悪魔の契約

悪魔の契約

曇り

「コレ…私からのプレゼントだよ♡」


ましろが差し出したのはゆいのいつものワンピースと全く同じものでした。拓海は思いがけないましろからのプレゼントに、自分が秘めていた想いを暴露されたように感じ、動揺を隠すことができませんでした。


「俺にコレを渡してどうするつもりなんだ?別に俺…ゆいの事なんて…別に…」


拓海は顔を背け、耳を真っ赤にしながら照れ隠しをします。


「あーうん、そういうのはいいかな」

「拓海くんがゆいちゃんをだーいすきなことなんてみんな知ってるからね」


そんなたくみの照れ隠しをましろは呆れた様子で却下します。


「えぇ!?そうなのか!?」


「あれで隠せてるつもりなの?…まぁいいや。それは置いといて、どうかな?ゆいちゃんの服を手に入れて。興奮する?」


拓海はゆいの服に対しては関心が薄いため、ワンピースだけでは興奮することはありませんでした。


「うーん服だけじゃあなぁ…」


「ゆいちゃん自体には興奮するんだ♪」


ましろはニヤリと笑い拓海をおちょくります。


「⁉︎」


「真っ赤になっちゃって可愛いね」

「それじゃあ私が一肌脱いでゆいちゃんになってあげるよ」


そういうとましろは拓海の目の前で突如服を脱ぎ出し、件の服に着替えを始めました。


「おおおい!虹ヶ丘⁉︎」


取り乱す様子の拓海無視し、ましろは黙々と着替えとヘアメイクを進めていきました。


「ふぅ…髪のセットも…うん、ばっちり!」

「どうかな、拓海くん?」

「ううん、違ったね」

「どう?拓海!」


見間違うことは決してないものの、そこそこのクオリティのゆいのコスプレが完成しました。

そしてましろはゆいになって、なったつもりで拓海に語りかけました。


「虹ヶ丘…?どうしたんだよ…急に喋りかたが変わって…」


「ダメ♡今は"ゆい"って呼んで♡」

「…さあやちゃんに聞いたんだけど、拓海ってあたしの写真とか動画でオ○ニーしてるんだってね!なっさけないんだ〜!」


拓海は先程から自身が秘密にしていたことを暴かれ続け、混乱してしまっているようです。


「なっ…⁉︎……なんでそれを……!?」


「あたしに告白できないから、あたし一人にバシッと決められないから、ズルズルといろんな女の子と関係持っちゃうんだよね。ユージューフダンだよね〜」


「ぐっ…」


突然の図星が拓海を襲います。痛いところを突かれた拓海は何も言い返すことなどできません。




「拓海は誰も傷つけたくないもんね?でも自分が1番傷つきたくないんだもんね。誰にも嫌われたくないもんね?ゆいちゃんだけには嫌われたくない弱虫さんだもんね、拓海は」


「ちがっ…」


弱々しい否定すらまし…ゆいの、ガトリング砲のような口撃の雨にかき消されてしまいます。


「なにも違くないよね?」

「でも…拓海はそのまんまの拓海でいいんだよ。優柔不断で…情けなくて…自分の欲望に正直なままの最っ低な拓海で♡」


「うぅ……」


拓海の普段の姿からは想像もつかないほど、弱々しいか細い声が漏れます。

自業自得とはいえ、言葉の弾丸が彼を追い詰めていきます。


「拓海ぃ〜今、目の前にいる『ゆい』だったらどんなことをしてもゆいちゃんに嫌われることはないよ?」

「拓海は〜あたしと、ゆいと…何がしたいの?」


ましろは拓海に訊きます。


「俺は…俺はゆいと…」


「拓海がほんとうにシたいこと…あたしに教えて♡」


さらに弱った拓海につけ込むように、呆然と佇むその耳元に甘い声で囁きます。


「俺は……」

「……ゆいと…セ……セ○クスしたい……」


拓海の本当の願いが思わず口から漏れてしまいました。

口撃に酷く追い詰められた拓海は、既に正常な判断ができなくなっていました。


「ふふっ♡拓海ぃ〜ええ〜?あたしとセ○クスしたいの〜?えっち〜♡」


「……」



「ちょっと〜そんなにヘコまないよ。じょうだんだって拓海ぃ〜じょうだんだよ〜?」

「じゃあ♡さっそく拓海のお願い、叶えちゃおっかな♡」


「⁉︎…いいのか…?」


拓海は喜びと驚きが混ざったような表情をしています。


「もちろんだよ。あたしはクズでダメダメな拓海でも大好きだから!」


大好き…眼前のゆいが紛い物だと分かっていてもその言葉の響きは拓海には甘美すぎるものでした。


「あぁ…ゆい…俺は……俺は………」


「来て♡拓海♡」

「あたしを拓海の好きなようにして♡」


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「……サンキュな…虹ヶ丘…」


「あー!ゆいって呼んでよ〜萎えちゃったの?」


「もういいだろ…」


「えへへ♡」


「………でもよかった…めっちゃ…今までにないくらい………」

「虹ヶ丘…またそれ着てヤってくれるか?」


「だーめ♡」


帰ってきた返事は拓海の期待とは違うものでした。


「なっ⁉︎なんでだよ!俺…俺もう…」


「私とは今回だけ。この服はあげたからどうしてもこのプレイがもう一回したいんだったら……」

「誰か他の娘に頼んでね♪」


「…うぅ……ああ……………」


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(拓海くんこのプレイに無事ハマってくれたみたいだね。一体誰をゆいちゃんのかわりにしちゃうんだろう…ワクワクもんだよ〜♡)

(こんな最低なプレイを快く受けてくれる女の子なんていないよ?でも…大好きな拓海くんのお願いだから、嫌だけど…仕方なくだけど…本当に本当にほんっとうに嫌だけど着ちゃうんだろうな…だーい好きだから。それでゆいちゃんの真似をして…完全にゆいちゃんに負けてるのを分かっちゃって……惨めな自分を身をもって感じて……どうなっちゃうんだろ?泣きだしちゃうのかな…ココロ壊れて受け入れちゃうのかなぁ……それとも愛想尽かしちゃったり?あぁ…上質な不幸が見れそうだよぉ。幸せ♡)




ましろ(コアなファン)「楽しみだなぁ♡」


⁇?「アンタ…なかなかエグいことするわね…自分の手を汚してまでよくそんなことするわね」


「うるさいよぉ?…おばさん♪いや…おばあちゃん…だっけ?」

「いいの!どうせどの『私』がやった事なんてわかりっこないんだから」



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(ゆいのワンピース…まぁ菓彩なら着てくれるよな)


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