
「空から人って…そりゃ神じゃあるめぇしそんな人がホイホイ降りてくるわきゃねぇだろ」とどこか冷めた反応をするサンジ。すると空を眺めていたルフィが
「ん?なんだありゃ!空からなんか近づいてくんぞ!」と指摘する。現に空から黒い物体が急接近している。よく見るとそれは“翼”が生えており、そして背面に当たる部分には“炎”が灯されている。そしてそのフォルムはかつて“リトルガーデン”の空でみたある恐竜の姿と酷似しており…それを見たモネが「…プテラノドン?」と呟く。
「「「ぶつかる〜‼︎」」」
3人は慌てるが船の直前で減速し“ソレ”はプテラノドンの姿から“人型”に変形した、つまり能力者だったのである。
その男の特徴を上げるならば、全身は真っ黒だ頭の天辺から足の爪先に至るまで真っ黒な事だ、だがそれ以上に目を張るのは背中の“翼”、人型であるにも関わらず、まるでこれが普通かのように備わっている。さらには背後に宿る“炎”、これもまた普通であるように燃えている。その男は見た目の情報が多すぎた。4人は呆然としていた。沈黙に耐えかねたのかその人物、6メートルを超す巨漢の男は物事を訪ねてきた。
「お前たち…麦わらの一味だな?何故こんな所で停泊している。此処はマリージョアの麓だぞ、頭が飛んでいるのか」と開幕に罵倒の言葉を飛ばしてくる炎の男。それに反応したのはやはり珍しいもの好きで恐れ知らずのルフィだ。気のせいか目もきらびかせている。
「俺達よ!魚人島に行きてぇんだよ!でもな、行き方がわからねぇから仲間の3人が潜水艇でちょっと調べてるんだってよ!まぁ深すぎて無理だったみたいだけどな!ししし!それよりよ!お前その背中の羽と炎どうなってんだ!?熱くねぇのか!?しかもさっき恐竜に変身してたよな!俺の仲間にもよ!恐竜に返信できる奴がいるんだよ!気が合うかもなぁ!」と一気に言葉を捲し立てる。その様子に苛立ったのか炎の男は
「うるせぇ!一気に喋るんじゃねぇ!ったく落ち着きのねぇガキだ…」と一喝する。すると何か思いついたのかルフィが
「おめえよ、魚人島の行き方とか知らねえか?俺達どうしても魚人島に行きてえんだよ、情報の対価ってんなら…食糧とか少しぐらいやるからよ!」と普段のルフィからはあり得ない案が飛び出す。東の海からの付き合いのゾロとサンジは驚愕し海に向かい
「「ルフィが人に食糧を上げたああ‼︎」」と叫び出す。モネも言葉には出さないが驚愕の表情だ、「「嵐が来るぞおおお‼︎」」とまだ叫んでいる2人に対して炎の男が
「おい、あれほっといて良いのか、お前の仲間だろう」と呆れた声を出す。それに対しルフィが
「シッケイな奴らだな!俺だって我慢できるんだぞ!で教えてくれんのか?」
「…はぁ、もういい…おい女この袋に食料を纏めろ、行き方ぐらいなら教えてやる。付き合ってられねぇ」と袋をモネに差し出す。
「何か、ごめんなさいね?騒々しくて」と困り顔のモネが袋を預かり食糧を纏め、持ってくる。食糧を受け取った炎の男は口を開き説明を始める
「よし、一度しか言わねえからよく聞いておけ、魚人島へは通常の方法では行けねえってのはもうわかっただろう。だが船ごと行く方法がないわけじゃねえ。船を特殊なシャボンでコーティングして潜水すりゃ良い、それで魚人島に行ける。俺から言えるのはこれだけだ、本来此処まで親切にしてやる義理もねえしな。コーティングの仕方とかはお前達で探せ、元々俺は別件でこっちの海に来てたんだ、これ以上馴れ合うつもりはない、じゃあな、生きてたらまた会う時があるだろう」とそう言い残しプテラノドンに返信し飛び去っていく、それを見送るルフィが
「いろいろ教えてくれてありがとうなー!また会おうー!」と言い別れを済ませた。その後結局どこに向かえば良いのかと言う2人を側に潜水艇が浮上してきてその後を着いてきた海獣の中に居た人魚と遭遇するまで、ゾロとサンジは叫んでいた。
場所は移り【偉大なる航路-遥か上空】では炎の男が思い耽っていた。
(あの人が言っていた通り…面白いガキだったな。恐れ知らずで物怖じしない、生意気ではあるがそれは逆に言えば実力に返ってくる。まだ2種の覇気が使えるわけじゃなさそうだが素質はある。寄り道で一眼見るだけの価値はあったかもな…)そう心情を思い、こちらに来ることになった経緯を思い出す。
以下回想
【偉大なる航路-新世界、鬼ヶ島】この島の一室で2人の男が対面していた。
「カイドウさん、楽園側の縄張りからの報告が少し滞っているようだ、念の為俺が確認して来る、終わり次第すぐ戻る」と炎の男が対面にいる脇腹に特徴的な十字傷を刻んだ男“カイドウ”にそう報告する。
「あぁ構わねえが…あぁ楽園側と言やぁ、最近政府の中枢が落ちたらしいな。ウォロロロ…やったのは麦わらのガキ共だ、懸賞金も上がってた。生意気な奴だったがそう言う奴ほど部下にした時の戦力はデケェ…」とそう言うカイドウに対し
「じゃあそいつらの勧誘もしてきましょうか?」とそう投げかける炎の男。するとそれに対し
「いや、楽園側に行かなくてもあっちから来るだろう。勧誘はその時でいい、それにまだ熟してねぇ、だが気になるなら一眼見てきたらいい」とそう言い、提案を断った。
「…?わかった。じゃあすぐに済ませて来る」そういうと炎の男は部屋を飛び出しプテラノドンに変身すると。物凄い速さで飛んでいった。回想終
「確かに未だ未熟。だがあいつらはすぐに俺たちの元に上がって来るだろうな、勧誘はその時だ」炎の男はそう言うとワノ国に向かいスピードを上げた
【新世界-ワノ国、鬼ヶ島】百獣海賊団の本拠地である一室に3人の巨漢がいた。1人は凄まじい筋肉を搭載しており船長でもあるカイドウ、その表情はやや厳しい。もう1人は団子のような体型をしているが鈍重さを感じさせない、カイドウの左腕たる大男は鼻歌混じりに最後の1人の巨漢の報告を聞いていた。
「ーー以上が今月のあがりになってます、カイドウさん、すまねぇ、俺が担当しておきながらこの不備は申し訳が立たねえ」とその表情はどこか暗めである。
【百獣海賊団最高幹部−“旱害”のジャック】ドン‼︎
それを見た側にいた大男が
「オイオイ、“ズッコケ”ジャックよぉ、海賊があがりにケチつけちゃあおしまいよ!見せしめに何人か殺すか、建物をぶっ壊してやりゃあいつらもまた分かるだろう、俺たちに逆らっちゃいけねえって事をヨォ」
【百獣海賊団最高幹部−疫災のクイーン】
ドン‼︎
クイーンはジャックにそう促す。すると沈黙を保っていたカイドウが
「よせクイーン、あがりにケチをつけたらしまいなのはそうだが、下手に労働力を減らしちまったらその分あがりが減る、俺もお前らも加減ができるわけじゃあねぇ…労働力が減っても奴隷を補充すればいいが、今派手に動くのはちと不味い。見ろ今朝の新聞だ」カイドウはそう言うとクイーンに新聞を投げ渡す。
「なになに?白ひげ海賊団2番隊隊長“火拳”のエースをインペルダウンに収監ン⁉︎おいこりゃマジか!?一体誰が…下手人は黒ひげ…誰だこいつ?この結果を元に政府は黒ひげを王下七武海と認定、クロコダイルの空いた穴を埋めたと…」と記事を読みいつものオーバーリアクションを取るクイーン。それに反応したジャックが
「黒ひげ…聞かねえ名だがそいつがクロコダイルの後釜になったと、手配書が見当たらねえ事を考えると元々の懸賞金は0…つまり未知数と言うことか、政府も思い切ったことをする」
「あぁ、だが決して弱いわけじゃねえだろう、“火拳”のガキは白ひげの船の2番隊隊長だ、それを打ち取り手土産にしたってことはそれ相応の実力はあるってことだ、決して政府がトチ狂ったってわけじゃねぇ…だが本題はそこじゃねぇ、結果がどうであれ白ひげは動く」白ひげとは良くも悪くも付き合いが長いカイドウはその経験から白ひげの動きに予測を立てる。そこに…ガララ
「すまねえ、カイドウさん今戻った。楽園側の縄張りの報告書だが、こっちで纏めておいた、それと現況は道すがら聞いてきた。念の為と思いあいつらも読んでおいた」
【百獣海賊団最高幹部−“火災”のキング】ドン‼︎
自然と部屋に入ってきた炎の男、この男こそが百獣海賊団の最後の最高幹部なのだ。そしてその炎の男の後に続き入ってきた複数の男女たち。
「おう!戻ったか“キング”!これで全員揃ったな。いいかお前ら!もう知ってるだろうが近々白ひげ海賊団と海軍本部のデケェ戦争が必ず起こる!急いで準備を整えろ!戦争だ!ウォロロロロ‼︎」声を荒げ指示を出すカイドウ。その顔には狂気の笑みが含まれている、それは何れ起こる大戦争への渇望か、あるいは未だ合間見えぬ“解放者”への遭遇かその真意は本人にしかわからない…