情熱に溶ける雪
若様が敗北した日から二日目。
麦わら達が潜んでいる家から少し離れたこの場所で、私は彼の目覚めを待っている。
あの日あの時あの島で、私に体温を奪われ死にゆく彼に最後の思い出を。
ほんのちょっとした気まぐれで行った行為が巡り巡って私をこの島に行き着かせ、そしてかつて王と戴いた男の敗北と、人生の大半を過ごした組織の崩壊を見届ける事になった。
その戦いに私自身が関与することは一切できなかったが、果たして私一人が加わったところでこの結末を変えられたのだろうか?
ファミリーと敵対した彼らにより大きな被害を与える事はできただろう。
だが、一定以上の強者に対し私の強さで影響を齎すことができるかと問われれば……私自身はノーと答えるだろう。
若様はそんな次元の強さだったし、その若様を一時とはいえ追い詰めたローも、紆余曲折を経ながらも打ち破った麦わらもそういった次元の海賊なのだから。
もちろん戦闘能力と勝敗は別だ。ただ、真の強者はそういった弱い者なりの工夫による一刺しすらもどうにかしてしまう。
彼が実際にそうだったように。
そうして一人佇み、物思いに耽る私に近づく誰かの気配。
誰かはとっくにわかっているけれど、あえて問いただす。
「こんな夜更けに、誰かしら?」
「なんだよつれねェなァ……。モネ、おれだよ」
「うふふ。ごめんなさいね、ちょっとからかっただけよ。もう出歩いていいのかしら?」
「ちょっと散歩してェっていったら良いっていわれたぞ?」
なんてことないように言ってるけれど、きっと彼の仲間はだいぶ強く反対しただろうし、ここにいるという事はその反対を押し切り、傷つき疲弊した体で来てくれたのだろう。
どうせ私には逃げる場所も隠れる場所もないのだし、回復してからでもいいでしょうに。
そこまでして会いに来てくれたことに嬉しさにも似た感情がこみ上げてくる。
ああ、駄目だ。パンクハザードでのあの出来事で彼の心がこちらに向いたのは思いもよらない収穫だったけれど、私のココロも彼に焦がされてしまっている。
激闘とそれによる重症。一日休んだとはいえすぐに治癒するはずもなく、今の彼に無理をさせるのは良くない。
良くないとわかっているが、こうして出会ってしまった以上止められない。もう止まらない。
「ほら、どうぞ」
翼を広げ彼を迎え入れる体勢を取ると素直に近づいてきて、私に抱き着いてくる。
「ん……なんだか、すげェ久しぶりな気がする……」
「ふふ、私もよ」
こちらを抱きしめてくる彼を抱きしめ返す。といっても私の腕の大半は鳥の羽なので、抱きしめるというよりは包み込むといった様子だが。
ただただ抱擁を交わす。
暫しの間、鼓動が聞こえるのではないかというくらいの静寂の時を過すと羽の中でルフィが身動ぎする。
まあ、そうよね。
「ルフィ……あなた、これはいったいナニかしら?」
「うっ、あっ!? やめっ」
羽の先端でズボンの上からおちんちんを撫ぜると、声を上擦らせたルフィが止めてくれと懇願してきた。
といってもそれは言葉だけの抵抗。本気で嫌なら今の状態の彼でも私を組み伏せられるのだから。
「やめていいの? ほんとうに? こんなに熱くて、硬くしてるのに?」
上着とズボンの隙間から羽を滑り込ませ、包むようにしておちんちんを握る。
感じるこの熱さは私が雪人間だからというだけではないだろう。
この熱さは快楽と、なによりも女を求める彼の欲の高まりそのものなのだから。
「うあ、ああ……あっ、あっ、うっく、ふあっ、あ~……」
優しくくすぐる様に、時折圧迫するように強めに、強弱や速度を変えつつ扱いてあげるとなんとも気持ちよさそうに喘いでいる。
このまま果てさせてあげようかなとも思ったけれど、替えの衣服が無い状況で服に付くのは戻り辛いだろうなと思い、いったん羽を抜く。
「あっ、え?」
その事が予想外だったのか、あからさまな不満の声が聞こえる。
「ふふ、ちゃんとシテあげるわよ。その前に……服、脱ぎましょ?」
「! お、おう!」
あの時もそうだったけれど、ほんと素直よね。そんなところが可愛いのだけれど。
「よし、全部脱い……あ、ズッケェ!」
「私も全部脱いであげたのに……ズルイなんて酷いわ」
羽先で目元にふれ、ヨヨヨと泣き崩れる私にルフィは冷たく言い放つ。
「それ、うそなきってやつじゃねェか。おれは騙されねーぞ」
「ヤダ、バレちゃったわ。それじゃあお詫びに」
「んひっ、うあ、いきなりっ」
全裸になる前から既に硬くなっていたおちんちんは、私の裸を想像した結果かますます硬く反り返っていた。
それがさらに大きくなるよう、根元から引き出すように絞り上げるとルフィは早くも足腰を震わせ始めていた。
「私、知ってるわよ」
「うゥ……あ、うぐ、は、ああっ、なにっを……?」
強めのストロークで扱きながらの私の呟きに、律儀に反応してくる。
直接の刺激もだけれど、言葉による耳からの刺激も結構イイみたいなのよね。だから、会話を続ける。
「あなたの大きさ、まだまだこんなものじゃないってことを、ね」
「うあっ、そンンッ……っく、う」
さっきよりも確実に大きくなってるけれど、まだまだ。だって……。
「あの島で、ナカで感じたあなたの大きさと比べたら、ね」
「っ!? うあ゛、あ゛っ、は、あっ、ああ~~、ッァ~~……」
そう告げた瞬間、ルフィはあっさりと射精してしまっていた。
言葉攻めが効きすぎたのか、あるいはあの日の出来事を思い出して興奮しすぎたのか。
なにはともあれ、あの時のセックスで私の奥深くまでとどいた感覚と、今目の前にあるルフィのおちんちんとでは明らかに違いがある。
今でも十分、それこそ彼の体格からすればかなり大きいレベルだけれど、自らの胎の内で感じた確かな経験と比べるとまだまだ大きくなれると確信にも近い思いがあった。
もっとも、そこまで行く前に一度目の絶頂を迎えてしまったみたいだけれど。
「んもう、もうちょっと堪えられると思ってたのに」
「う、あ……わり、ィ……なんか、すげー……スゲェきもち、よくって」
射精時は早々の体力を消耗するためか、肩で息をしながらも弁明してくるルフィ。
一回目でこれなのだから、やっぱり今日はもうやめた方がいいんじゃ。そう思い口を開こうとする私を制したのはルフィだ。
「らいっ、だいじょうぶだ……! ちょっと、疲れやすいけどよっ」
「……本当に大丈夫なの? ここでヤりすぎて死んじゃうとか無しよ?」
「おう! 来る前に肉たっくさん食ってきたしな! それによ」
「それに?」
「……おれ、モネと気持ちよくなりてェんだ。あんときはしてもらうばかりだったしよ」
「っ……!!」
ああ、もう。
してもらったもなにも、ある意味あれは私の気まぐれで、いわば自分本位でやっただけのことなのに!
ヤダ、絶対顔赤くなってるわ私。これはもう、責任とってもらうしかないわね。
「言っとくけれど、私は止めたわよ。何度も」
「おう、大丈夫だって!」
「そう、それじゃあ……」
「えっ、モネ……?」
一向に止める気が無い彼と、止まる気が無い私。
お互いに求めあう気持ちは一つだけれど、背中を向ける私にまたもや不安げな声を向けていた。
大丈夫、安心して。
「……んっ。ほら、後ろから、ね」
止まる気はないけれど、それでもギリギリのところで自制心が働いている。
今日のルフィ相手に私が動いてしまうよりは、ルフィ自身のペースで動いてもらった方が無茶しすぎることは無いはず。
それになにより、私にも気持ちよくなってほしいというルフィの想いを満たすには彼自身が動いているという実感を得られるのも大事だろう。
お尻を突き出し挿入しやすいように自ら広げるこの姿勢はかなり恥ずかしいが、それが功を奏したのか喉を鳴らし、獣欲に満ちた瞳で私を見るルフィが一歩、また一歩と近づいてくる。
「ハァ、ハァ、モネ、おれ、おれ……!」
「いいわよ、きて。いっぱいきもちよくしてね」
「っ!!」
互いの性器が触れ合い、ルフィが腰を突き出すか、私が押し付けるかすればあっさりと入る、
それくらい近づいたところで興奮を抑えきれないルフィが訴え、それを許可する。
その瞬間、一息で最奥まで、あるいは根元まで突き入れられる。
「ゔあんっ!? ひあっ、あつ、うあ……」
「うぐあ、あうっ、ううゥ……ゔ~……」
それと同時に感じるのは膣内を満たしていく熱い迸り。
入れた直後に絶頂し、直前のお預けもあってか滾る欲望を余すことなく注がれていると認識できたのは射精開始から暫くしてからだった。
「ひあ、あっ、や、まだでてっンゥ、なんっで、うごいてっ」
普通であれば射精中おちんちんへの刺激は強すぎて男性はほとんど動けないはず。
最初の時もそれで体を痙攣させる彼を思うさま貪った記憶もある。
だというのに、射精を続けながらもルフィはこちらの膣内を抉り、出したばかりの精子を掻き出しながら新たに塗り込むように精子を吐き出してくる。
「わかん、ねェッ! わかんねェ、ケド……! とまらねェんだッ!!」
「あ゛っあ゛、やっ、はげしっ、うあっ、あし、ちから」
「うっく……ああ、ああっ、モネ、モネェ……」
「ひぐっう、や、これ、あああっ!? やあっ~~」
射精は一度止まったものの、少しも萎える事無くルフィのおちんちんはこちらを攻めたててくる。
予想よりも激しく長いピストンに脚から力が抜け、四つん這いに近い形で地面に倒れ伏すと、繋がったままのルフィは当然私に覆いかぶさる形になる。
つまりは、より体重をかけた突き込みが角度をもって私に襲い掛かってくるという事。
それは当然ルフィにも新たな快楽を生み出しているのだが、それに耐えながらもひたすらにを抉り擦ってくる。
最初はこちらの腰やお尻の近くを掴みながらの付き出すような腰使いも、いつのまにか背中に抱き着くように密着した姿勢から小刻みな物へと変化していた。
「あうァ、ア~、う、くっ、ア~~」
「ハァッハァッ」
幾度か絶頂してもとどまる事を知らずに叩きつけられる快楽のせいか、私の口からは涎と意味をなさない音しか出てきていなかった。
頭の中は気持ちいい、もっと、はやく中に出してと貪欲に快感を求めるのみであり、一方のルフィももはや荒げた呼吸をするだけだった。
「あ、イ゛ッ!? イ゛アッ……あ゛……く、~~っ。……ひっ、ハッ、はヒッ、ひゥっ」
「ゔおっあ、が、うっぐ……くあ、っは、あ……あ゛あ゛~」
空気を入れ続けた風船がやがて破裂するかのようにその時はやってきた。
積もり積もった快楽が弾け、目の前が真っ白になったと錯覚するほどの刺激が脳内を蹂躙する。
私の絶頂と前後してか、あるいは同時にか。ルフィの方も堪え続けた腰からくる衝動を解き放ち、その解放感と快楽に身を委ねていた。
私もルフィも快楽によって体を痙攣させ、自身の体の震えと相手の震えとでさらに快感を得て……落ち着くまでに要した時間は決して少なくはなかった。
もっとも、多少落ち着いて動けるようになったらまた始まってしまい、本当の意味で行為を終えられたのはもっとだいぶ先の事だったけれど。