『悪魔』VS自然を愛する者達による死闘の決着。

『悪魔』VS自然を愛する者達による死闘の決着。

総合スレPart3の>>76

 エンドポイントに迫っていたガイアデルムをメル・ゼナとオオナズチが急襲し、そこから数km先の近海である無人島で二人は仰向けに倒れていた。

「・・・ゼェゼェ。全く歳は取りたくないのじゃの!ガイアのクソガキを仕留め損なうとぁ、儂も歳老いたってことかのぉー」

 そう言ってナズチは体中が内側から熱せられていると錯覚する程の痛みと高熱に苦しみながらそうごちる。

「我はまだピチピチの十代後半だぞ・・・お前の様なババアと一緒にするでない」

 一口に自分も年寄りだと言われたメル・ゼナはそう講義する。

 そう愚痴りながらもメル・ゼナもナズチと同様に痛みと高熱に苦しみながらも彼女に肩を貸し、立ち上がる。

 あの一週間にも及ぶ戦いの決着からまだ一日と経っていない。

 その最終盤で二人が自分の予想以上に強く、敗色濃厚なのを気にしているガイアデルム。

 それを無意識に感じている自分を認識し、プライドが傷付けられたのか、功を焦っのか、ガイアデルムはキュリアを二人の体内に大量に侵入させその命を奪わんとする。

 キュリアは星の生命エネルギーすらも喰らい尽くす暴食の権化にして、どんな生命も殺す猛毒だ。

 それ故にガイアデルムは勝利を確信し、悪どい笑みを浮かべる。

 ────しかし、皮肉にもそれがガイアデルムの命取りとなった。

『『この程度ぇ────終わってたまるかぁ!』』

 そう言って二人は自らを蝕むキュリアを逆に吸収し、我が物にせんと足掻き始めたのだ。

『ディハハハハハハ!貴様等はここでキュリアによって果て、世界は俺の手によって滅びるのだぁ!』

 勝利を確信したガイアデルムは高笑いを浮かべる。

 ガイアデルムは“それ”を今まで奪い、踏み潰す側だから知らなかったのだろう。

 絶望的な状況でも尚諦めず足掻く“真の勇気”の力を、

 二人は知っていたのだろう。

 希望が無くとも諦めず、尚も足掻かんとする“真の勇気”の力を、

 ────その違いが、勝敗を左右する。

 誰かの為に絶望に抗わんとする諦めず、希望を探し、可能性を作り出さんと足掻く真の強者───“勇者”にこそ勝利の女神の天秤は傾くと相場が決まっている。

『ディハハハハハハ───何ィ!な、何だ!その紅い光は!』

 二人の身体がキュリアを纏うガイアデルムよりも優しく、より明るく光る。

 更にガイアデルムは二人の身体に侵入させたキュリアの支配権が奪われている事に気付き、聖地にて聞いたとある伝承が頭を過ぎる。

《動物系の悪魔の実には意志が宿っている》

 ・・・・もしこれが本当であったら選ばれたであろう人物を殺し、奪った自分は選ばれず。

 真に実に選ばれ、それを服従させた彼等にこそキュリアは使えるのでは無いかと。

『そんなものは幻想だぁ!』

 それを無理矢理頭から追い出そうとしてもそれが頭にこびり付き、離れない。

 ────それを証明する様に彼等二人は優しく、美しく紅く輝きながら、拳を握り締めて殴りかかって来る。

 覇王色を纏ってガイアデルムは応戦するが────

『──何ッ!何だと、貴様等如きが俺と拮抗するかぁ、小物達風情がぁ!』

 そう二人の拳はガイアデルムの拳と拮抗し、それを徐々に押していく。

 更に二人は元から持っていたのか今新たに目覚めたのかは定かでは無いが、覇王色の覇気に目覚めた。

 それを無意識に纏い二人は尚も抗い───遂にそれを、『悪魔』を見事打ち破った。

 しかし『悪魔』の死体は残らず、行方が知れないので気を緩めず、探さうとすると・・・

《後は私に任せなさいな。・・・我が子達に選ばれし可愛い子供達》

 そう脳内に声が響くが、何故かそれが心地良くて困惑よりも安心が勝ち、二人は意識を手放してしまう。

 その後責任を持ってガイアデルムを殺しに一足遅れてやって来たロックス海賊団に拾われ傷を癒やし、それから数年の月日が流れた。

 ガイアデルムの噂はあれ以来さっぱり聞かず、代わりに『深淵の悪魔』の噂が流れる。

 たか何と無く別人だとナズナは感じながら海軍から無断で拝借した酒を仰ぐ。

「我が子に選ばれし者達ねぇ・・・」

 頭に浮かぶは生国ワノ国が将軍家に伝わる伝説。

 ──────真意を胸に、口をつぐめ、我等は真理を語る者。

 ──────古き竜、竜問わず全ての竜が祖たる白き龍が最果てに居たり。

 ──────世界の最果てに居る祖足る白き龍最果てにて開放の戦士待ちたり。

 色々思う事はあるが、自分は将軍になるのを辞退した身。今更関係無いとナズナは思う。

「まっ良いかの!」

 そう言って彼女は今日も愉快犯として好き勝手に海で過ごす。

 例えお天道様が止めたとしても彼女は止まらないだろう。

 まぁともあれ────明日には明日の風が吹くだろう。


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