想定外と予想以上

想定外と予想以上


トーマス side in

時は少し遡る、ライダー達が工房より撤退してすぐ。

「いやはや…だいぶ派手にやられてしまったな」

粉々になったゴーレムの群れと破られた壁を見ながらトーマスはぼやく

「マスター、追う必要は?」

「いや、必要は無い。もう一度こちらに来るだろうからね」

「了解した」

既にホテルの下では通報を受けた警察がクレーターの周りを捜査していた。

全く、若いものたちは無茶苦茶をしてくれる…

セイバーの消耗はないが工房自体がめちゃくちゃだ、ゴーレムの生成機能はバーサーカーに破壊されてしまったし結界も防音のもの以外の起点は壊されてしまった。

「ふぅむ、攻めるべきか…いや、工房の私への支援効果自体は無くなっていない」

攻めるよりも工房で迎え撃つ方が良いと結論づけ自身が寝泊りしている部屋へと戻ることにする。

残っていた数少ないゴーレムたちに部屋の整理と邪魔になっている貫通された壁の片付けて指示し部屋へ戻る。

「セイバー、念の為此処で彼らが来ないか見張りを頼む。使い魔に魔力を回す余裕が無い」

「了解した、マスターは休んでいてくれ」

その言葉と共にセイバーは一面が破壊され地上を見下ろせる場所で見張りを開始する。

「ライダーの傷は簡単に癒えるものでは無い、彼ら自身の魔術の腕では傷の治癒は難しいだろう。早くとも2日はかかる、それだけあれば工房も多少持ち直す」

そう言いながら部屋でワインを片手にソファで優雅に休む

「さて、お手並み拝見だな少年たちよ」

トーマス side out


神永 side in

襲撃翌日、朝日の眩しい時間帯のこと

昨夜、何故か美作達が泊まっていったため客間に俺とバーサーカー、俺の寝室にライダーと美作が寝ることになった。で、目が覚めた訳だが…

「お、重てぇ…」

バーサーカーの丸太のような足が俺の腹の上に乗って動けなくなっているのだ。

「ば、バーサーカー…足退けてくれ…」

「へへっ、たいしょおぉまだまだいけるぜぇ…おかわり…」

なんてテンプレじみた寝言だ…しかも腹までかきやがって…

「ムぐぐぐぐぐ…ブハッ、無理だ…」

朝飯作ろうと思ったんだがこれじゃ無理だ…

「お〜い、美作…助けてくれ〜…」

仕方ないので助けを求める、が起きてくる気配がない

なんかムカついてきたな…

「おい、バーサーカー起きろ」

「ンガッ…ゴゴゴゴゴゴゴ」

「いびきでかき消されてやがる…」

と、とりあえず何とか脱出しねぇと…ともがいていると襖が開いて

「主殿!おはようございます!!」

「ライダー!助かった…この足退けてくれ…」

「畏まりました!」

そう言ってライダーはバーサーカーの足を持ち上げ抜け出せるスペースを作る。そこから何とか抜け出した。

ライダーがいて助かったぜ…

「ありがとうライダー、傷は大丈夫か?」

「ええ何とか、しかしあの札の礼装破格の性能すぎますね…」

そう言いながら体をぺたぺたと触っている。1晩十分な魔力を供給し続ければ骨を繋げることさえ可能な回復礼装だ、使い捨てなのがもったいない位だが仕方あるまい。それを複数使用したのだ相当な回復になったはずだ。

「まぁ俺じゃ作れないから減る一方なんだがな」

「そんな貴重なものを!」

「いや、作り方はうちの書を漁りゃ多分出てくるから気にすんな」

「ですが…」

「いいんだよ。さ、飯作るから手伝ってくれ。タダでさえ食いそうなバーサーカーがいるんだ、時間かかるし人手が欲しいんだ」

「わかりました!」

そう言って2人で朝食を作りながら他愛のない話をした

───

「いやぁ美味いな!おかわり!!」

モリモリとバーサーカーが山盛りの飯を平らげからの茶碗をこちらに差し出してくる。

「はいはい、さっきと同じ量でいいな…ほれ」

「おう悪ぃな!しっかし隼人のメシうめぇな!」

「一人暮らしなもんでな、美作もいるか?」

「私は十分よ、ごめんなさいね朝食まで頂いちゃって」

「別に気にすんな」

「主殿!私もおかわりください!」

「はいよ、ほれ」

「ありがとうございます!」

サーヴァント二人は遠慮なく飯をかっくらっている。

こりゃ漬物も足りなくなりそうだな…。

「んで、今晩にもう1回殴り込みだな?」

「そうね、予想以上にライダーの回復が早かったのはいい誤算だわ」

それは本当にその通りだ、間を開けずに攻められるのはデカい。

「一先ず今晩まで休みつつ準備、日が落ちたら攻勢に出る、それでいいな2人とも」

「ふぁい!ふぁふぁりまふぃふぁ!」

「おふ!まふぁふぇふぉふぇ!」

「せめて口の中の米を飲み込んでから返事しろ…」

そんな緩い感じだが方針が決まった。

───今晩でセイバー達と決着をつける

神永 side out

Report Page