『悪魔』の末路と、『深淵の悪魔』と新たなる時代の産声。
総合スレPart3の>>76
「あんな小物共にこの俺の計画がぁ・・・絶対に許さんぞぉナズチのババアにメル・ゼナのガキィ」
そう言って全身打撲に複雑骨折を重ねた様な死に体でガイアデルムは戦場となった無人島から退避していた。
エンドポイントへ向かおうにも近海にロックス海賊団の気配を察知したガイアデルムはただその場から離れる事しか出来ない。
船長ロックスを始めサシでは勝てるかどうか分からない猛者ばかり。
オオナズチやメル・ゼナ相手に終盤を除いて優勢だったのは全てにおいてガイアデルムの手の内を知らなかったからのと、キュリアを大量に使用ていたからだろう。
・・・流石のガイアデルムもナズナ程の歴戦の古強者を相手に何も備えずに迎え程馬鹿ではないし、メル・ゼナがまだ若いのもあって終始主導権を握れた理由はそれだろう。
しかし、ロックス海賊団はガイアデルムの手の内を知った上でただでさえ個々人が強いのに集団で殺しに来るであろう事が容易に想像出来る。
『海賊の世にも仁義はあるのさ。・・・テメェ見たいな命を助けてくれた恩人をブチ殺し───更に世界を滅ぼさんとする『悪魔』である貴様を俺達は許してはおけん!』
海賊の癖してこんな甘っちょろい言葉を吐くロックスを思い出し、ガイアデルムは別の無人島に降り立つ。
「ここで小物達にやられた傷を癒やし──」
「────小物なのはお前だろう、ご同輩」「───ッ!」
もしかしたら復活したナズチが直々に殺しに来たかも知れないと思い、いきなり声がした方を向いて警戒する。
そこに居たのは・・・
「何だ!俺の追放騒ぎに乗じて聖地を両親に追い出されたクズじゃないか!」
そうガイアデルムと同時期に聖地マリージョアを追われた元天竜人がそこに居た。 「元から奴隷とか貴族とかに興味が無かったから問題ないし、お前みたいなクズにクズと呼ばれたくない・・・で、その能力は何なのさ」
そう元天竜人はガイアデルムを指差し、問いかける。
「これは俺を選んだ悪魔の実だ!丁度良い、まずはテメェを血祭り───」
ガイアデルムが喋る事はもう二度と無かった。
理由は単純───跡形も無く消し飛ばされたからだ。
「・・・裁きの概要を説明するんじゃ無かったんですかい、“白の姉御”?」
そう言って元天竜人が自分より上、空中を見据えて呟く。
───そこに居たのはただただ白いとしか形容し難い、白いドレスを着た一人の少女だった。
彼女はゴミクズに囚われていた我が子を優しく撫で、口付けしそれを果実──悪魔の実に加工し、それを元天竜人に投げ渡す。
「えぇ!それ私が食うんですかい!同じ天竜───」
「───その子の望みなの。今度こそ臨んだ宿主に宿りたいんだって・・・私も信頼しているから、我が子を頼んだわよ■■■」
それを言われたら断れる訳が無いと愚痴りながら元天竜人はモデルガイアデルムに頭を下げ、一口齧る。
「うわ!まず・・・──?」
不味かったのは一瞬で、その後優しく美味しい味と香りが鼻孔をくすぐり、元天竜人は何だか嬉しくなって頭を掻き、白き少女も笑う。
それから数年の月日が流れ、元天竜人は実の祝福を受けたかの様に頭角を表し、本人も鍛錬を起こら足らなかった結果『深淵の悪魔』として名を挙げた。
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これが『悪魔』何で名ばかりなゴミクズの末路とかの大海賊『深淵の悪魔』の誕生秘話よ。
・・・え?白い少女は誰なのかって?私だと思うの、紅白髪のお嬢さん?
さぁ、どうなのかしら・・・あら、この街に伝わる伝承が気になるのね。
それを知っている人物を誰か知っているの?
知らないんだったら少しだけ教えてあげましょう。
・・・新世界から約800年前から続く伝承があって、更にローグタウンでも約二十年前から囁かれているんだって。
・・・ちょうど海賊王ゴールド・ロジャーが暗殺されたその日から、ね。
コホン、その噂はねラフテルやその近海を能力者ではない『運命の始まり』足る白き龍が縄張りにしているんですって。
そのせいで世界政府はラフテルに到達できず仕舞いって訳らしいわよ。
ウフフ、貴方が今奏でている『開放のドラム』は本当に心地良いし、隣の紅白のお姉さんの鼻歌も素晴らしいわ!
・・・いえいえ何でも無いは麦わら帽子のお兄さん。
色々期待しているし、そこのお嬢さんとの夢を叶えられると良いわね。
へぇ!貴方個人の夢は『海賊王』なの!ならますます期待しちゃおうかしら。
それじゃあ最果てで会いましょうね。海賊のお兄さん────麦わらのルフィ。